最強孤高の青い春   作:兵器スキー

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投稿が遅れてしまい、本当に申し訳ございません。


掴み損ねた夢の先には

~数時間前~ゲマトリア~施設の一室~

 

薄暗いオフィスの扉が静かに開いた。

 

「小鳥遊ホシノさん、お待ちしておりましたよ...クックックッ」

 

奥には黒い椅子に腰掛けた黒服がいた。

 

「...契約をする上で、追加したい項目がある」

 

「...?取りあえずお聞きし__「五条英一、彼に関して持っている情報を全て吐け」

 

「彼と貴方は今回関係ないのでは?それで問題が無いのならお伝えしますが」

 

「いいから早くしろ...!!」

 

「そうですか......単刀直入に言いますと、貴方が関わっていた彼「悠二」は、「五条英一」と同一人物です」

 

「...は?」

 

私は突然投げられた爆弾に硬直する。

 

「...契約なんだろ!本当の事言えよ!!」

 

だが黒服の言った一言の意味を理解し、怒鳴った。

 

「落ち着いてください、これは本当の事ですよ。」

 

黒服の一言に冷汗が止まらない。

私は元々大人を心の底から嫌いで、黒服の事も心の底から嫌いだった。

だが、コイツが嘘を言っているのは見たことがなかったし、騙された事もなかった。

情報の信憑性だけなら信用できる黒服。

だが、それが今回は裏目に出た。

 

「(落ち着け...私、嘘...いや絶対嘘だ、髪の色や性格、声や一人称まで違うし...そんな訳ない...)」

 

カチャ

 

黒服が黙って記録のカセットを投影機に入れ、再生開始ボタンを押した。

そこから私は文字通り、地獄を見る事になる。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「...何故貴方が生きているのですか?」

 

「俺と契約を結べ、そしたら教えてやるよ。」

 

「一人称、変えたのですね。それで、契約に関しては内容にもよりますが...」

 

「...ホシノとかに一定期間バレないためにな。んで、新しい術式である【御厨子】を見つけた。その情報と恐怖のサンプルをもう一度提供し、何故生きているかも話す。

その代わり、また、3年間、住、籍を提供し、生活品を送る。そしてこの契約は一俺の判断で解除できる。

 

後アビドスの地とそこに住む者達へ、金輪際一切の干渉を禁ずる。これはゲマトリアの全員に抵触する。

 

この契約履行期間中に、契約者同士に会うのはともかく手を出し合わない。」

 

「...あと、これは関係ないが。」

 

「ビナーは、俺が殺した。」

 

「...私はドローンで貴方の戦いを見ていました。…まぁ、途中に気付かれてビナーに撃ち落とされましたが。」

 

「あぁ、あれやっぱり黒服だったんだな」

 

「契約に関しては......いいでしょう、この書類にサインを。」

 

「応...意外にすんなりと受けいれたな。」

 

「受けなかった場合何があるか分かりませんから...」

 

「よく分かってるじゃん...」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「術式情報はこんぐらいにしていいか?」

 

「ええ、もう大丈夫です。」

 

「じゃあ生きてる理由に関してだが、隠蔽したんだ、血痕と本物の腕を使って。」

 

「血痕はともかく、腕はある模様ですが?」

 

「はぁ...治療したんだよ。」

 

「?!...クックックッ...興味深いですね...。」

 

「こんくらいでいいか?」

 

「はい、もう十分ですよ。」

 

「んじゃ、またな。」

 

「はい、お気をつけて。」

 

...カチッ

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

投影機の再生停止の音は、酷く私の心を抉った。

英一との出会いも、今までも...ずっと__

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「...すまん、信じられないとは思うが、僕は敵じゃない。」

 

「いいえ、少しでも動いたら...」

 

「誰ですか...こんな所に用が?」

 

「一旦聞いてくれ、僕はアビドス高等学校の新入__「嘘、つかないでください」

 

__不可解な現象

 

「ぶなっ!?何すんだよ!」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「おーい!!」

 

「えっと...」

 

「ど、どした...?」

 

「学校、どこか分かりますか?」

 

「上から見てみますか...」

 

「え...?どういう意__「ごめん、荷物持ってて欲しい」

 

__軽率な行動。

 

「あの...今のはどういう__「そこそこ遠いから担いでいくね」......へ?」

 

「ちょ!?離し、やめっ__

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「何してるんですか!!!変態!!!ぶっ殺◯ますよ?!?!」

 

__デリカシーのないセクハラ。

 

「なにやってるの二人とも...?」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「あの...」

 

「ん...あ、ホシノか」

 

「流石に殴り倒すのはやり過ぎたと思っています、仲直りをしませんか?」

 

「そうだよね、だって僕何もしてないし...」

 

__人を苛つかせる態度。

 

「はぁ...お前、その挑発を訂正するか自分の脳みそをここにブチ撒けるか、どっちがいい?」

 

「す、すまん! なんでもするから許して!」

 

「...今回だけですよ」

 

「ありが...あ、襲撃か。校門行くぞ」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「あの!手伝ってください!正直数が多いです!」

 

「えー...しゃーないな」

 

「え、いや冗談です!死にますよ?」

 

「まずっ...!?」

 

「しゃらくせぇ...だから戦闘は嫌なんだよ...な!!」

 

「え...?」

 

 

__ヘイローがないとは思えない圧倒的な強さ。

 

「僕から離れないでね」

 

「っ...セクハラ発言もいい加減に__」

 

「領域展開.......無量空所!」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「はぁ...はぁ....はぁ.....疲れた....頭いてぇぇぇぇ....」

 

「はぁっ.....疲れた....頭いてぇ....」

 

「...ヘルメット団は...?」

 

「明日ぐらいには問題なく目を覚ますよ...一瞬だったからな」

 

「一応何をしたんですか...?理解する気は特に無いですけど...」

 

「脳にダメージをほんの少し与えた、本来だったら殺す技だ。それを気絶で止めたみたいなもんだ、本当に問題ない。」

 

「だったら良いんですけど...」

 

「ユメ先輩、いつ帰ってくんのかな...」

 

__彼の消えることなく爛々と光る碧眼。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「...はぁ、なんとか、行けた...」

 

「えっ、起きた...!?」

 

「本当に死んじゃったかと...」

 

「後で話、聞かせてもらうからね....」

 

__そんな存在感に、惹かれる私。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「私たち言いたいこと、わかるよね?」

 

「初日から調子に乗ってしまい、本当に申し訳ございませんでした。」

 

「そうですよ!!抱っこされるし、手を掴まれるしで!出会い以外、最悪でしたよ!?

 

悪くはなかったけど...

 

「え、今なんt_

 

「ぐはぁっ!?」

 

「でもホシノに関しては言い訳させてくれ!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「術式順天、蒼!」

 

「凄いですね...」

 

「掃除機みたい...!」

 

__私が、彼を

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「ホシノ...?何があった...」

 

「...ユメ先輩と喧嘩したんです。」

 

「...!その破れたポスターか...」

 

「はい...借金返済や学校のためになる事を全部英一君に押し付けて呑気に祭りなら何やらを言っていて...ちょっと怒っちゃったんです.........でもどうせ、すぐ帰って来___「ユメ先輩は...今アビドスの郊外に向かっていた、つまり砂漠だ。もう既に奥深い所だと思うし、砂嵐警報も出ていた。僕達も向かって謝りに__「でも!...っ」

 

__好いていることを。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「....先輩...怒っちゃいましたよね.......私のせいで........」

 

「ホ......ち.......」

 

「ホシノちゃん!!!!!!」

 

「ユメ先輩!?!?」

 

「...英一は?」

 

「......英一君...大丈夫、ですよね...?」

 

___それでも。

 

「ぁっ...」

 

「ユメ先輩っ!!」

 

「まさかッ....!!!」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「ホシノ...ごめん」

 

僕のことは搜索しなくて良い......多分地下深くに埋もれて、見つからないと思う...本当にごめん」

 

「ホシノ、聞いてくれ。」

 

「......大好きな人が居たんだ。」

 

「たとえ世界が...滅んでも、僕がその人だけでも守って、幸せにすればいいと思った。」

 

「....その人が守られたいのは、僕じゃなかったのかもしれないのにな...。」

 

「何がどうあれ、ホシノが()()()()()()()()()()()()()()()だ。最期がこのような形になってしまってごめん。」

 

「...後輩がもしできたら、優しくしてやれよ?」

 

「ユメに伝えてくれ、今まで迷惑かけてごめん、そしてホシノ。」

 

「__後は、頼む。」

 

 

__全てが、遅かった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

そう思っていたのに、ノコノコと生きているなんて

 

あれだけ好き放題伝えておいて

 

許さない

 

次会ったら絶対伝えてやる

 

 

___"好きだよ"って

 

 

...でも叶わなかった

 

自分のすぐ側にあった奇跡に

 

彼に、気付けなかった

 

別れを手紙ごときで済まして

 

気付くのを待ってくれていた英一を私は置いてけぼりにしてしまった

 

あはは

 

もういいや、全部

 

どうでもいいんだよ

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

私の目は、さっきまではあった微かな光が消えていたように感じた。

まるで二年前、私が英一とした最後の電話の後かのように。

黒服は、私にゆっくりと、告げた。

 

 

 

「...言える事は言いました、次は貴方の番ですよ。」

 

 

 

「小鳥遊ホシノさん?」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

~実験室~

 

 

「......また、あのユメなんだね。」

 

 

薄暗い実験室の中で、私の独り言が木霊する。

だけど、毎回覚めた後すぐに襲ってくる眠気に耐えられず、

私はまた深い闇に意識を沈めた。

 

「...ずっと、眠っていたいよ。」

 

そんな戯言を残して。




次回「不可逆」


いつも見てくれてありがとうございます。

一読一読が私の背中を押してくれています。
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