トリニティシツジモドキ「お嬢様、こちら午後の紅茶をフレイムスロワーで温めたものになります」   作:ヤツメタウミエル

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「一体いつから、私が三年生用のテストを受けたと錯覚していたのですか?」

 ひと悶着あって一日遅れたものの、トリニティの空き教室に補習授業部の面々が集っていた。

 

「えっと、これで何とかみんな集まりましたね、補習授業部……こ、ここからが本当の問題なのですが……」

 

 補習授業部二年、阿慈谷ヒフミ。

 ペロロ様のゲリラ公演に参加したことで定期テストを欠席し補習授業部所属となった、自称普通の生徒である。

 

「ふふ、何をすればいいのでしょうか、阿慈谷部長?放課後に人気のない教室で、素行の悪い女子高生と大人が集まって……ふふ、始まってしまいそうですね」

 

 補習授業部二年、浦和ハナコ。

 以前はトリニティでも一、二を争う才媛であったが、ある時期を境に成績が急降下し、奇行が目立つようになった。補習授業部結成直前には水着姿で校内を徘徊し、正義実現委員会に捕らえられていた。

 

「始まる……?まあ、何だって構わない。ちなみに私は本気を出せば、この教室で一ヶ月は立て籠もれる」

 

 補習授業部二年、白洲アズサ。

 校内での暴力事件に関与し、さらに教材用催涙弾の弾薬倉庫を占拠。同時期に起きたクーデター騒ぎに乗じ立て籠もりを続け、夜間にはさらに戦線を拡大。各種ブービートラップやIEDを用いて激しく抵抗した。一部では、ミカがクーデターの補助として用いた刺客と噂されている。

 

「おやアズサ様、何をするおつもりでしょうか?元カイザーPMCの私に、この距離で勝てるものですか」

「試してみるか?私だって接近戦の訓練は受けてる」

 

 補習授業部二年、呂畑リタ。

 アホ。

 

「死にたい……本当に死にたい……」

 

 補習授業部一年、下江コハル。

 バカ。

 

 以上が、原作から一人増え、問題児四天王から問題児五人衆となった補習授業部のメンバーである。

 


 

「それに、そもそもの話なんだけど……私が試験に落ちたのはあくまで……飛び級のために、一つ上の二年生用のテストを受けたせいだから!」

 

 簡単な自己紹介や状況の確認を済ませたところで、コハルが騒ぎ出した。

 

「あら、飛び級?どうしてそんなことを……?」

「ど、どうしても何も……!私はこれから、正義実現委員会を背負う立場になるわけだし……!」

「でも、それで落第してしまったんですよね? 一度試しにチャレンジするということであれば理解できますが、なぜそれを何度も……?」

「分かりますよ、コハル様。私も、よくテストを受ける教室を間違えますので」

 

 さらに、そこにリタがしゃしゃり出てきた。

 

「リタ?あんたもなの?」

「はい。一度目と二度目は別の学年のテストを受けてしまい、三度目はテストを受けようと移動していたら、いつの間にか雪山で遭難していまして」

「どうやったらそこまで行くのよ?!」

「筆記用具しか持っていなかったので、かなり苦労しました」

「筆記用具だけでどうやって生還したのよ?!」

 

 リタが遭難するのは一度や二度のことではない。小六の頃から年に一度くらいの頻度で遭難していた彼女は遭難への適応能力が上がったことで危機感が減り、遭難する頻度が昔よりも上がっていた。

 

「とにかく、私が言いたいのは……私は今まで、本当の力を隠してたってこと!!今度のテストはちゃんと、1年生用のテストを受けるから!そうすればちゃんと優秀な成績を収めてはい終わりってわけ。分かる?」

「短い付き合いで残念だったけど、あんたたちはそういう感じじゃないみたいだし?あははっ!」

「その、個人で優秀な成績を出しても一人だけ補習授業部を卒業できるわけではなくて……」

「大丈夫ですよ、コハル様。付き合いは短くとも補習授業部の友情は永遠です」

「そういうのは仲良くなってから言うものでしょ?!打ち切り漫画か何か?!……ああもう、じゃあね!精々頑張って!」

 

 言うだけ言って、コハルは早々に帰ってしまった。

 

「ふふ、コハルちゃんはテンションの上下がすごくて、見ていて面白いですね。アズサちゃんは対照的に、一貫して全然ブレないですし。リタちゃんは……はい」

「あうぅ……」

「これから楽しみですね、ふふふっ」

「そうですね。勉強はしたくなさすぎますが」

「補習授業部の存在意義を否定しないでください……」

 

 この日から、補習授業部の活動が本格的に始まるのだった。

 


 

 そして、第一次特別学力試験の結果が、次の通りである。

 

 阿慈谷ヒフミ。71点、合格。

 

「あ、ありがとうございます!なんだか無難な点数ですが、良かったです!では、次に……」

 

 白州アズサ。28点、不合格。原作より若干下がっているが、これは先生やハナコのサポートがリタに分散してしまったためである。

 

「はいぃっ?!」

「……ちっ、紙一重だったか」

「ま、待ってください!『紙一重』っていう点数じゃないですよ?!結構足りてないですよ!」

「大丈夫です、ヒフミ様。我々の中では相対的に高得点ですので」

「それは全然大丈夫じゃないです!……ということは、リタちゃん達は……」

 

 

 下江コハル、10点。不合格。

 浦和ハナコ、2点。不合格。

 呂畑リタ、1点。不合格。

 

「あら……」

「?!」

「まぁ、一歩前進でございますね。永遠の0よりかは」

「??!!??!!??!!」

 

 ヒフミの背後に、無限に広がる大宇宙が現れる。わざと低い点を取っているハナコより低い奴が居るのは、一体何なのだろうか。

 

「……あの、色々と……色々と言いたいことはあるのですが、まずは、その……ハナコちゃんは勉強が物凄く出来る感じでしたよね……?!」

「ふふ、確かに私、そういう雰囲気があるみたいですね。成績は別なのですが」

「じゃ、じゃあコハルちゃんとリタちゃんは……赤点を取ったのは、別の学年のテストを受けていたからですよね?!今回はちゃんと自分の学年のテストを受けたはずじゃ……!」

「そ、それはその!今回、かなり難しかったし……」

「すっごく簡単でしたよ?!小テストみたいなレベルでしたよ?!そ、それじゃ、リタちゃんは……」

 

 学力の低さが露見したことでコハルは顔を真っ赤にしていたが、リタは全く動じていなかった。

 

「確かに私は違う学年のテストを受け、赤点を取りました。それは紛れもない事実です」

「つ、つまり、二年生のテストでもダメということですか……?」

「しかし……一体いつから、私が三年生用のテストを受けたと錯覚していたのですか?」

「?!」

 

 ヒフミの背負った宇宙が高速回転し、リタの発言を一つずつ処理していく。宇宙が収束し、ビッグバンが起こるとともに、ヒフミは一つの結論に辿り着いた。

 

「リタちゃん……ま、まさか……」

「私が赤点を取ったのは、一年生用のテストでございます」

「アンタ二年生でしょ?!」

「どうして進級できたんですか?!」

 

 わなわなと震えるヒフミは、それでもここまでの活動を思い出し、まだ分からないことがあると気付いた。

 

「そ、そういえば!それでもリタちゃん、補習授業の時は結構順調に進んでいましたよね?!先生も、リタちゃんは飲み込みが速いと言っていましたし……」

"その、ヒフミ。言いにくいんだけど……"

「ここまでリタちゃんがやっていたのは、今回の範囲の前提となる中等部の内容です……」

「えぇーっ?!?!」

 

 驚愕するヒフミに、リタの容赦無いトドメが刺される。

 

「ああ、そういえば言っておりませんでしたね、ヒフミ様。あなたの前に居るのは……小学校を留年した、最終学歴が幼卒の生徒でございます

「きゅう……」

「あっ、ヒフミちゃんが倒れてしまいました!」

「敵襲か?!」

 

 ヒフミはブッ倒れた。彼女はヒフミだから我慢できたが、ヒフミでなければ我慢できずに補習授業部は空中分解し、全員仲良く退学となっていただろう。

 補習授業部は、未だに前途多難であった。アリウス分校とかクーデターとかに関係無く、学力の問題で。




 原作に沿ったやり取りではどうしても原作に寄りかかって原作コピペしてるだけになってしまう……ボリュームがカスになって面白くなくなる……でもふざけると話が全く進まない……どうすんべこれ……
 ストーリーを進めるためのつなぎの回ということで、どうかお許しください。
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