最強孤高の青い春   作:兵器スキー

29 / 35
アロナ「ガチャ石吸収アリーナ...」

私「それは本当です?」

アロナ「ソカモナ!」


表裏の狭間

~三人称視点~

 

「なんで、せんせっ...」

 

"生徒のピンチに...駆けつけるのが...私の、意味だからさ..."

 

先生の言葉、容姿がホシノの肩を直接揺さぶっているようだった。

 

傷___焼けて、所々が血に滲む肌。

 

疲弊___息を切らし、呼吸も荒くなっていた。

 

正に満身創痍だ、ホシノは【そんな体では何も出来ないし、自分の身体を大事にして欲しい】と訴えた。

だけど先生の回答はホシノの予想していたものでは全くなかった。

 

"...私は無能なんだ"

 

「っ...!?」

 

突然先生の口をついて出た言葉にホシノは唖然とする。

【あの先生が?】という疑問が頭を埋め尽くした。

 

"戦闘では...前線の後方で、君達生徒の戦いを見て子供相手に、上から目線で指示を出すことしか出来ない。"

 

"そんな力なく、権限を与えられただけで生きながらえている汚い大人なん__「そうだ、ようやく分かったか、シャーレの先生」

 

「っお前は...!」

 

新たな人影の介入にホシノが声を荒げる。

その影の主は...カイザー理事だった。

 

「そんな無能の貴様は【アビドス砂漠で遭難し、そのまま衰弱死を遂げた】...そういう手筈になるからなぁ?」

 

理事は不気味な笑みを浮かべ、勝ち誇った目線で先生を捉える。

 

"それはどういう意味かな?カイザー理事"

 

「分かっているのだろう?貴様のような無駄に賢い大人は...これから起きることを」

 

理事は先生の怒りを孕んだ質問に、嘲笑いながら問い返す。

 

"う~ん、声が小さくてよく聞こえないな...?"

 

先生は逆に笑顔を返し、わざとらしく首を傾げ、聞こえなかったフリをする。

それは挑発だ、いつもの理事であれば意にも返さないレベルの。

 

「なッ!?馬鹿にしているのか...貴様ァ!!」

 

だが今は違った。

度重なる自慢の部隊に対する壊滅的な被害を目の前に、理事の器は崩壊寸前だった。

そして、その器は今崩れきった。

理事は怒りに身を任せ、先生に頭部に拳を当てた...筈だった。

 

"...遅いよ、そのご立派な義体のせいかな?"

 

ドゴォッ!!

 

その拳は先生の引っ張った"空間"によって伸び、捻じれ、自分の頰に返ってきた。

 

「がハァっ!?」

 

鈍い音が実験室に鳴り響き、理事は通路に打ち付けられた。

 

"...ホシノ、英一は知ってるかい?...実はね、さっき__"

 

この時、先生は見た。

暗い実験室、そしてホシノの奥にある屍を。

 

"...は?"

 

つい乾いた声を零す。

光を失った空色の瞳、失血で白くなった肌。

失われた、呪力。

それら全てが"死"という事実を証明していた。

 

"...っ!?"

 

その動揺に駆られ、肝心の敵に気づけなかった先生。

理事の拳に取り付けられたブレードが、先生の胸を切り裂いた。

 

「先生ッ!!」

 

ホシノの叫びが空を裂く。

 

"ッ...ぐぁっ..."

 

先生は痛みを紛らわすために身を捩らせるが、それは出血を加速させるだけだった。

 

"...っ私は、まだッ...ホシノに...ぐぅ゙!?"

 

理事は倒れ込み、傷口を手で塞ごうとする先生の腹部を踏みつける。

嫌な音が響く、骨を砕き、そして内臓がひしゃげる音。

 

「ククク...まだ終われないか?...だが、貴様の命ぐらい、わざわざ出向いてくれば刈り取るのは容易いことだ」

 

"..."

 

「ま、まってっ...せん、せ...?」

 

ホシノの救いであった先生は、もう喋らなかった。

 

「...邪魔者は片付いた」

 

まるで使い捨てた道具に言うような言葉の後、踏みつけた足を離すと、そのシャツは穢れていた。

鮮血に、紫色に、その遙か先には__

 

「ッ...お前えぇッ!!」

 

ホシノは発狂し、拳を構え理事に飛びかかるが、自身に取り付けられた拘束具がホシノを取り押さえる。

理事は暗転するホシノを嘲笑い、告げる。

 

「本当に、何も守れていなかったな!? ましてや同級生を殺すとはなァ!」

 

「ゔっ...うぅっ...!」

 

理事は見下し、暴言を浴びせ、軽蔑した。

ホシノの生きがいはもう、何もなくて、どこもかしこもズタボロだった。

もう自分の精神を支えてくれる存在はない。

残ったのは後悔と、壊された心だけだった。

 

「助けて、助けてよっ...英一...!」

 

泣きながら死体に祈る。

理事は静かな表情で、先生に近づいた。

先生のオーパーツを回収し、死体を灰すら残さずこの世から消すために。

でも理事は見たのは__

 

 

 

 

__背後に近づく六眼の光と、掻き消えた空気だけだった。




次回「二人の超人(最強)、その1人」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。