トリニティシツジモドキ「お嬢様、こちら午後の紅茶をフレイムスロワーで温めたものになります」 作:ヤツメタウミエル
追記 さすがにここまでメタネタに頼りきりではシラケるので、改稿しました。
ヒフミがまとめ役として頑張り、しっかりと回り始めた補習授業部の合宿。それぞれのモチベーションも高く、補習は夜まで続いた。
途中でコハルのエロ本所持が発覚して、リタがこれまでにない程コハルに優しくマトモに接したり、それを押収品保管庫に返しに行く際ひと悶着あったりしたものの、つつがなく今日の補習も終わった。
そして、下着と水着の違いや、七つの古則についての話をした後の深夜。コハルを除いて、補習授業部の面々は未だ忙しく動いていた。
ハナコがわざと試験に落ちていることが判明したり、アズサがまた見張りをしていたり、それをハナコが心配したりしている中……リタは十字の道具を食い込ませて壁や天井を這い回り、施錠されている別館の屋上に来ていた。
「よし、ここなら通じそうですね。よいしょっ……と」
そして取り出したのは、妙に仰々しい機械……コンピュータ上で仮想端末を立ち上げ、GPSやSIMを誤認させることで番号やIPを偽装し、送信元の位置や端末の特定を困難にする通信装置である。主に、詐欺や違法な業者との取引に使用されている。
ちなみに、この機械はただ単に性能が変な方向に特化しただけのエミュレータであり、問題になるのはこれで詐欺や違法取引を働いた場合であって、持っているだけなら不審に思われこそすれ逮捕はされない。一時期ゲームの違法コピーで問題になったマジコン的な装置であり、ヴァルキューレの悩みの種でもある。
機械のアンテナを引きずり出してスマホに繋ぎ、番号を入力する。+44から始まる、一般的にブラックマーケットで使用されていることが多い電話番号だ。数回のコール音の後に、機械音声が応えた。
『本日はデスモモイそうだんダイヤルにお電話頂きありがとうございます。デスモモイにお悩みの方は1、デスモモイの方は2、デスモモイにお悩みのデスモモイの方は3、その他の方は4を押してください』
リタは4を押した。
『じゃあどうしてデスモモイそうだんダイヤルに電話したんですか……』
「デスモモイと和解し、デスモモイを受け入れたからです」
『あー成程、兵器の方ね。えーと、多分リタだよな』
電話の相手は、デスモモイ業者に偽装していたブラックマーケットのジャンク屋兼小売業者。彼女は中古と新品の境界に関して独自の基準を持っているが、それを除けば優秀な武器商人である。
「はい。以前おっしゃっていた、*自主規制*ボムについてなのですが」
『ああ、4500-lb CP/RA地中貫通爆弾のこと?もしかして買ってくれんの?』
「ええ、気が変わりまして。購入ついでに、一週間ほど後に54SUE8620 4840へのダイレクトなデリバリーを頼みたいのですが。だいたい高度8000mくらいからで」
『あーはいはい、高高度爆撃ね。座標は……は?オイオイオイ待て待て待て、トリニティ自治区ド真ん中だぞこれ?!』
「はい、それで合ってます。ご自慢の双発機とかで三、四発くらいお願いします」
『お前戦争でも起こす気かよ?!なんかゲヘナとトリニティの条約とかあんだろ?!』
「ありますね。それはそれとして、報酬と代金は必ず払うのでやってください」
『ナァナァナァナァナァナァナァナァナァナァナァナァ、ウチは確かに色々と違法なことはやってるが、これまで一度も未成年に違法な兵器を売ったことはないし、この道数年で品質の悪い武器を売ったことは数回しか無いんだぞ……しかも!あの条約は連邦生徒会長が失踪してから、ティーパーティーが苦心してゲヘナに働きかけどうにか成立したという……双方の生徒会役員の日々のご苦労は想像できない!』
「『爆撃』をします」
『だから気に入った』
それから支払いやら予約やら何やらの手続きを済ませた後、業者は少し詮索をすることにした。普段なら売った後は我関せず、が基本ではあるものの、今回の案件はかなりのリスクを背負う内容であり、捕まった場合に責任を上手いこと擦り付ける材料も必要だったのだ。
『にしても、いきなりどうしたんだよ。条約が成立したら、一番助かるのアンタっしょ?』
「そうですねぇ……」
『もったいぶってないで言えよー。大丈夫大丈夫、アタシ口硬いから逮捕されて責任擦り付ける時以外は口外しねーからさ、ぶっちゃけてみなって』
「まぁ、あなたにはよくお世話にはなっておりますから言いますが……心配な方がおりまして。その方は何か隠し事をしているようなのですが、教えてもらえません」
『なんでそれで爆破テロになるんだよ』
「……私は、あまり器用ではありませんので。上手いこと教えてもらえるように話すこともできなければ、何かを知るために使える方法もわずかです。所詮バイトですから、大した信用もありませんし」
『まぁ、アンタ頭スッカスカだしな』
「ですから、何も話して頂けないのなら、力ずくで教えて頂きます。見えない壁があるのなら、辺り一帯全て爆薬でブッ飛ばしてでもブッ壊すまでです」
『でも、一歩間違えたら学園生活の残り全部檻の中だぞ?そこまで肩入れするもんか?』
「身近に居る方に笑っていて欲しい、それだけで十分な価値があるとは思いませんか?」
『なんかお前なぁ……間違いなくブラックマーケット向きなんだけど、ブラックマーケット向きじゃないんだよなぁ。本当に、それでどうにかなると思うか?』
「バイトはバイトなりに、できることがあります。そしてゲヘナには、『爆発物によって全てを解決する』という伝統芸がございます。よって無敵です」
『イカれた伝統芸だな』
こうして、大聖堂前の道路には後にクソでかい穴が空くことになるのだった。
補習授業部合宿、三日目の朝。先生はミカに呼び出され、トリニティの成り立ちやトリニティの裏切り者、そしてナギサの思惑についての話を聞いていた。
『補習授業部の裏切り者』にあたる存在は、アリウス分校から転校してきた白洲アズサだった。本来『和解の象徴』になるはずだった彼女は、百合園セイアが死亡したことで疑いの目を向けられることになってしまった。
ハナコはある時期から唐突に成績が悪化し、奇行を始めたから疑われた。コハルはゲヘナを憎む正義実現委員会副委員長、羽川ハスミへの牽制のため。ヒフミはブラックマーケットに出入りし、強盗団のリーダーという疑いがあったから。そして、リタは……
「……それもあるけどね。そうだなあ、あの子は……初等部の頃、トリニティの生徒だったんだよね」
「基本的にはトリニティ内部の子が進学するんだけど、一部の生徒は外部受験で特別枠として入学することもできるの。とはいっても、枠数はほとんど無いし難関だから、大抵はミレニアムの生徒とかで、ゲヘナの生徒が入学することは滅多に無いんだけど」
「ゲヘナの生徒が居ることを好ましく思わない生徒は居たけど、当時のリタちゃんは、今からじゃ想像もできない程品行方正で成績優秀な秀才だったらしくて。そういうのも寄せ付けないように、上手く立ち回ってたらしいんだけど……」
リタの現在の姿と『品行方正で成績優秀な秀才』という言葉が全くかみ合わず、先生はかなり混乱していた。しかし、そこで驚愕するのは流石にリタに失礼だと思い直し、話を続けてもらうことにした。
「五年生の時に、教室で爆発事故が起きて。それを一部の生徒が『リタちゃんのやった爆破テロだ』って騒ぎ立てて、そのまま正式な調査も弁解の機会も与えられないまま、あっけなく退学になっちゃったんだって」
「それまであの子は、一度も問題を起こしたことが無かったのにだよ?しかも、あの子の退学を誰よりも強く主張して、その決め手にもなったのは……当時一番仲が良かった、あの子の友達だったの」
「あの子は一年前、アルバイトとして雇われたんだけど……初めて会った時は怪我まみれでね。退学になってから、かなり苦労したのは言うまでも無いだろうね。なのに、あの子はトリニティに戻って来た……どうしてかな?私でもあんまりよく分かってないんだけど、もしかしたら……トリニティの裏切り者は、一人じゃないのかも……なんてね」
改稿前を読み返してみたらあまりにも恥ずかしすぎて、ブランコに乗ってる時のヒュンってなる感覚を味わい続ける羽目になりました。地獄です。メタネタはもう金輪際二度と天地がひっくり返ってもやりません。ここに誓います。
・以前の後書き(クソメタ回)
今更ながら、ここまで来ると面白くないし、メタそのものに頼り切りな感じがしています。改稿を考えているのですが、正直この前4話くらいの出来にもやはり納得がいっていません。
少なくとも21話は改稿する予定なのですが、この辺まで遡ってやり直すかどうか、アンケートを取りたいと思います。大規模にやる場合、若干更新が遅れる可能性があります。
改稿を予定しています
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21話だけでいい
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18~21話まで考え直してもいい