これで二次創作の解像度が上がる……筈。
そのうち殺Qも購入するつもりです。
夏休み最後の一日。
自宅でのんびり過ごしていたら、突然窓を叩く音がした。驚いてそちらを向けば、そこには変装した殺せんせーが。
手に持つプラカードには、『夏祭りのお知らせ』と書いてある。棗は慌てて窓に駆け寄り、開いた。
「殺せんせー、こんにちは。どうしたんですか?夏祭りのお知らせって書いてますけど…」
「今日思い至ってクラスの皆に声をかけてるんですが、用事で断る人が意外と多いんです……」
そう言って涙を流す殺せんせー。
「そうなんですね…私参加しますよ。美味しい食べ物いっぱいありますし…殺せんせーとの夏祭りは楽しそうですし」
「にゅやっ、いいんですかッ!?ありがとうございます棗さん!!!」
殺せんせーは棗の言葉に目を輝かせ、大袈裟な程喜ぶ。
「ではプラカードに書いてある通り、今晩7時に椚ヶ丘駅に集合ということで!」
「えっと、椚ヶ丘駅に七時ですね。わかりました」
「楽しみにしてますからね!絶対に来てくださいね!」
「はい、先生!」
*
時は流れ祭りの時間。
「あれ、棗ちゃん私服なの?」
「うん、私浴衣持ってないから」
服に金をかけない棗は、手持ちの服のレパートリーが少なく浴衣もない。女子はほとんど浴衣を着ているようで、着ていないのは棗くらいだった。
「うまー!」
「棗ちゃんずっと何か食べてるね…」
「お祭りと言えば食べ歩きッ!!せずにはいられないッ!!」
「そっかー」
たこ焼き、焼きそば、焼き鳥、フライドポテト、イカ焼き……祭りには魅力的な屋台が山のようにある。
「そういえばコータローくんも来てるっぽいけどどこおるんかな」
折角なので竹林と行動しようと思ったのだが、見当たらない。あと、何故か殺せんせーは空いた屋台で荒稼ぎしている。いつも思うが、マッハ20で動けるとは言え同時にこれだけ多数のことを捌くのはかなり難しい筈なのに、よく頭がこんがらがらずにこなせるものだ。
「あ、棗ちゃん!もうすぐ花火上がるよ〜。楽しみだね!」
「おー、カエデちゃん渚くん。そうだね!花火も楽しみだな〜。花火を見ながら食べるたこ焼きがこれまた格別に美味ぇんだ…」
「花より団子だ…」
そして夜空に咲く大輪の花。皆感慨深そうにそれを見上げている。棗は「た〜まや〜」と叫びつつたこ焼きを頬張った。
「もう二学期かぁ。あっという間だったね」
「殺せんせーが来てからイベント目白押しだったからねぇ。落ち着く暇もない…」
「違いない。すぐに三学期が来るんだろうね」
「早っ!!」
「それだけ楽しい時を過ごせるってことじゃない…? もぐもぐ」
「本当に食べながら見てる…」
「あはは…でも、そうして皆巣立っていくんだよ。将来へ」
「茅野は何になりたいの?」
「え、私?考えてないかも。でも、進路希望決めないといけないんだよね」
(進路希望かぁ…私も考えんとなぁ)
棗はまだ自分が何になりたいかわからない。小学生の頃は、絵を描くことが好きであることから漫画家やイラストレーターに興味を持ったが……金をかけてでもこれが欲しいと思わせる絵を描ける才能のない自分は、現実的に考えてそういう仕事に就くのは無理だろうなと考えている。それならばそれは趣味で済ませ、何か手に職をつけたほうが親もきっと安心するだろう。
「棗ちゃんは?」
「えっ?何が?」
茅野から急に話を振られて、棗は驚く。
「だから、将来のことだよ。棗ちゃんはなりたいものとかある?」
「んー、わかんないや」
「えー。でも棗ちゃんって絵が上手だよね。アニメとかそういうの好きじゃん。てっきりそういう道選ぶと思ってた」
「んー、確かに普通よりは描ける方なんだろうけど。上手い子もっと上手いから。私はお金をかけてでもこれが欲しい!って人に思わせるような絵は描けんもん。だから絵は趣味で済ませて、安定した職に就いた方がいいかな〜って」
「そうなんだ…」
「棗ちゃんのイラスト、見てみたいけどね」
「でも、お父さん心配させちゃうから」
「厳しいの?」
「まぁ…それなりに。あ、でも子どもの気持ちを蔑ろにするようなお父さんじゃないよ。ただ、私の気持ちの問題なだけやけん」
そう、棗の気持ちの問題だ。父親は別に押し付けがましいわけではない。姉弟で愛情が偏っているわけでもない。ただ、父親と共に過ごした時間の違いで、弟の方が遠慮なく父親に自分の気持ちをぶつけることが出来るだけ。それだけなのである。
故郷にいた頃は父親は朝出勤して、夜に帰って来る。土日は家にいるという形であったが、今の会社に就いてこちらへ来てからは海外出張がある為に一ヶ月会えないことも多くなった。しかし両親の仲が大変よろしい為、ビデオ通話は欠かさずする。とにかく、こちらへ来てからはそういう生活だ。小6で今の生活になった棗と、小3で今の生活になった弟の差は意外と大きいのである。
「将来かぁ…将来があるといいけど」
渚が呟く。確かに、暗殺に失敗すれば地球がなくなる可能性があるから、将来があるかどうかわからない。
もし、あるとして。
その将来に、出来れば殺せんせーもいて欲しい。
そう思わずにはいられないのだ。
方言に違和感感じる方もいらっしゃるようなので、標準語多めでたまに方言混じるみたいな方がいいのか……