トリニティシツジモドキ「お嬢様、こちら午後の紅茶をフレイムスロワーで温めたものになります」   作:ヤツメタウミエル

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 stellarisにブルアカmod入れたら、ヒフミが前FTL文明の王になって崇められていました。なにこれ


「トリニティの文化は奥が深いものですね」

 先生とヒフミがナギサについて情報を共有したり、アズサが見張りをしてハナコに心配されたり、リタが妙に仰々しい機械でどこかに連絡を取ったり、コハルがスヤスヤ眠ったり。そんなこんなで夜が過ぎ、合宿二日目が始まった。

 

「ヒフミ、コハル、起きて。そろそろ起きないと」

「あうぅ……アズサちゃん……あと十分だけ……」

「もう朝ぁ……?」

「大変です、リタちゃんがいませ……窓から落ちてました。植え込みに刺さってます」

「むにゃ……うぅ、百鬼夜行渡辺銀行がとうとう破綻を致しました……」

「すごい寝相だな」

「んー、起きてるってばぁ……」

 

 寝ぼけたコハルをアズサが強引に脱がせて洗い、絵面がとてもえっちなことになったり、シャワーを浴びながら二度寝に入ったリタがスマホのバイブ音に反応してシャワーヘッドで通話しようとしたりと慌ただしい朝を過ごし、教室に集まった補習授業部の一同。

 彼女達を待っていたのは、模擬試験。まずは現状を確認し、試験のための対策を立てようというわけである。結果は、次の通りだった。

 

ハナコ―4点、不合格。

アズサ―33点、不合格。

コハル―14点、不合格。

リタ―7点、不合格。

ヒフミ―68点、合格。

 

 ヒフミ主導で、ここから先の試験について対策が割り振られていくことになる。

 

「まず、コハルちゃんとアズサちゃんが1年生用試験で、リタちゃんも2年生とはいえ中学・高校1年生の範囲も学習しなければいけません。ですから、私とハナコちゃんがおふたりの勉強内容をお手伝いします!ハナコちゃん、最近何があったのかは知らないのですが、1年生の時の試験では高得点だったんですよね?」

「あら……えっと、まぁそうですね……?」

「実はその、1年生の時のハナコちゃんの答案を見つけてしまいまして……それでハナコちゃんの方については後ほど、今の状態になってしまった原因をしっかり把握したうえで、私と先生と一緒に解決策を探しましょう!次に、リタちゃんですが……2年生の範囲を、1から始めてテストで合格できるレベルまで持っていかなければならないのですが……」

"それについては、心配しすぎる必要は無いよ。リタの答案を見てみて。"

「これは……前回より点数が伸びたのもそうですが、色んな問題で部分点が取れていますね」

 

 第一回特別学力試験までの活動の間に先生は、ハナコを除いて、生徒達の学習傾向をある程度掴んで来ていた。

 リタは結構地頭が良いものの直感的で、説明が詳細になり情報が散らかって来ると混乱するタイプだ。先生はまずシンプルに公式や原理、単語を丸暗記してから簡単な問題で実践させ、その後説明や証明をして発展させていくという、感覚寄りの方針でアプローチしてみた。また、中学と高校の内容でも関連してくる範囲は順番にやってしまえるよう、カリキュラムを調整してシンプルにしている。

 これはリタに合っていたらしく、あやふやながらも基礎的な部分は形成され始めている。加えてリタは、第一次学力試験の後から合宿まで、そして初日の夜にも、前々々々職あたりのクセで深夜まで長時間の復習をしており、冬休みの受験生のような伸びを見せていた。

 

"少なくとも中学の範囲で苦労することは無さそうだから、順当にいけば合格できる見込みはあるよ。"

 

 テストに合格することと理解することは違って、これはあくまで一夜漬けみたいなものだから合格できたとしても補習は続けたいけど、と先生は付け加えた。しかし、進歩は進歩である。

 

「そうなんですね!それじゃあ、第二次特別学力試験は前より望みがあります!」

「それにしても、ヒフミちゃんはすごいですね。昨晩だけでこんなに準備を……」

「あ、いえいえ、先生も手伝ってくださいましたから」

"大したことはしてないよ。これはヒフミの頑張りの成果。"

「素晴らしいですね。いよっ、優等生、補習授業部のエース、ミレニアムに咲く一輪の高嶺の花」

「ヒフミはすごいな。大局的にものを見ることができる人物は将校に向いていると聞いた」

「えっと……もしかしてこれ、私も何か言う流れ……?」

"昨日はすごく頑張ってたね、ありがとう。私も皆が合格できるように手を尽くすよ"

「あうぅ……」

 

 何故かヒフミを褒める流れに突入してしまい、話題を変えようとヒフミが取り出したのは、目の焦点が合っていない鳥のような何かのぬいぐるみであった。

 

「その、ヒフミ、ありが……」

「それだけじゃなくて、今回はご褒美も用意したんです!良い成績を出せた方には、この『モモフレンズ』のグッズをプレゼントしちゃいます!」

「出遅れた?!」

「……モモフレンズ?」

「何それ?」

「あ、あれ……? 最近流行りの、あの『モモフレンズ』ですが……もしかして、ご存じないですか……?」

「申し訳ありません、流行には疎いもので……」

「なにこれ、変なの……カバ……?目が怖いし、名前もなんか卑猥……」

「えぇっ?!た、確かにそうおっしゃる方も一部には居ますけど……よく見てください、じっくり見ていると何だか可愛く見えてきませんか?」

「これもまた『可愛い』なのですか……トリニティの文化は奥が深いものですね」

「騙されてるわよ?!」

「ええと、じゃあ可愛くないんですか……?」

「そんなことありません!ペロロ様は可愛いです!」

「な、成程……?」

 

 リタは『可愛い』という概念についてあまり詳しくない。故に、こういったものについては他人の影響を簡単に受けてしまう。今リタの中では、見る人が見れば明らかに間違っている『可愛い』像が完成されつつあった。

 

「あ、思い出しました。そういえばヒフミちゃんのカバンや、スマホケースがそのキャラクターでしたね。たしか、舌を出してよだれを垂らしながら、もう許して……っ!と泣き叫ぶキャラク

ターだったとか……?」

「後半部分は色々と違いますよ?!」

「可愛い……?拷問を受け、舌を出してよだれを……?キュートアグレッションというやつなのでしょうか……可愛い、可愛いとは一体……?!」

「ちょっとリタ、大丈夫?!」

「( ᐛ )パァ」

「リタちゃん?!」

 

 リタは頭から煙を噴き出して倒れた。話を聞いて完成した、『マイクロビキニ(卑猥な要素)を着て拷問を受けながらよだれを垂らす変な鳥』というあまりにも前衛的な『可愛い』的存在に、1D100のSANチェックを喰らったのだ。

 

「そ、そんなにショックでしたか……?!ペ、ペロロ様、可愛いですよね……?」

「ハイ、ペロロサマカワイイデス……」

「しれっと洗脳するのやめなさいよ!可愛くないから!」

「カワイクナイデス……」

「せ、洗脳じゃないです!これは事実で……ほら、この立派な羽とくちばしとか、目つきとか……可愛いでしょう?あ、アズサちゃんはどう思いますか?」

「か……可愛い……!!!」

「?!」

「!」

「か、可愛すぎる……!何だこれは、この丸くてフワフワした生物は……!!この目、表情が読めない……何を考えているのか全く分からない……!」

「さすがはアズサちゃん、ペロロ様の可愛さに気づいてくれたんですね!そうです!そういうところが可愛いんです!」

 

 意外なことに、アズサにはモモフレンズは大ウケであった。さらに、これで補習授業部内が可愛い2、可愛くない1、言及なし2となり、多数決によってリタの中でも結論が出る。

 

「なるほど、こういった『可愛い』も世の中にはあるのですね……確かに、じっと見ているともふもふな部分が可愛く見えないことも……?」

「目ぇグルグルになってるわよ?!正気に戻って?!」

「リタちゃんは正気です!ちょっと混乱してるだけで、すぐに慣れますから……!」

 

 しばらく謎の応酬が続いたが、結局リタの中では『ペロロ様は可愛い』という結論になった。少々強引ではあるが、アズサに続いてさらにもう一人、新たなペロロ様ファンが誕生したのである。

 

「こ、こっちは?この長いのは?イモリ……いや、キリン?何だか首に巻いたら温かそうな……!」

「それはウェーブキャットさんです!いつもウェーブして踊っている猫なのですが、仰る

通り最近ネックピローのグッズが……」

「この水色の丸い鳥さんは、ペンギンでしょうか……つぶらな瞳が可愛いですね」

「それはフクロウのビッグブラザー様です!その目で見ればありとあらゆる真実が分かるので、受験生のお守りとしても人気で、トリニティにも大規模なファンクラブが……」

「これは?この小さいのは?」

「それはMr.ニコライさんです!いつも哲学的なことを言って不思議な目で見られてしまう方ですね!今回ご褒美の一つとして、そのニコライさんが書いた『善悪の彼方』という本もあるんですよ、それも初版!」

「すごい、すごい……!!これを貰えるのか?ま、まさか、選んでも良いのか?」

「おお……!」

 

 二人の目はキラッッッキラであった。コハルはドン引きで、ハナコは若干呆れながらそれを遠巻きに眺めていた。

 

「良いモチベーション管理だ、ヒフミ。約束しよう。必ずや任務を果たして、あの不思議でふわふわした動物を手にしてみせる!」

 

 アズサは例の顔(ᓀ‸ᓂ)で決意を新たにした。

 

「これは私も、全力を出すしかないようですね……」

 

 リタは袖の中のリストバンドを外した。リストバンドは、ズシンと重い音を立てて床に落ち、若干めり込んだ。

 そしてさらに、リタは伊達メガネを取り出し……かけた。

 

「あんなに重い錘を、常日頃から仕込んで生活していたのか……!」

「学力関係無いですよね?!」

「ふふ、甘いですよ。ただの錘だとお思いですか?」

 

 そう言ってリタがリストバンドを回すと、液体が滲み出てきた。

 

「これは……?」

「毒でございます。毎日徐々に慣らしていったので、もはやサソリやヘビ、植物程度の毒は効きません」

「すごい、薬品に耐える訓練は私もしたことが無い……!今度教えてくれないか?」

「だから学力関係無いですよね?!」

"それ以前に危険行為!!"

「しかし、しょっちゅう遭難する身としてはこの方が安全で……顔が怖いですよ先生……?」

 

 この後リタとそれを真似しようとしたアズサは、先生にこっぴどくお説教を喰らうのであった。

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