最強孤高の青い春   作:兵器スキー

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先生の術式は「空を面として操る術式」に決定しました!...でもしばらくは行使しません。

-追記-


タイトルが下ネタでした。
気づけませんでした、異論は認めます。
気づいた途端に音速で修正しましたが、本当にごめんなさい。


便利屋邂逅(修正中)

ヘルメット団の残党を相手取っていたのは、アビドス廃校対策委員会のメンバーたちと、顧問の先生だった。

 

戦いはついに大詰めを迎えていた。空気に混ざった火薬の匂いと、乾いた金属音の余韻がまだ頬を刺す。そんな中、最後の一発が放たれる。

 

「よーし、これで最後かな?」

 

ホシノは肩の力を抜いて、のんびりした口調で周囲を見渡した。戦いの残骸と煙の中で、彼の声はどこか緩んで聞こえる。疲労が薄く滲む表情だが、確かな安堵がその裏にあった。

 

「ん、制圧完了だね。先生も指揮お疲れ様」

 

シロコは腰のあたりで銃を下ろし、機械的な所作のまま先生へ労いの言葉を投げかける。彼女の声には戦場で鍛えられた淡い硬さがあり、その声で場の緊張が少しだけ和らぐ。

 

"どういたしまして。私も本当は戦えたらいいんだけどね..."

 

先生は柔らかく微笑み、続けて自嘲じみた笑みを浮かべる。言葉は軽い冗談めいているが、その瞳は内側に張り詰めたものを隠していた。

 

『みなさん、お疲れ様でした。セリカちゃん...怪我はない?』

 

アヤネの操る中型ドローンがセリカの傍に静かに寄り添い、スピーカー越しに問うた。機械の無機的な声だが、そのトーンには細やかな気遣いが含まれているように聞こえた。冷たいはずの合成音が、なぜか暖かく響く。

 

「うん、私は大丈夫。見てよ、ピンピンして...」

 

セリカは答えようとしたが、連戦の疲れが一気に身体を襲ったのか、言葉の途中で視界が揺らぎ、ヘイローにノイズが入る。次の瞬間にはそのまま後方へと崩れるように倒れ始めた。

 

「セリカちゃん!」

 

「ん!」

 

駆けつけたノノミとシロコが反射的に手を伸ばし、倒れ伏したセリカの頭と背中を支える。土の匂い、擦れた布の音、そして誰かの急かす息が耳元を過る。支えられた彼女の体は熱を帯び、微かな震えを残していた。

 

「一回とはいえ対戦車砲を食らったんだよね? ここまで動ける方がおかしいよ。ゆっくり休ませてあげよー」

 

ホシノはやや大げさに言いながらも、その目は真剣だ。戦場で受けた衝撃がどれほど身体に残るかを誰より知っているような説得力。

 

「ん、セリカは私が運ぶ」

 

シロコはすっと立ち上がり、安定した腕でセリカを抱え込む。

 

"(...そういえば、悠二は? 戻ってきてないけど...)"

 

先生はふと、別の仲間に視線を巡らせる。対戦車砲を相手にしていた悠二の姿が、今ここにないことを思い出す。記憶を遡るように頭の中で点を繋げようとするが、映像の一部が途切れている。

 

──まだ戦っている途中だろうか?ただ、戻ってくるはずの者がここにいない。

 

その不安が静かな波のように広がる時、ふと先生の背後から声が割り込んだ。

 

「すまん、ちょっと遅れた...」

 

"...悠二、おかえり。遅くなんて無いから心配しないで"

 

「なら良かった」

 

先生はいつもの優しい笑みを向けると同時に、悠二も仮面の奥で少しはにかむ。

 

"(楽勝とはいかなくても、苦戦するほどの相手ではなかったみたいだね...)"

 

どうやら余計な心配だったようだ。

先生はほっと胸を撫で下ろし、アビドス廃校対策委員会の面々に向き直る。

 

"みんな、悠二も戻ってきたし...帰ろうか!"

 

そうして殺風景だった砂漠には、また一つの笑顔が力強く咲いた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「それにしても、大変なことになるところでしたね。先生がもしいなかったら...」

 

アヤネはセリカがもしあのまま拐われていたらと頭の中で考えたのか、肩を震わせた。

 

「うんうん! 先生と悠二さんのおかげでセリカちゃんの居場所を逃さず追跡できました。やっぱり凄いです!」

 

ノノミは力強く言い切り、ホシノもそれに頷きながら口を開く。

 

「確かに、ただのストーカーじゃなかったってことだねぇ」

 

「ん...そういえば、悠二は?」

 

シロコはふと頭に浮かんだであろう疑問を投げかけた。

 

"あぁ、悠二はセリカの看病中だよ"

 

「ん、体が弱っているセリカに体躯の強い悠二、何も起きない筈がなく...」

 

「「「えっ?」」」

 

突然投下された爆弾に、周囲は凍りついた。

そして、数秒後にその静寂を先生が裂く。

 

"...し、シロコ!? 何処でそんなこと知ったのかな!? というかそんな事無いように言い聞かせてるから!!"

 

「そっか...残念」

 

「シロコちゃん? おじさんはちょーっと度が過ぎてると思うなー?」

 

「...ごめんなさい」

 

まるでコントのような言葉のやり取り。

でもそれは、対策委員会のメンバーが一時の平穏を楽しんでいる良い証拠だった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「...んん、まだ...なでなでして...」

 

アビドス高等学校の保健室に位置する部屋。

部屋の天井に取り付けられたカーテンの内側にある患者用ベッドに伏すセリカは、熟睡と共に小さな寝言を零していた。

それらは、先生と悠二が持ってきた支援物資によってようやく成立した環境でもある。

 

「どんな夢を見てんだよ...まぁ、なんとなく想像はつくけどな」

 

その隣にて幸せそうなセリカの寝顔を見守る悠二。

彼の表情には寝言の内容に対する苦笑が滲みつつも、どこか穏やかな雰囲気も醸し出していた。

 

「はぁ...本来だったら、先生がいる予定だったのに」

 

悠二は小さい溜息と同時に、肩を落とした。

 

(...いや、でも俺が主体でセリカを助けた時点で、仕方ないことでもあるのか......いや、でもなぁ...)

 

頭で結論が左往右往する中、ふと悠二は表情に影を作り、再び溜息をついた。

 

「...怖い」

 

無意識下によって告げられた言葉は、寝言が止んだ病室にただ木霊した。

 

「俺が居ないせいで終わるのも、俺が居たせいで終わるのも...」

 

ぽつぽつと並べてみれば、悠二にとっては以外にもしっくりくる結論だった。

 

「...なんで、終らなかったんだろう。もう、楽になりた──」

 

彼の言葉は、そこで終わった。

理由は二つあった。

 

「あッ───」

 

一つ目は言っては、いけない気がしたから。

自分の存在理由を拒絶している気がしたから。

 

二つ目は──

 

「...何を、言ってるの...?」

 

──悠二を悲しそうに、ただ見つめるセリカと目があったからだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

(...いつから起きてたんだ?)

 

表情は暗いまま、崩れることは無かった。

ただ、心の中は不安で埋め尽くされている。

いま悠二にできるのは最大限の誤魔化しだけだった。

 

「...ごめん、気を悪くさせたよな。先生も待ってるし、行こ──」

 

「待って」

 

セリカの左手が悠二の服の裾を静かに、だが確かに掴んだ。

 

「...今は、駄目なんだ。離してくれ」

 

「なんでよ、別に今でも...」

 

セリカの言葉は、悠二の瞳を見た後に止まった。

暗く、どろどろとしているようで、光を失っている。

自分を助けてくれる時に仮面の隙間から見た、柔らかで澄んでいる笑顔とは程遠かった。

 

「...」

 

 

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