トリニティシツジモドキ「お嬢様、こちら午後の紅茶をフレイムスロワーで温めたものになります」   作:ヤツメタウミエル

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ゴールドラッシュ……金鉱が発見された場所に、一攫千金を目指す採掘者が一気に流入すること。また、何かが一気に人気になるさま。


vol.4:黄金狂と星の王子さま

「……はぁ、クソクソのクソですわ」

 

 墜落地点の周辺をしばらく彷徨った後、私は思っていたより事態が深刻なことに気付いた。

 周辺には砂ばかりで、方向が全く分からない。文明の痕跡もあるにはあるものの、水道や電気の通っていない廃墟は、長期的な生存には到底役に立たない。

 

 そんなわけで私は、弾頭の爆発でガタガタになったロケットのエンジンをどうにか直せないものかと、儚い望みを抱きながらよく分からない機械部品を弄っていた。

 正直、何をしても望みは薄い。食料はないし、水も数日で尽きた。ヘイローがあっても、それほど長くは生きられないだろう。

 

 砂漠の夜は、昼間の暑さが嘘みたいに寒い。何も食べてないこともあって、四肢が死体のように冷たい。喉が渇いて、息をするだけで痛い。

 そのせいで眠れない夜には、いつものマイナス思考が鎌首をもたげてくる。

 

 ……まぁ、ここで死んだって構わないんじゃないか?どこに行ったって、私の居場所は無い。職は無くなったし、ロクな将来の見通しも無いし。

 別に、どうでもいい。私には、何も無いんだから。何かやりたいことがあるわけでもなく、ただ漠然と生きているだけ。なんとなく働いて、なんとなく食事を摂って、なんとなく寝るだけ……機械みたいだ。

 

『ああ、3組の……まぁ、文房具が無くなるくらい学校生活ではたまにあることでしょう。自意識過剰ではないですか?何か誤解があっただけかもしれませんし……』

『どうして爆破テロなんてしたんですか?皆、仲の良いクラスだったじゃないですか』

 

 誰も私のことなんか気にしない。

 

『今回の作戦は成功ですが、他の戦線が突破されたので撤退することになりました。つきましては、我が社の経営も厳しいので今回の報酬は無しということで……ご理解をお願いします』

『残業代?出るわけがないだろう。不満なら他の職を探せ……忘れるな、お前の代わりは幾らでも居るんだ』

 

 誰からも必要とされない。

 

『半径50cm以内に入らないでくださいまし』

『トリニティもゲヘナも無くなればいいのに』

『私はみんな嫌い、大嫌い』

 

 誰のことも必要にできない。

 

 居ても居なくても、何も変わらない。それが私。

 私がこのまま死んで、砂に埋もれたとしても、誰も探さないし、何の影響も無いだろう。

 私みたいなのはきっと、それでいいんだ。

 

(全部、全部どうでもいい)

 

 力の入らない体を投げ出し、目を閉じる。あとは、この苦痛ができる限り早く終わることを願うだけ……

 そう思っていた矢先に、何かの光が瞼を貫通してきた。水分不足で涙が乾いているから、ひどく目が痛む。

 

(……何?)

 

 薄く目を開ける。目の前には……

 

「多分、これがこの前の飛翔体かな?見たところ、カイザー系統の兵器みたいだけど……君、これのパイロット?目的は何?返答によっては、ヘイローの無事は保証しないよ」

「アイエエェェェ?!」

 

 懐中電灯と、ショットガンの銃口。一目見て只者ではないと分かる雰囲気を纏ったピンク髪の生徒が、こちらに銃を向けていた。即座に死を覚悟する程度には怖かった。

 

「ヒィ……こひゅっ」

「うわっ、どうしたの……?ちょ、ちょっと?!」

 

 悲鳴をあげ喉を酷使したことで持てる力の全てを使い果たした私は、そのまま飢餓と脱水症状で意識を失った。

 


 

「……知らない天井ですわ」

 

 次に目を覚ました時、私は久しぶりにベッドで寝ていた。辺りを見回してみたところ、病室ではなく学校の保健室のようだ。

 

「マズいですわね……」

 

 本来私は、あのまま砂漠で死ぬしか無かった。生きているということは、多分あの時のピンク髪の生徒に助けられたということで……私は彼女に、大きな借りを作ってしまったことになる。

 恩を返すためには、あの生徒……他人と関わらなければならない。そして私は、あらゆる他人が嫌いだ。

 

「はぁ。憂鬱ですわ」

 

 半身を起こして痛む頭を押さえていると、ドアが開いてあの時の生徒が入って来た。

 

「あ、起きたんだ。それじゃ、質問の続きだけど……」

 

 私は彼女に向かって……今思うと、命の恩人に対して物凄く無礼なのだが……指をさして叫んだ。

 

「先に言っておきますが、勘違いしないでくださいまし!確かに、私はあなたに命を救われたようですし、その分の借りは返しますが……私、他人が全員嫌いですの!借りを返したらそれ以降、あなたと個人的に関わる気はありませんわ!」

「……はぁ?」

「あと、私は別に死んでも構いませんので!それほどの見返りがあると思わないことですわ!」

「うわぁ……何なの、コイツ……」

 

 彼女はドン引きしていた。

 その後は私が以前何をしていたか、何故ここに来たか聞かれ、ざっくりと経緯を説明していった。私が乗っていた兵器が何なのか話してからは若干態度が軟化していき、最終的に私は自由の身となることができた。

 これがアビドス高等学校の生徒、小鳥遊ホシノとの出会いだった。

 


 

 彼女の所属するアビドス中学校は、砂漠化によって多大な借金を背負っているそうだ。というわけで私は、手っ取り早く借りを返すため、アビドスの借金返済を手伝うことにした。

 

「この自治区にも意外とバイト先があるんですのね……というわけで、こちらが今月のバイト代ですわ。返済の足しにしてくださいまし」

「いや、それ渡したら今月どうやって生活するの?!家賃とか食費とかあるでしょ?!」

「宵越しの銭は持ちませんの」

「持ちなよ!現代人でしょ?!あとこれ、傍から見たらDV被害者が加害者に金を渡す構図だよ?!」

 

「あれ、バイト終わったよね?帰らないの?」

「明日もシフトが入っておりますので。ここをキャンプ地としますわ……アビドスならテントを張ってもヴァルキューレに声をかけられませんし」

「家無いの?!真冬の夜の砂漠は最悪凍死するよ?!」

「凍死したらそれ以降は凍死する心配はありませんし、凍死しなかったらそれは杞憂だったということですわ。つまり無問題ですわ」

「問題しか無いよ?!とりあえず今夜は私の家に……」

「まぁ、久々に布団で寝られるとは僥倖ですわ!」

「それカーペット!腰バッキバキになるよ?!」

 

「砂漠は食べられる雑草が少ないですわね、まったく」

「雑草は食べられないんだよ?!柴大将のまかないとかあるでしょ……?」

「必要以上に他人の世話になるつもりはありませんの。居候についても、家賃は法定利子付きで返しますわ」

「コイツ面倒臭っ」

 

「……本当に、コンパス忘れるのこれで何回目?!毎回助かるとは限らないんだよ?!バカなの?!バカなんだよね?!」

「くっ、また借りが増えてしまいましたわ……」

「死にかけでまず気にするのがそこ?!」

「別に、生死についてはどうでもいいですもの」

「そんな考え方だからこんな頻度で忘れるんだよ!私、もはや救助が手慣れたものになって来てるんだけど?!せめて迷惑をかけないようにしようとか思わないの?!今度からはもう絶対に助けないから!」

 

 ホシノさんは、刺々しい割に面倒見の良い人だった。家が無い私を居候させてくれたり、砂漠で遭難したときにまた助けてくれたり。

 その頃の私はそういう親切を素直に受け取れない人間だったので、仲はあまり良くなかったけど。

 

「今日は上々でしたわ、ブラックマーケットの抗争でそれなりの額を略奪できましたの」

「戦争犯罪!!」

「戦って勝ったのに……?」

「蛮族か何か?!というか、大手銀行を介した学校法人の借金返済にそんな金が使えてたまるか!!」

 

 彼女には、よくツッコミを受けた。これはおかしい、それは駄目……よく言われたのが、怪我に関することだった。どうも、自分の戦い方には重大な問題があるそうで。

 ある日、いくつか掛け持ちしているバイトの一つである日雇いの傭兵業から帰って来た時のことだ。家に上がる前に擦り傷から滲んだ血を拭いていると、ホシノさんが話しかけてきた。

 

「ただいま帰りましたわー」

「うわぁ、またあちこち怪我してる……なんでこんなことになるの?」

「傭兵ならこの程度普通じゃないですの」

「全く普通じゃないよ……ああもう、見てられない……」

 

 そう言うと彼女は、私の目の前に手を出してきた。

 

「……何ですの?」

「何て言うか、リタちゃんは感覚がおかしいんだよ。例えば、こんな風に他人が顔や首に触れようとしたら、普通の人は目を閉じたり避けようとしたりする。それは反射的な動きで、絶対にそうなるもの。なのに、リタちゃんは瞬きすらしない。色々とどうでもいいと思ってるからか、もしくは……」

 

 彼女は私の折れた角をチラリと見て、言葉を続けた。

 

「強い痛みに慣れて、危機管理の感覚が狂っているからか。そのせいで、銃弾を避けようとしたり射線を切ろうとしたりしない。感覚と身体の限界は別なのに、ダメージの蓄積した量を誤認したまま戦ってるからよく怪我をする。人より頑丈なのに無意味な被弾が多いから、全く才能を活かせてない」

「ホシノさんも小銃弾は避けないじゃないですの」

「それは予備動作が隙になるから。避けるべき攻撃は避けるし、狙ってくる敵から倒していってる。あとはこうやって身体の平面を斜めに捻って、傾斜装甲として扱って衝撃を逸らしたり」

「ああ……」

「視線からして、今物凄く失礼なこと考えてるよね。まだ中一だし、これから成長するから」

「気のせいですわ」

 

「とにかく、ちゃんとイメージして。こういう攻撃をこう喰らったら、どのくらい痛くて、どのくらい支障が出るか。目の前の攻撃を、避けるべきか防ぐべきか。痛みを無視してたら、手遅れになるまで気付けなくなるよ」

「なるほど……イメージなら得意ですわ。どうすればバイト先を焦土にできるか一晩中考えていたこともありますもの」

「いや何考えてるの君」

 

 その後にもホシノさんは、あーだこーだ言いながらも色々なことを教えてくれた。

 

 夜眠る前には、トリニティを破壊する妄想の代わりに、ホシノさんに教わったことを考えるようになった。

 兵士の数と配置は、移動時の姿勢は、狙いと残弾管理は……初めて知った戦術は、実践する前から『できる』という確信を持つくらいになっていて、思う通りに身体を動かすことができた。

 

 負傷も危険も気にならないのは、弱点から明確な強みに変わった。それらを感覚ではなく理性で認識して、常に最適解を考えられるから。

 そして私はそこそこ強くなり、そこそこ名の知れた傭兵になった。報酬の支払いを渋る業者を粉微塵にできるようになったので、ホシノさんには今も感謝している。

 


 

 それから色々とアルバイトをこなしつつ、二年ほどアビドスで生活し、遭難回数がついに二桁に突入した頃のことだ。

 

「コンパスも地図も持ってたんだよね……今度はなんで遭難したの?」

「南斗人間砲弾、ってご存じですの?」

「……知らないけど、なんとなく原因は分かったしもう説明しなくていいよ。つまりリタちゃんは馬鹿ってことだね」

「私はバカですがバカではありませんわ。仮にバカだとしても、バカと言う名の淑女ですわ」

「今からでも救助しなかったことにしていい?」

 

 その日も私は砂漠で遭難し、ホシノさんに救助されていた。帰る前に日が暮れてしまって、野宿することになった。

 

「リタちゃんを拾うのもこれで十回目か……本当にそのうち死ぬと思うんだけど、アビドス以外の場所に行こうとか思わないの?」

 

 その頃は、多くのアビドス生が砂漠化のせいで生活できなかったり、生徒や学校の状況を見て諦めたりして、アビドスを去り始めていた。

 学籍が無いのでアビドス生かどうかは微妙だが、私も同じように諦めると思っていたのだろう。

 

「……私はまだ、あなたに借りが残っていますもの。人との関係はきっちり清算して、さっさと他人になりたいんですの」

「それなら別に、もう他人でいいよ。パトロールはいつもやってることだし、頼まれて特別に助けたわけでもないし」

「そうですか。それならここに居る意味もありませんが……それは、どこでも同じですわね」

 

 これで、面倒事が無くなって……面倒事以外には何も無かったことを思い出して、私は困ってしまった。

 

「どこにも馴染めませんでしたし、居場所なんてありませんわ。わざわざどこかに行く意味もありませんから……多分、意味はありませんが、ここに居ると思いますわ」

「まぁ、言葉遣いと角でだいたい想像はつくけど……それなら、できる限り遭難はしないようにね」

 

 相変わらず、私には何も無い。多少戦えるようになって、生活が楽になったって、それでしたい事があるわけでもない。

 彼女には何か、私に無いものが……ここに居る理由があるのだろうか。

 

「逆に、ホシノさんは何故ここに居ますの?」

「……どういう意味?」

「そのままの意味ですわ。あなたなら、どこでもやっていけるじゃありませんの。強いですし、成績も良いですし……何故、借りた金を返す必要がありますの?」

「……そうかもね」

 

 私が尋ねると、ホシノさんは若干不機嫌になった。彼女がここに居ることに対して、非難にも聞こえるような聞き方になってしまったからだろうか。

 

「これは大して信憑性のない話だけど、ここの砂漠化は自然災害じゃないっていう話があるんだ」

「砂嵐のせいじゃないですの?」

「よく分からない教授の話によると、アビドスが三大校になれたのは、将来こうなる前提で経済を形成したからなんだって。乱開発で土壌が破壊されたり、大気汚染で雨や風向の周期がおかしくなったりして、本来砂漠化を食い止めていたオアシスが消えた結果、砂嵐は必然的に起きた……仮にそうだとしたら、私達は昔の人がアビドスを繁栄させたツケを支払わされてることになる」

「……大人が子供を食い物にして、子供は未来の子供を食い物にする。腹の立つ構図ですわ」

 

 それが普通のこと、人間はそういうものだと分かっていても、嫌な話だ。自分もタダ同然で馬車馬のように働かされることが結構あったし。

 

「私がここに居るのは、腹が立つから。絶え間ない砂嵐にも、無気力な生徒にも、自分のことしか考えない大人にも。借金を返さなきゃいけないのは腹が立つけど、人の思い通りになるのはもっと腹が立つ」

「よく分かりませんわ……結局は、虚しいだけじゃないですの。それで借金を返せたとして、何が残りますの?あなたに負担を押し付けてきた、ボロボロの学校と砂漠だけじゃないですの」

「なんて言うか、アビドスを去る時の皆みたいなこと……待って、なんで泣いてるの?」

「だってホシノさんは、良い人じゃないですの。何度も助けてくれましたし、戦い方だって教えてくださいましたし……ホシノさんは私なんかよりもずっと良い人で、私と違って、他人のことを思いやれる人なのに」

「何も得るものは無いのに、怒りだけでずっと苦労しないといけないのは……とても、悲しいことですわ」

 

 私も腹が立つ。彼女のような人が、何故他人を自分のために利用するような奴のせいで苦労しなければならないのだろう。悔しい。あまりにも悔しくて滲む視界を、乱暴に拭う。

 それとは対照的に、ホシノさんは先程の不機嫌さが鳴りを潜め、きょとんとしていた。

 

「何ですの」

「……いや、私もアビドスを去った方が良いって言われることは結構あったし、ついでに馬鹿にされたり心配されたりしたけど……泣かれるのは初めてだなって」

「こちとら中学生ですもの、そりゃ泣きますわよ」

「まぁ、安心してよ。別に、アビドスのこと全く大切に思ってないなら、そのことで怒ったりしないからさ」

「そうですの?」

「うん。そう……そうなんだ。私は、守りたいから、大切だから怒ってるんだ。アビドスにも、怒ってる私にも……それに、まだここには諦めてない生徒が居る。砂漠化で治安が悪くなってるから、誰かが守らないと」

 

 それから、ホシノさんはアビドスの話をしてくれた。どうでもいい思い出とか、ちょっとしたお得な情報とか。

 

「あそこには水族館があってさ。砂漠化と水不足で閉鎖されちゃったけど、開いてたときはクジラが見られたんだ」

「クジラ、好きなんですの?ジョーズかシャークネード的なイメージでしたわ」

「いいでしょ別に。水族館ではそのクジラが一番大きくて、好きな魚だったんだ。まぁ、後からかなり小さい種類だって分かったし、もっと大きいのが他の自治区の水族館には沢山居たんだけど……今でもそれが、一番好きなんだ」

「初めて見たものだから、ですの?」

「それもあるけどね。私の中では、今もそれが『一番大きなお魚』なんだ。思い出のある水族館で一番大きかったから、それは特別なの」

「特別……」

「『大切に思う』っていうことはきっと、ありふれたものを特別にすることだよ。同じようなもの、劣っているもの……砂ばかりの土地でも、たった一つの特別なものになる」

「……!」

 

 ……私の特別なもの。それはきっと、私にもあった。

 

 私は垂直に飛び上がり、ホシノさんにジャンピング土下座をした。

 

「調子こいてすみませんでしたぁ!!」

「急に何?!」

「ホシノさんがアビドスを好きな理由、分かった気がしましたので。あなたの大切な学校のこと、悪く言ってごめんなさい」

 

「私にも、特別なもの、一つあったんです!トリニティの通学路の商店街に、アクセサリーショップがあって……色々な羽用の飾りがあったんです。トリニティに入るきっかけになった人が着けてた飾りに似た商品があったんですけど、飾る場所が無かったから、手が出せなくて」

 

 拭いた涙が、またこみ上げて来る。

 

「トリニティ総合学園が、好きだったんです。本当は、嫌いになんてなりたくなくて……一度見ただけなのに、あの子のこと、忘れられなくて」

 

 私は、本当は……

 

「私も、あの子みたいに……ふわふわで、可愛い翼が欲しかったんです」

 

「……そっか。あなたは……よしよし」

「あ……う、ああ、うああああああぁぁー!!」

「ちょ、鼻水!鼻水が……私で拭くな!離れろぉ!!」

「ママ……」

「ママじゃない!」

「マ↓マ↑ァー!」

「フレディ・マーキュリーでもない!」

 

 その後は泣いて、泣いて。泣き疲れたら眠って、朝一で柴関ラーメンに行ってラーメンを食べた。

 

「少子化問題はぁ!モグッ…ウ"…ズゥ…ヘェ…ヘェ…アビドスのみファッハッハッハッハ~ン!!ゥウーン…アビドスのみィアッハァー!!モグッ…ゥウーン…アビドスのみならず!ッヘェ…キヴォトスの皆、フゥ、キヴォトス中の問題じゃないですかぁ!!モグッ…そういう問題ヲッホッホー!!フゥ…解決したいが為に!フゥ…モグッ…私はネ↑ェ↓ェ↑ウハッハッハァ!!」

「何があったかは分からないけど、替え玉食いな。サービスだよ」

「食べるか泣くか喋るかどれかにしなよ?!」

「カシュッ」

「おい待てどこから出したその酒?!ろくでもない第四の選択肢を出すな!!」

「未成年飲酒は駄目だぞ嬢ちゃん?!」

 

 私は、弱い人間だ。

 

 私はトリニティが好きだった。好きだったものを嫌いになって、それで傷付いた。傷付かないように、最初から嫌い、どうでもいいと思って、好きにならないようにした。だけど本当は、どうでもいいことなんて私には一つもないんだ。

 そして、何もかも嫌いにならなる必要なんてない。嫌いになってしまうのは悲しいことだけど、好きなものができることも、好きでいたことも悪いことじゃないから。

 それでまた好きなものを嫌いになったとしても、泣いて、食べて、眠ればいい。そうしたらまた、元気になれる。

 

 すごく苦しいけど、悲しいけど。それでも、やっと理解できた。お姫様はあの子で、私はそうじゃなかった。私は、あんな風に可愛くなれないのだ。

 だけど、それでも生きていける。平民には平民なりの戦い方があって、負け犬には負け犬なりの吠え方がある。だから、悲劇のヒロイン気取りはもう終わりだ。

 

「なにくそです!ザッケンナコラー!スッゾコラー!」

 

 私には今、好きなものがある。だから、ここから始めよう。

 

 私らしく、私なりの……青春の物語(ブルーアーカイブ)を。

 

「ホシノさん、私は……アビドスの外で職探してきます!」

「……そう、元気でね」

 

「ホシノさん!」

「今度は何?」

「私は、ホシノさんが好きです!」

「はぁ?!」

「アビドスが好きです!柴大将が好きです!皆好きです!ですから……」

 

 これが、私が後に『黄金狂』と呼ばれる原因である。

 

「ホシノさんが腰抜かすくらいの金持ちになって帰ってきますから!楽しみにしててくださいね!」




hoi4に生活を破壊されていて投稿が遅れました……大日本帝国でプレイしているのですが、五週目でやっと中国に勝てるようになってきました……補給ハブ建てても供給全く改善されないし山岳とか密林バカ硬いしなんなんこれ

ホシノ……アーマードコアのFCSみたいなことを生身でやる女。救助スキルツリーが中学の時点で解放済み。アビドス編はやらないのでユメ先輩の生死については出てこないが、少なくとも一つは命を救ったことがあるため、二つでも何ら不自然なことはない。
リタ……トリニティに居られなくなって以来、駄目そうなことはやや早めに諦め、真面目にならないことで予防線を張っておくタイプだった。26話でコハルにかましたノンデリ発言はその再発であり、その克服の要因となった先生には感謝している。
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