あれから砂嵐が止み、ホシノとユメ先輩は勿論、様々な人が俺の搜索をしてくれていたようだ。
当然心は痛かった...だけど、辛いことは乗り越えると決めたんだ。
最後までやりきってやろうと思う。
一応言っておくと、クロノスの奴がニュースとしても取り上げたようだ。
「蒼き最強が、アビドスの砂漠で行方不明!?」...という宣伝文句で。
勿論、そのニュースのせいかSNSでも物凄い話題となっていた。
だけど。
そんな中、俺は一年という期間を経て、三年生になった。
ホシノ達と別れたのが、二年生になった直後だからだ。
...閑話休題。
少しだけ懐かしい雰囲気でありながら、不気味さも残るオフィスを久々に歩く。
その先には
「よ、久しぶりだな。」
「...何故、貴方が生きているのか...いえ、聞くだけ野暮というものでしょうか。」
なんとなく予想はしていたが、俺の挨拶に対する返事は歓迎ではなかった。
「俺と契約をもう一度結べ、そしたら教えてやろうか?」
「...一人称、変えたのですね...まあそれは良いでしょう。それで、契約に関しては内容にもよりますが...」
黒服は眉をひそめ、右手に持ったコーヒーをデスクに置く。
恐らくまだ警戒しているだろう、そもそも情報は出来る限り帳を用いて消してきたからな...バレていたら逆に困るといったもんだ。
「...ホシノとかに一定期間バレないためにな。んで、新しい術式である【御厨子】を見つけた。*1その情報と恐怖のサンプルをもう一度提供し、何故生きているかも話す。
その代わり、また、3年間、住、籍を提供し、生活品を送る。そしてこの契約は俺の判断でのみ、一度だけ解除できる。
あと、アビドスの地とそこに住む者達へ、金輪際一切の干渉を禁ずる。これはゲマトリアの全員に抵触する。
この契約履行期間中に、契約者同士*2に会うのはともかく手を出し合わない。」
...あと、これは関係ないが。
ビナーは、俺が殺した。』
「……私はドローンで貴方の戦いを見ていました。…まぁ、途中に気付かれてビナーに撃ち落とされましたが。」
「あぁ、あれやっぱり黒服だったんだな」
「契約に関して一つ、ゲマトリアの全員────まぁ...いいでしょう。」
黒服は少し考えた後、いつもの虚構から出現させた書類を俺に差し出す。
「この書類にサインを。」
「...意外にすんなりと受けいれたんだな。」
契約書に己の名前を書き綴る。
「受けなかった場合何があるか分かりませんからね。」
「よく分かってるな。」
とりあえず空気を読んだが、以外にも理由はシンプルだったようだ。
自分の強さがこう活かせて良かったと思う。
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その後すぐ、サンプルと術式情報、なぜ生きているか話せるところまで話した。
だが、ある程度の情報はセーブしなくてはならない。
特に結界術と拡張術式、アレは呪術界で指折りの重要な技術だ。
「んじゃ、またな。」
「はい、お気をつけて。」
シュバン...
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「ククク...あの移動方法が一番不可解ですね...」
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自宅であり、隠れ家であるD.U.地区の廃墟に入る。
少し肌寒い空気と、灰色のベッドが俺を迎え入れた。
取り敢えず順調な筈...今のところはな。
正直俺は、最初のあの状況──
──ホシノとユメ先輩との日常を、心の底から楽しんでいた。
でも、思い出したんだ。
入学式の時に決めた目標の一つ。
【出来るだけ、原作通りにする。】
だからユメ先輩を助け、俺が消えた。
────せめてこの世界だけでは、俺の知る限りの生徒には誰も死んで欲しく無かった。
まあ、どちらにせよ俺の性格的に助けてたとは思うが...
ホシノは原作の性格になってると良いな...と言うか最後の言葉、正直言い過ぎた。
思い詰めてないと良いけど...
念の為腕と血痕だけ残したんだよなぁ...あんまり思い出したくないし、めっちゃ痛かったな。
しかも腕はわかり易い場所に...逆効果だったかなぁ。
そもそもこの世界の目的は、原作通りにすると決めた。
だけど...俺という異物がいる限りこの世界は原作通りにはならないと、それぐらいは何となく分かっていた。
...そう、だから"誘導"した。
(...先生が来るまで、賞金稼ぎでもしとこうかな。)
来なかった場合は、その時考えよう。
術式反転【赫】とか、御厨子使ってれば賞金稼いでもバレない、よな...?
蒼自体は移動と格闘だけに封印しないとな。
俺は...そんな思考を空の遙か先に巡らせてから──
──深い眠りについた。
英一と結ばせたい人(アビドス内)
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