良ければ探してみて下さい!
~ホシノ視点~数時間前~黒服のオフィス~
「あぁ、それと...一つ忘れていました」
黒服は【大事なものですよ】...そう不気味な笑みを浮かべながら念を押した。
相変わらずムカつく顔だった。
だけどどこか不気味で、その頭の根底がどうしても読めない。
「...何」
私は...既に壊れた心で、出来る限りの殺意を込めた瞳で、黒服の手に持っている"何か"のケースを捉える。
それは__私の手にちょうど収まる程のハンドガンだった。
「これは、五条英一...彼の不可侵領域、能力を貫通できる唯一の銃です」
「...っ!?」
その言葉に、私は嫌でも瞼を開いた。
(英一の能力を、貫通...?)
思い馳せれば、彼のバリアのような空間の歪み、銃弾ですら余裕で逸らす引力。
ビル一つを細切れにする、不可視の斬撃。
それを貫通できるだと言うのだ、黒服がこれを作るために、何をしたのか予想はついた。
「アイツに...手を出したのかッ!?お前は!!」
溢れ出す怒りを抑えられず...とても後輩には見せられないような声で怒鳴った。
でも黒服は少しも驚くどころか、逆に口端を更に上げケタケタと笑う。
「クックックッ...心配しなくとも、手は出していませんよ...まだ、ね」
「ッ...!」
ギリ、と奥歯を食いしばった。
コイツは性根から腐っている訳では無いが、手段を選ばない"大人"だ。
「...では、本題に戻りましょうか。」
「受けないって、分かってるだろ...?!」
「まぁまぁ...単刀直入に言いますよ」
黒服は相手を挑発するような口調で言う。
これは黒服の得意な技である、相手の冷静さを崩す手だと知っている。
...でも、英一のことになると...つい冷静さが___
「彼をこの銃で"殺して"ください。
望みは全て叶えます。
文字通り...私に出来る事なら何でも、ですよ。」
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「...もう、いらないよね。」
私は通路の外側に広がる広い穴に拳銃を投げ捨てる。
だが、いくら待っても拳銃が底に衝突する音は聞こえなかった。
「......こういう時だからこそさ...最強って言わせてよ」
振り返り、座り込んで未だに血が溢れ出す英一の肩に、手を添える。
体は冷えた金属みたいに冷たいのに、溢れ出す鉄のような匂いの血液だけは、ドロドロしていた気持ち悪くて、だけど暖かかった。
もう、英一は目覚めても苦しむだけだ。
黒服に聞いたが、彼の能力にはエネルギーがいるらしく、そのエネルギーはさっき捨てた銃弾で撃つと一時的にだが使えなくなると聞いた。
「...もう......楽にさせてあげようか__
ふと、独り言と共に一つの思考が頭をよぎるが、その言葉が最後まで紡がれることは無かった。
鉄の扉が乱雑に開く音。
靴が床を蹴る音。
次、聞こえた音は。
"ホシノッ!!"
「...え?」
この世界で唯一...救いではなく、"責任"を誓った大人だった。
次回「表裏の間」
最後まで見てくれてありがとうございます。