2025年5月某日の翌日・東京・警視庁 午前11時頃
刑事部長の指示で特命係の2人は自分たちのオフィスに戻ると元特命の神戸警視が杉下の席に座って待っていた。2人が戻ると否や、神戸は特命係の入り口を閉め、その上隣の組織犯罪五係が見える窓のブラインドを閉めるほど徹底的に操作情報が漏れないようにする始末である。そして、特命係の部屋にあるホワイトボードを神戸は裏返しはじめた。そこには今までの時間の流れが書かれていた。
「事件の始まりは去年四月の下旬。日本の香川県高松の香川大学幸町キャンパスの近くにある公園のトイレの個室の一室から始まっています。被害者は会社員上里若景32歳が刺殺されているのをトイレの清掃員に発見されたことから始まったようです。初めは香川県警もすぐに事件が解決すると思っていたようです。なぜなら、明らかに遺体が怨恨で殺されたことを指し示す殺し方をされていたことと、遺体の左手のそばに9枚の市販に流通している一般的な平皿がまとめて置かれた状態でした。遺体は死後約10時間以上は経過していたようです。しかし、捜査線上にそのような人物が出ませんでした。次にその三ヶ月後のフランス・ジロンド県の廃屋で地元の医者であるジョセフィーヌ・フラン28歳が最初の被害者と同じくトイレで同じ遺体の配置仕方と同じ9枚の皿が同じく遺体の左手のそばで発見。ジョセフィーヌの遺体は死後約2日と半日は経過していたとのこと。偶然、空き巣の不法移民が地元警察から逃亡中にその家に逃げこんだところをその空き巣と警官らが発見したようです。ジョセフィーヌの遺体発見後の四ヶ月後、同時期にイギリス・ロンドンで救急救命士のアデライン・アストラル29歳と長野県諏訪市で地元農家の藤森歌雄27歳が両者自宅のトイレで遺体となって発見されました。前の2件と同じような殺し方や遺体並びに遺留品の配置です。アストラル氏は死後2日、藤森氏は死後半日経っていたようです。そして、我々、警察が連続殺人と本格的に気付いたのは今年の5月初旬に遺体で発見されたジャーナリストのイレーヌ・カイン66歳が自身の自宅トイレで遺体として発見したようです。彼女は死後2日経っていたようです。どうやら、フランス市警のの一人の捜査員が以前二人目のフラン氏の犯罪資料を読んでいたらしく、すぐに監察医に傷口の付着物と凶器に用いた刃物の形状を調べさせたところ、フラン氏他3名のDNAが発見されたことでフランス国内だけでなく、ICPOに類似事件がないか問い合わせたところ他の三件が発覚したというところです。発覚したのは4日前。その日の午後10時に大手保険会社に勤める秋原雪乃26歳で京王線南大沢駅付近にある賃貸アパートの自室のトイレで遺体となっているのを最寄りの南大沢警察署の地域課警官によって遺体が発見されたとのこと。発見できたのは、同じ会社の同僚社員が彼女との連絡が突然取れないことと彼女の部屋の換気扇が動いている音が聞こえたことがきっかけで110番通報したことによるもの。その後の司法解剖等で同じ凶器が使用されたことと傷口に付着していた血液が先の5人のものと一致した。事件の大まかな流れはこんな感じです。」
と神戸は杉下と亀山に事件に流れを説明した上で、
「ここからが本題。甲斐さんと自分が杉下さんと亀山さんをパリの国際合同本部に引率することになっています。言わば、特命係の監視役だと思ってください。フランスまで行って勝手に動き回れると色んな意味で困りますから。」
と神戸はお灸を二人に据えていた時事件は新たな方向にむかいつつあることをこの場の3人とも知る由もなかった。
同日同日日本香川県丸亀市最初の被害者上里若景宅
警視庁捜査一課の伊丹、芹沢、出雲の3人はフランスパリ市警のとある警部補からの情報により急遽この丸亀の上里宅に、来ることになった。
「本当に被害者6人と犯人との接点があるのか」
伊丹はパリからの情報にかなりの疑問を感じていた。その上で、聞き込みとはいえ、朝から3人で香川県県警の協力のもと上里宅の中を探し回りかつ慣れない暑さにかなり機嫌が悪くなっていた。
そんな伊丹を出雲は、
「その情報を見つけたアストリッド・ニールセン警部補。かなりの凄腕みたいですよ。KGB(警視庁ガールズボム)の知り合いからの情報によるとパリで発生したオオカミ男連続殺人事件や毒蛇と言われた立証できただけで55人殺しのマフィアの雇われ殺し屋殺人鬼などの犯人逮捕に大きく貢献したみたいですよ。」
「何ですか、オオカミ男、55人殺しの連続殺人鬼。何ですかそれ、って痛った!」
それを聞いた芹沢は興奮した声で興味を示したが、そんな芹沢を伊丹は叩いて黙らさせた
「何人様のことに関しているんだよ。それより、俺たちは日本の警察いや、警視庁のメンツをかけて一刻も早く犯人確保しないといけないだろう。しかし、この家どんだけデカイんだよ。日本庭園の家付きでおまけに池まであるとは。」
「上里さんとXXXXXXXXXXXですよ。」
と芹沢の言葉に出雲は
「香川県警の刑事さんも言っていましたね。XXXXXXXXXXXですよ。」
「だからと言ってXXXXXXだけでは、この連続殺人が関係しているという根拠が薄いだろうよ。」
と伊丹はボヤキながらも証拠を探し回った。
同日日本時間10時・イギリス時間1時
マリアは自分が住んでいるロンドンのアパートの自室で過去にふけていた。それはこのアパートの同じ隣人で親友でもあり、この事件の被害者であるアデライン・アストラルのことだ。彼女の遺体を発見したのはこのアパートの大家とアリア本人だ。本来ならアデラインは殺害されてから早くとも一週間は発見されない可能性があった。なぜなら、殺害された当日から一週間の休暇をとっていたからだ。だが、彼女と近所付き合いがありかつ偶然にも事件解決して久々に帰って来たアリアは、そのアデラインが休暇の時必ず旅行に行くのに何故か自室に引きこもること知り、疑問を持ったことでアデラインの遺体は実は意外に早く発見された。アリアは、彼女の遺体発見時に震えながらも上司のゲールマンと同僚に連絡を入れて、そして刑事として彼女の遺体と向き合った。あの日から、友として刑事として彼女の死の真相を突き止めようとしたが徒労に時間が過ぎていくばかりであった。そんな中、昨日知り合ったアストリッドの言葉で彼女の遺品や彼女との思い出の中に事件の真相が隠されているのではないか。そう確信したマリアは上司のゲールマンと共に、昨日のアストリッドの助言に従い、昨日の捜査会議のことを振り返りながら、アデラインの事件を原点に戻ることにした。
昨日フランス時間午後2時パリ
マリアとゲールマンのコンビが到着し、ひと段落した頃にパリ市警の犯罪捜査部でバシェーン警視正をトップとした国際合同捜査会議が犯罪捜査部のあるオフィスの階の会議室で開かれていた。事件が起きたガスコインを代表としたジロンド県はもちろんスコットランドヤードや日本の香川・長野両県警の捜査員、そして、フランスの検察が今回の連続殺事件があまりの事態であるからパリで発生した狼男殺人事件(アストリッドとラファエルシーズン5 6話 日本語題・満月の夜より)で活躍したプロファイラーのデルフィーヌ•シモンも加えたメンバーが会議室の円卓に座って、これまでの事件の流れを整理するところから始まった。その上で、会議が始まる前に東京で6人目の被害者が出たことにメンバー全員が驚愕した。犯人は、誰の目から見ても明らかな復讐が目的の殺人しかしていない。なのになぜ、犯人はこれほどまでに人を殺す必要があるのか?一体何人殺すつもりなのか?しかし、目的が不明でも殺す人数についてアストリッドは単純にもこのように答えた。
「もしかすると犯人は犯人自身も含めて10人殺すのではないでしょうか?お皿の枚数は日本の怪談話の『皿屋敷』をモチーフにしているのではないでしょうか。もしかすると、このトイレの便座を井戸に見立てたのではないでしょうか。わざわざ、犯人自身に犯行が露見する可能性がある井戸のところまで遺体を運ぶより被害者の自宅や人目につかない場所の近くのトイレに遺棄することの方が犯行や遺体を見られる心配がないです。」
それを聞いた香川県警刑事で香川県警と日本警察の代表を務めるの三好春樹警視はアストリッドにこう尋ねた。
「つまり、犯人はお菊さんの怪談をモチーフにするほど強烈な殺意が籠った復讐心があると言うことかね。それと日本のお菊さんの話よく知っていたね。」
「はい、犯人はそれだけの殺意を持っていると思います。お菊さんを知ったきっかけはテツオです。テツオは日本からの留学生でわたしの恋人です。」
「なるほど、恋人からか。しかし、シンプルにトイレの怪談も日本にある。有名どころだと【トイレの花子さん】だろう。お菊さんや花子さん以外の場合も考えらないかね?」
ラファエルはこの2人がお菊さんとか花子さんとか言いはじめたため、覚悟する必要があった。なぜなら、自信がお化けのことが内心怖くて仕方がなかったからだ。その話を理解するためにはこの二つの怪談を2人に聞くしか選択肢がなかった。
「ねえ。先ほどから、皿屋敷とか、お菊さんとか花子さんとか何なのそれ。」
ラファエルの質問に対して、三好が、ラファエルの質問に答えた。
「皿屋敷と花子さんについてそれぞれ話していく。まず、皿屋敷ですが、日本のある領主の下でお菊という女性が働いていました。ある日、お菊が余りにも美しく要領良い女性であることを妬んだ同僚の女性から領主が大事にしていた十枚セットの当時では滅多に手に入らない十枚の同じ皿のうち一枚を割って、お菊に罪をかぶせた。そのことで領主はお菊を叱責した。しかし、お菊は自信の潔白を主張したが、領主に聞き入れられて貰えなかった。そのため、お菊は領主の屋敷の中の井戸の中に身を入れ命を落とした。ある時を境に、領主の屋敷の井戸の中から幽霊が出るようになった。その幽霊は、皿を数えているが、九枚まで数えると、一枚足りないといった。そのため、この幽霊の正体がお菊ではないかと噂が立った。次第にその屋敷はこの幽霊騒ぎのせいで多くの人がこの屋敷から逃げ出したが、人が去って廃墟になったこの領主の屋敷の井戸からは今もその幽霊が夜な夜な皿を数えているというのが大雑把な話だ。トイレの花子さんについてだが、ある小学校の女子トイレの個室にトイレの花子さんがいるというその個室をノックするとハイという返事と共にトイレの花子さんにさらわれるという話だが。あれ、コスト警視大丈夫か?」
三好が話し終わると、明らかにラファエルの様子がおかしかった。顔面が蒼白となり、実を縮こまらせ、今にも泣きそうになっていた、そんなラファエルをとラファエルの隣に座っていたアストリッドがラファエルを介抱しながら、
「ありがとうございます、三好警視。実は、コスト警視はお化けが苦手なんです。人にはそれぞれ苦手な物があります。」
とあまりフォローになっていないが、これが彼女なりのフォローであった。
マリア自身、この二つの中でやはり復習という意味合いではトイレの花子さんより皿屋敷という怪談話が今回の連続復習殺人のモチーフにしたというアストリッドの考えにこの会議に参加した多くの人が思い始めた。その中でも、プロファイラーのシモンや何人かがいくつかの疑問を持っていた。その内の一人であるバシェールは、
「先ほどの怪談が、もしも犯行やその現場の参考にしたとしても、あくまで推測でしかない。」
とアストリッドの考えをはねのけた。
「ええ、警視正。しかし、一つ目の犯行の状況から犯人はおんなじように犯行現場を演出しています。一つ目の殺人というのは、その後の連続殺人において重要な鍵でもあります。私は多くの犯罪資料を見てきましたが、多くの連続殺人に共通するのが、第1の殺人が肝になるということです。今回の事件は被害者が職種や性別・人種別々です。その上、多くの捜査員が遺体の状況から被害者個人に対しての怨恨による殺人だと思われていました。しかし、実際は国籍が異なり、また何らかの手がかりがあるはずです。」
とラファエルが答えた時、資料を眺めていたシモンは声を上げあることに気づいた。