【WR】ハイキュー!! 『烏の三冠』獲得RTA 烏野(二年目)チャート 作:いる科
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ネンレイ :16
ショゾク :烏野高等学校二年二組
シンチョウ:164
ポジション:MB
セバンゴウ:7
総合評価 :【A-】
◆◇◆--選手説明--◆◇◆
春高にて影山との『変人コンビ』で全国に名を轟かせた、烏野高校排球部の点取り屋。
超人的な運動能力でブロッカーを翻弄する姿から、”最強の囮”と呼ばれる。
素直で明るいムードメーカーだが、緊張に著しく弱いなど意外な一面も持つ。
長男故か、意外と面倒見がいい。
◆◇◆--パラメータ--◆◇◆
スタミナ:【S】:97/100
メンタル:【E】:48/100
パワー :【E】:43/100
バネ :【S】:96/100
ハンノウ:【S】:91/100
イチドリ:【B】:73/100
◆◇◆--スキル(一部抜粋)--◆◇◆
・サーブスキル
【ジャンプフローターサーブ】:【E】:44/100
・スパイクスキル
【マイナステンポ】:【A】:86/100
【ブロード】 :【S】:90/100
【ブロックアウト】:【A】:83/100
【フェイント】 :【C】:62/100
【リバウンド】 :【D】:54/100
・ブロックスキル
【リード】:【C】:61/100
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猫又監督は大の酒好きだ。
GW合宿の夜ともなれば、烏養と武田はいつもその晩酌の席に引っ張り出される羽目になる。
──と言えば聞こえは悪いが、その時間は監督たちにとって貴重な情報交換の場でもあった。
盃が交わされるたびに、各校の話題があちこちへと飛び火する。
「またとんでもねェ一年生仕入れやがって繋心!! どうなってんだお前の高校は!!?」
猫又が身を乗り出すように怒鳴ったのは、氷見 冷のことである。
──実際、烏野がGW中の全ての練習試合に勝っているのは、氷見の存在によるところが非常に大きい。
「知らないですよ……俺もスカウトとかしてたわけじゃないですし」
「はァーー!! 見てろよ繋心、次はうちが勝つからなうちが! 相変わらずジジイそっくりの顔しやがって!!」
「関係ねェ……」
「大人気ない……」
烏養自身、自分たちの無敗記録を未だに現実とは信じ切れずにいた。
(……理屈で整理すりゃ、今の烏野が強いのは当然なんだけどよ。去年のアイツらを見てきただけに、なんだかなぁ……)
泥臭く”新しい”を取り込み、攻撃全振りで格上に挑戦し続けるチャレンジャー。
それが、去年烏養が作り上げた烏野の姿だ。
だが、今年はどうだろう。
縦横無尽の活躍を見せる氷見によって完成した今の烏野は、”絶対王者”の様相を帯びつつある。
全国大会でも”優勝しない方が難しいのではないか”と思えるほどだ。
無論、強くなっていること自体は喜ぶべきだ。
だが──コーチの立場としては、手放しで喜んでばかりもいられない。
ここまで好調だと、チーム全体のモチベーションにも関わってくる。
日向や影山、西谷や田中といった主力選手にはその心配は要らないのだが──。
心配なのは、新一年生の面々だ。
控えに入れていない新一年生たちの”自身も烏野のメンバーである”自覚は、既に非常に薄くなってしまっている。
彼らの様子はまるで、烏野ファンだ。
そこに、燃え上がるような闘志は一切感じられない。
氷見の姿を見て張り合え、というのも酷な話だが──。
いずれ主力となりうる彼らの一年が、”ただチームを応援しているだけ”で終わるのは避けたい。
二軍を作るか──そんな考えも頭をよぎる。
考え込む烏養をよそに、他の監督たちはすでに別の話題へと移っていた。
「梟谷にも凄い一年生が入ってましたね」
「あぁ、立嶋か? まぁ、アイツはなんつーか……ムラがあるんだよな……。ノってる時はいいんだが……」
■ ■ ■
GW合宿、最終試合。
梟谷学園 vs 生川高校──スコアは24:18。
あと一本。
試合を決めるその一撃を任されたのは──木兎 光太郎の背番号を継ぐ、新エース。
立嶋 択斗だった。
「うぉらあッ!!」
渾身のスパイクが、甲高い破裂音を立てて生川コートを貫いた。
レシーバーが吹っ飛ばされ、体育館にどよめきが走る。
「ちくしょう……! やっぱどっちで打ってくんのか分かんねえ!!」
「どーすりゃいいんだ、アレ……」
コートの向こう側で、崩れ落ちながら生川の面々が悔しげに叫ぶ。
スパイクを決めた立嶋の腕には、未だ痺れるような熱が残っていた。
その熱を抱きしめるようにして──立嶋は、天高く己の拳を掲げる。
「はっはー!! 俺様のダイショーーリッ!!」
「俺”たち”な、立嶋」
先輩の冷ややかなツッコミに、立嶋は勢いよく肯定する。
「そっすね!! 言い直します!! はっはー!! 俺たち様のダイショーーリッ!!」
「はっはーから言い直すのかよ」
「つかなんだよ俺たち様って。せめて俺様たちだろ……」
「立嶋にツッコむだけ無駄だろー」
周囲の味方さえ困惑させるその有様は、まさに木兎 光太郎の後継といえる。
梟谷には、おかしなエースを引き込むジンクスでもあるのだろうか。
「すごい音……う、腕……もげる……」
青い顔をして立嶋のスパイクを恐れる谷地を差し置いて、日向は立嶋の元へと駆け寄っていく。
一足先に全試合を終えた烏野は、この試合を観戦していたのだ。
「スッゲー!! ブロック三枚ついてても関係ねぇのな!! ドカッ!! バシュンって!! かっけー!!」
天然おだて上手の日向と、立嶋との相性は──言わずもがな。
「はっはー! そうだろそうだろ! 何せ今の俺は──”豪運”ッ!!」
サムズアップで笑い飛ばす立嶋に、合流してきた赤葦が即座に顔をしかめた。
「日向、ごめん。コイツこういうとこあるんだ……。おい立嶋、他校の先輩だぞ。せめて敬語を使え」
「赤葦さん、ヘーキです! 俺そういうの気にしないです!」
「いや、でもなぁ……」
赤葦は一瞬、言葉を継ぎかねた。
日向が平気と言うなら引くべきか。
けれど、後輩の無礼を見過ごすのは性に合わない。
その間で、彼は静かに逡巡していた。
そんな先輩の葛藤も、立嶋には伝わらず──的確に地雷を踏み抜いていく。
「えっ、アカーシさん、この人先輩なんスか!? 小さいし、タメかと……」
その言葉に、日向の眉間がぴくりと跳ねた。
「ムッ……!」
先輩後輩の上下関係には固執のない日向だが、しかし面と向かって”小さい”と言われれば、いい気分はしない。
(小さいのは分かってるけど、面と向かって言われるとムカつくんだよな……!! でも俺先輩だしな、ガマンガマン……ッ!!)
「いやァ、すんませんすんません。しっかし烏野は強ェ〜っすね!! パズドラでバチクソ大当たりキメた日でも勝てねーんだもんなぁ!」
「パズ……?? あー、ゲームか!? それ、関係あんのか!?」
日向が食いつくように問いかけるが、赤葦は肩をすくめて、溜息をついた。
「ないよ、日向。ただコイツが、”運の良い日”に何故か絶好調になるってだけ。”スターの習性”だ。理解できるものじゃないと思うし、気にしなくていいよ」
「……スターってなんだ……???」
さも当然かのように”スター”という言葉を使う赤葦。
彼もまた、己の世界で生きる者である──。
■ ■ ■
かくして、GW合宿は終わりを告げた。
最後に行われるは、恒例となりつつある全員参加のバーベキュー。
「あ! それ俺の肉!!」
「センパイ、取っときましたよ!!」
「さっすがヒャミイだな!!」
「あの、氷見さん、その、電話番号とか……」
揉みくちゃになって騒ぐ選手たちをよそに──。
「烏養くん、勝率出ました。100%……今年の烏野は……なんというか、凄まじいですね」
「あぁ、そうだな先生。浮かれるのはいけねえが、そこに関しちゃ議論の余地がねえ。だからどっちかっつーと、整理してぇのは他校の状況だ」
武田が纏めたGW合宿、全日程を終えての練習試合の勝率は、極めてはっきりとした序列を示していた。
一位は烏野。
氷見 冷という異質の存在を加えたことで、攻撃力はもちろん、チーム全体の安定感まで劇的に向上した。
誰もが納得する、一位の座だった。
二位は梟谷。
木兎 光太郎という絶対的エースを失ったはずの梟谷は、新たに迎えた一年生──“二択”の立嶋を軸に、強豪としての地位を確固たるものとしている。
木兎とはまた異なる方向性で、相手に対する脅威を確実に保ち続けている。
三位、音駒。
レシーブ力と守備力を武器に戦う音駒だが、烏野や梟谷と比較すればやはり決定力に劣る。
加えて、夜久の抜けた穴を完全に埋め切ったとは言いがたく、かつての“守りの音駒”の盤石さには一歩届いていない。
今のまま”安定”を目指すのか、新たな音駒の形を模索するのか──猫又監督の手腕が試されるところだ。
四位、森然。
ユース合宿を経て著しく成長した“ブロッコリー2号”こと千鹿谷を中心に、シンクロ攻撃を武器とするも──。
烏野の全国大会での躍進により、シンクロ攻撃は各強豪校に無理なく採用され、もはや珍しい戦術ではなくなった。
それゆえ、森然には“新たな強み”が求められている。
五位、生川。
強烈なサーブとブロックを信条とするシンプルかつパワフルなバレーを貫いてはいるが、烏野、梟谷、音駒といったレシーブの強豪たちを崩すには至らず。
結果、最下位に甘んじた形となった。
勝率が示したのは、単なる数字ではない。
各校の課題を浮き彫りにする、意味のある情報──この先にある全国という舞台での命運を決める、大いなる鍵であった。
「……」
しかし、烏野にとっては違う。
全ての試合に勝利した烏野に、一見課題はないように見えてしまう。
Lv100に到達したその先──何を目指すのか。
烏養 繋心の決断は──。
「サーブ練習と2vs2増やすぞ、先生。それと──」
”個人の技術の更なる昇華”と。
「──二軍を作る」
”未来のための布石”であった。