ホシノと栄一の英知シーンは本編ではかなり後半になると思われるのと、強いてこの場面で書くなら「ヤンデレif」になると思います。
頭が、真っ白になる。
今、自分の唇に触れた温もりの正体が、分からなかった。
目を開ければすぐに分かることだったと思うが、が、突然襲ってきたその強い衝撃に、僕は混乱していた。
でも、その混乱は直後、自分の口から温もりが離れたことによって収まる。
「っ...」
「───ッ!?」
とろん、と。
ホシノの表情を擬音にするとしたらこれが適切だろう。
ただ、暫くの余韻に浸った後、ホシノは冷静さを取り戻したのか、顔を赤く染めたまま馬乗り状態から横に転がり、僕のとなりに座る。
未だに状況の整理が出来ていない僕をよそに、彼女はからかうように言った。
「...私の初めて、嬉しい?」
「言い方...」
「まぁまぁ、いきなり襲ったのは半分冗談ね~」
聞かなかったことにも出来るぞ?
そう言いながら苦い顔をする僕、それを見たホシノはクスクスと笑っていた。
(キスだけで済んで良かった...)
この先は...いや、本当にマズイ。
万が一にも"やらかす"と、先生とかに合わせる顔が無くなる。
そんな思考をしている僕の横で、笑い終わったホシノは僕から顔を反らし、ゆっくりと口を開いた。
「...先生に聞いたんだ」
何をだよ?
そう言う暇もなく、ホシノは続ける。
「"...英一はどこの学園にも所属してないし、これからも面倒事に巻き込まれていくんだろう"ってねぇ?」
(先生...アレ言ったのかよぉぉ...)
確かに以前、先生には"自己の利益と名誉"を建前にこれからも業務や出張を手伝うと約束した。
まぁ、見返りなんて求めていないし、強いて言うならこの世界のハッピーエンドぐらいだ。
話が逸れたが、先生はホシノにも告げ口をしていたのだろうか。
今、ホシノが僕の事を好いてくれていることがは分かった。
でも、これから忙しくなるという言葉は、逆にホシノを不安にさせないか、寂しくなるのではないかと、逆に僕は不安に襲われる。
そんな思考が表情に出ていたのだろうか、見透かしたようにホシノは口を開く。
「...英一は、強いじゃん。」
「...えっ?あ、当たり前だろ。」
「うへ、さっきの口づけで頭が回ってないみたいだね~?」
「な...なんか悪いかよ!?」
袋の鼠のように、何を喋っても、からかわれ、弄ばれる始末。
唇を噛み、さっきから好き放題言っているホシノを軽く睨むと、ホシノは微笑みを返してきた。
「...もし、私とこの続きをしたいならさ。」
せめて、全てが終わってからね。
そう、色気の混じった声で言葉を覆うホシノは、僕の目にはとても不安に見えた。
怖いのだろうか、僕が無茶をし、死ぬのが...
さっきは無意識に強がったが、不意を突かれたら、普通に即死になる可能性もあるだろう。
...勿論、僕の存在がキヴォトス中に浸透することにより、転生初期らへんに立てた2つ目である物語の過干渉を避ける、という目標は実質機能していないと言い切っていいだろうし、自分が死んでも先生がハッピーエンドにしてくれるとは限らない。
(...ん?)
先生、と言えば...シッテムの箱のOSが、アロナなのか確認してなかった。
別に、プラナが嫌な訳じゃない...でももし彼女だったら...色々とマズイ事はわかる。
突然思い出した事項を、頭に入れ...思考を回す疲れに、溜め息と同時に後悔を表情に滲ませていると、不意に軽い衝撃が額に走る。
「んえっ?」
つい、腑抜けた声を出した。
僕は恐らくデコピンを放たれた額を手で抑え、いつの間にか俯いていた顔を上げる。
「英一さぁ、いつも思うけど、溜息多すぎだよ。もうちょい肩の力抜いた方が良いと思うよ?」
「え、そんなにしてたか?」
「うん、今夜だけで何回もだよ?」
「マジか...」
些細なことだが、気付かなかった。
思い返せば、ホシノと別れて、髪が白く染まった理由が分かったかもしれない。
ホシノと...ユメ先輩は勿論のこと、誰とも会わず話さずで。
コミュニュケーションも一切取らずに...七囚人や、スケバン、不良などの強者をひたすら倒す───そんな日々だった。
次第に感情も薄れていたし、ひたすらに治安維持を行うストレス。
(...だから染まったのか、白髪に)
正直ここまで染まるとは思ってなかった、遺伝もあるだろうが、早く気付くべきだった。
自身を蝕む...責任感、なのだろうか。
まぁ寧ろ、実害が出るまでに見つけられてよかったとは思う。
「ホシノ...あっ」
「ん?」
直後、気付けば彼女の名を呼んでいた。
首を傾げるホシノに、頬が赤くなるのを感じながらも、たどたどしく問う。
「俺、これからどうしたらいい?」
「ん~?どうするも何も...」
ホシノは難しい顔などは一切せず、少し思考した後に続ける。
「英一はストレス過多だし...それを抑え込みすぎ、だから...無茶だけは厳禁だよねぇ」
そういうホシノの言葉を引き金に...僕は、自分のしてきた選択を、反射的に振り返った。
_____貴方のせいじゃないよ、英一。
脳内で反響する、存在しない声。
(少しでもホシノを、ユメ先輩を、救えたんだよな...)
昇りゆく太陽によって照らされたホシノの瞳が、そう思える理由になることを、願わずにはいられなかった。
なんか思考が移り過ぎな気がするので、もうすこし違和感なく書けるように努力していきます...!