絶対に"エタる"ということはしませんので、どうか首を長くしてお待ち頂ければ幸いです。
某日。
時刻、午前11時20分。
その日は、まるで先生の初出張終了を祝うかのように明るい空だった。
散りばめられた雲と同じ高度にあたる透き通る青い輪が、淡く光る。
そんな中、出張先であるアビドス高等学校での一件を終え、シャーレに一度戻ってきた先生は、ローラーチェアーに腰を掛けた状態で今目前にある手紙──いや、ロゴだけの白紙を凝視し文字に目線を巡らしていた。
"...う~ん"
ふと、頭を掻きながら無意識下で出されたその唸り声を聞きつけたのか、とある人影がコツ、コツと足音を立てて先生の背後から近づく。
「珍しくないか? 先生が唸るなんて」
男性特有の低く澄んだ声の主、五条英一は目の前にいる大人の物珍しい姿を見て声を掛けた。
"あ、英一。実はね..."
先生は"これを見て欲しいんだけど..."と苦難するように呟いた後、指で摘んでいた一枚の紙を英一に手渡す。
「ん? どれどれ...?」
英一はその紙に書かれた文字に目を通す。
だが、直後に先生と同じ所作で、だが【違う意味】で唸りを上げた。
"...分からないよね? 私もこの言葉の意味が分からなくてね..."
先生が確認を取るように言うと、英一は深い溜め息をついた後、ゆっくりと口を開いた。
「先生...裏って見たか?」
"え? あったの...?"
先生は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をし、思わず硬直してしまう。
「...マジか、先が思いやられるなこれは」
"...そ、その軽蔑の目を向けるのはやめてくれるかな!?"
先生は慌てて英一の書類を乱雑に奪い取り、紙の裏の確認した所──そこにはこう書かれていた。
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【要請・ミレニアムサイエンススクール・ゲーム開発部】
シャーレに降臨した勇者へ
▓月▓▓日、ミレニアムのゲーム開発部の部室にとあるお手伝いに来て欲しいです!
待ってます!
ゲーム開発部・部員・才羽モモイより
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"...ミレニアム? 確か、アロナが前に..."
先生はふと顎に手を当て、以前アロナとの会話で彼女が言っていた言葉を思い浮かべる。
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『──ではご説明しますね。ミレニアムサイエンススクールとは、トリニティ、ゲヘナと合わせてキヴォトス三大学園と呼ばれる大きな学校です』
『通称はミレニアム。そして、他のどんな学園よりも合理と技術に重きを置いています』
『科学の研究に特化しており、理系の生徒さんたちが多く集まっていることが特徴ですね』
『伝統ある名家のような他の二つ、ゲヘナとトリニティに比べると歴史は長くありませんが、影響力という点においては引けを取りません』
『キヴォトスで"最新鋭"或いは"最先端"の名を冠するものは、その殆どがミレニアムから生まれると言っても過言ではないくらいです』
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"...”
しばらく考え込んだ先生は、手先の指を絡ませ伸びをする。
ポキ、ポキと体から疲労の滲んだ音がすると同時に、先生は英一に椅子を回して向き直った。
"英一"
「ん? 休憩か?」
先生の呼びかけに、英一は労るような声色で応じる。
"単刀直入に聞くね。...今回の出張についていきたい?"
だが聞く耳を立てる英一に先生が放った言葉は、彼の予測を外れ、更に困惑させるのに十分な内容だった。
数秒間の沈黙の後、英一はゆっくりと喋り始める。
「...行くことは前提なんだな。まぁ、それは置いておいて。なんで態々聞くんだ?」
"確認だよ"
「おかしくないか? 僕はどこの学園にも所属してないし、ついていくことぐらい分かってるんじゃないか?」
直後、英一は"それに...”と言葉を続けようとして、詰まらせてしまう。
先生が、心配を宿した瞳を、自分に向けていると遅からず気づいてしまったからだ。
「...ごめん。でも、アビドスへの出張を経てから...少し悪い言い方にはなるけど、色々と吹っ切れたからさ」
"それなら良かった。...じゃあ、準備が済んだら行こうか"
──ミレニアムサイエンススクールへ。
これからは不定期投稿になってしまうとは思いますが、少しずつでも進めていけるように努力していきます。