ことね「元アイドル志望にVtuberは荷が重いデス……」   作:とるてぃーや

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第11話 平田明美もしくは『エリカ』

 遡ること数日前。

 

 詩歌の後押しもあって、Vtuberとして活動することに前向きになっていたあたしは、そのことを峰岸さんに伝える機会を伺っていた。

 ……けど、あたしはなかなかそれを伝えることができずにいた。

 

 いや、別に事務所で会った瞬間に言うとか、とりあえずメッセージだけ送っとくとか、いくらでもやりようはあったんだけど。

 なんていうか、まあ……ただ単にあたしがビビってて、さりげなく言えそうなタイミングを待っちゃっただけ。

 

 そうやって意味もなく数日経ってしまったある日のこと。事務所で2人っきりで、峰岸さんが珍しく外出せずに黙々とPCで作業していた。これ以上ないくらい完璧なタイミングだった。

 

 よし、今だ……ここしかない……!

 

 そう思い、いざ切り出そうした瞬間──

 

「あ、そうだ。ことね、ちょっといいか?」

「っ……!? は、はい、大丈夫です……!」

 

 椅子から腰を浮かせようとしていたあたしは、そっと座り直す。うう、またタイミング逃した。

 

 そうやってこっそり落ち込んでいたあたしだったけど、峰岸さんの話を聞いた瞬間、すぐにそれどころじゃなくなった。

 

「新しいメンバー?」

「ああ、近々ウチに所属することになってる」

「えっと……それって、誰か新しくデビューするってことですか?」

 

 声が上ずってたかもしれない。一瞬で喉がカラカラになる。デビューの相談をしようと思っていたときに、コレだ。あたしは出遅れたんじゃないかと、気が気じゃなかった。

 

「いや、そうじゃなくてな。個人勢に『エリカ』ってやつがいてな。知ってるか?」

 

 ……よかった、新人じゃない。これなら、まだ相談の余地はある。

 

 それはそれとして、『エリカ』については全然知らなったので、頭を切り替えてその場で調べ出す。割と有名らしく、すぐに出てきた。

 ……なるほど、配信プラットフォームが違うのか。詩歌が配信に使っているのと比べると、ゲームにより特化しているプラットフォームみたいだ。そりゃ気づかねーわ。

 

「おお……フォロワー数すごいですね。サブスクも順調ですし」

 

 数字だけで言えば、今の詩歌とそこまで変わんない。プラットフォームが違うし、収益構造も違うから、単純な比較は難しいけど。

 けど、一番すごいのは個人の活動でこの数字ってことだと思う。アイドルで例えると、プロデューサーにも事務所にも頼らずにセルフプロデュースしてるってことだし。

 

 ……別に、事務所に所属する必要なくね? そう思ったけど、そんな単純な話でもないらしい。峰岸さんが説明してくれる。

 

「そりゃ個人の方が収益的には有利だけど、1人で発信とか、企画とか、経理とか全部やるのって大変だろ?」

「まあ、確かに。だからアイドルとかも事務所があるわけですし」

「だろ? そういうわけで、最近になってサポートしてくれる事務所を探していたんだってよ」

「それで、わざわざウチを? こう言っちゃなんですけど……よく口説けましたね? あ、今度はフルコースでも奢ったんですか?」

 

 峰岸さんは「ちげーよ」とだけツッコミを入れると、事情を説明してくれた。

 

「まだ専門にいたときの話だけどな、資金集めで色々と仕事を受けてたときがあるんだ」

 

 練習も兼ねてたから相場より安かったけどな、と付け加えられる。

 

 ……ふむふむ、なるほど。

 

 どうやら、その仕事の中にVtuberの2Dモデルの制作依頼があったらしい。それで作ったキャラクターが、『エリカ』なのだという。

 

「えっと、つまり……その『エリカ』の中の人とは知り合いってことですかぁ?」

「そうだ。依頼の打ち合わせで何回かやり取りしたことがあってな。デビュー後は特に関わりはなかったんだが……」

 

 中の人の名前は明美って言うらしいんだけど、どこからか峰岸さんが事務所を作っていたことを最近知り、ダメ元で連絡してきたらしい。

 そして、それを峰岸さんが受け入れたと。

 

「やるじゃないですかぁ! これで、事務所の体制もさらに盤石ですね!」

「まあな。ぶっちゃけラッキーだったわ。そういうわけだから、今後は『エリカ』の指導の方も頼む。運動は得意らしいけど、ダンスは未経験らしいから」

「まっかせてください! 最近はあたしも毎日ランニングしてますから! ちょっと人が増えるくらい、へっちゃらです!」

 

 ……とまあ、こんな感じで、あたしのデビューの相談どころじゃなくなっちゃったのでした。あたしはあたしで受け入れの為の準備があったし、峰岸さんも『エリカ』の3Dモデルの準備やら次の企画やらで忙しくなったし。

 それこそ、中の人の苗字を聞くのを忘れるくらいには。

 

***

 

 そんなこんなで顔合わせ当日となり、詩歌も含めて事務所に全員集合して『エリカ』の到着を待つまではよかった。詩歌は顔見知りが発動してたけど、仲間が増えること自体は楽しみにしてるぽかったし。

 だけど、実際にインターホンが鳴って、あたしが応答してから空気が変わった。聞き覚えのある声で『平田です』って言われた瞬間、まさか……って思った。

 

 いやいやいや……そんなわけないっしょ。どんな確率だよ。そんな風に考えながら玄関を開けたんだけど……まあ、そゆこと。

 理由はよくわかんねーけど、平田に妙に敵視されてるからなぁ……あたし。一応あたしはそこら辺上手いことやれる方なんだけど……転校初日からアレだったもんだから、結局どうしようもなかった。

 当然、対面したときの空気は最悪も最悪で……極月学園の連中が乗り込んで来たときに似た緊張感の中、「「はあ?」」って声だけが完ぺきにハモった。

 

「ちょっと、なんでアンタが──「お待ちしてましたぁ! 早速、ご案内しますねぇ!」

 

 とりあえず、平田が変に噛みついてくる前にバイトで鍛えた接客モードで無理やり事務スペースまで引っ張って行った。

 ……抵抗はされなかったけど、その間ずっと続いた背中からのチクチクとした視線がうっとうしかった。ここの廊下がこんなに長く感じることがあるなんて思わなかったわ。

 

「よう、おはようさん……なんかあったのか?」

 

 入室した途端、なにかしらの異変を感じた峰岸さんが尋ねる。そして、あたしが答えるよりも先に、あたしの手を振り払った平田があたしの前に出た。

 

「……なんで、藤田がいるわけ?」

 

 いきなりそれかい。どうせそう言うだろうとは思ってたけどさ、それでも聞いててあんまいい気分じゃない。

 てか、これから所属する事務所の社長なんだから敬語くらい使えっての。手毬だってそれくらいはできてたってのに。

 

「ん? もしかして知り合いか?」

「家が近所で、小学校も同じだっただけ。それで? まさかとは思うけど、ここのライバーなんじゃ──」

「違うっつーの。あたしはここでバイトしてるってだけ」

 

 めんどくさいことになりそうだったので、先に割り込んで否定する。詩歌がなにか言いたげにしてたけど、あたしは彼女だけに見えるように人差し指を唇に当てた。

 

「ふーん、アンタなんかがね……」

「なに、悪い?」

 

 平田はあたしの方に向き直ると、わざとらしく鼻を鳴らす。どう考えても馬鹿にされてる。

 

「ずっとアイドルごっこしてたアンタにVの事務所でバイトなんかできるわけ?」

「言っとくけど、もう4ヵ月くらいは経ってっから。役立たずだったら、とっくに追い出されてるっしょ?」

「どうだか……またあざとくしてたんじゃないの? アンタ、あのときだって……!」

「は? あのときってなんだよ。あたしら別に関わりなかったっしょ」

 

 バチバチと視線をぶつけ合う。この場にいるのがあたしたちだけだったら、いつか手が出てもおかしくない状況だった。

 だけどこういうとき、ちゃんと止めに入ってくれるのが大人の峰岸さんだった。気づかない内に近づいていたらしく、あたしたちの間に手を差し込んできた。

 

「一旦落ち着け。明美たちになにがあったのかは知らねーけど、ことねはれっきとしたウチのスタッフだし、大事な戦力だ。ウチに入るなら、公私くらいはちゃんと分けろよ?」

「……そこまで言うなら」

 

 明らかに納得してる声色じゃなかったけど、ひとまず場は収まりそうだった。あたしもあたしでいつまでもコイツの近くにいたくなかったので、とっとと詩歌の側に移動した。

 すると、詩歌が小声で話しかけてくる。

 

「……大丈夫?」

「まあね。ったく、なにがあんなに気に食わねーんだよ……」

「ええと……同じ小学校だったんだよね?」

「そうなんだけど……でもぶっちゃけ、それだけなんだよなぁ。後は、町内会のイベントで見かけたくらいで……」

 

 運動会とか、お祭りとか。そんときだってあんま話さなかったし、喧嘩もしてない。だからこそ、考えれば考えるほどよく分かんねーんだよな。

 

「んじゃ、改めて。これから事務所にライバーとして所属することになる『エリカ』の平田明美だ。告知は明日出すから、それまでは表には出さないように頼む」

「……よろしく」

 

 一言だけ挨拶をした平田は、腕を組んだままムスッとしている。結果出してるから今は見て見ぬフリするけど、ほんとガキみたいな態度だ。

 

 コイツにレッスンすんのかぁ……マジで嫌だなぁ。いや、仕事だからちゃんとやるケドさ。

 

 渋々頭の中でレッスン方針を思い浮かべていたら、詩歌が一歩前に出て平田の近くに寄る。それに気づいた平田は顔をそっちに向け、腕の構えを解いた。それくらいの配慮はできんのか。

 

「……『古渡かすみ』の芽衣野詩歌です。これからよろしくお願いします」

「へえ……アンタが最近話題の『ことカス』か。歌もゲームも上手いんだってね? なかなかやるじゃない?」

「いえ、それほどでも……」

 

 ほっとする。ちょっと偉そうだけど、少なくとも詩歌に噛みつく様子はない。詩歌も詩歌で、あたしと会ったときみたいに縮こまってないし。

 これなら、今後のコラボくらいならなんとかなるかな?

 

「今後の方針だが、基本的に配信の方針は各々で決めていいし、なにかを強制したりもしない。ただ、箱の宣伝と『エリカ』の加入の喧伝を兼ねて、何回かはコラボ配信してもらうけどいいよな?」

 

 2人とも頷く。それと、コラボ配信の内容自体は自由らしい。まあ、『エリカ』の配信もゲームが中心だし、どうせなんかのゲームになるっしょ。

 

「ただ、事前に説明はしたと思うが、それとは別に3DでのMVとかライブとかはマストでやってもらうから、今後はその為の準備やレッスンも受けてもらう。それもいいな?」

「ええ、分かってる。むしろ望むところだから。レッスン場についても──」

「ああ、それは心配ねーよ」

 

 どこか自慢げなトーンで峰岸さんが割り込む。きっと、あたしのことを話すつもりなんだろうなぁ。

 

 それだけ信頼してくれてるってのは素直に嬉しいけど。

 ただ、オリンピックに悪口部門があったら、手毬が金メダルを取るのと同じくらい、確信してることがある。

 

「──ウチの事務所の場合、その辺りのことは全部ことねが見てくれるから」

 

 平田のやつが、あたしのレッスンなんか受けないって。

 

「……はあ?」

 

 ──ほらね?

 

「アタシが、コイツのレッスンを……? 冗談でしょ?」

 

 部屋の温度が1段下がった気がした。そんな平田の声に、詩歌は肩を竦めた。まあ、しょうがない。怒鳴ってるわけじゃないけど、その分かなりドスが効いてるし。

 一方のあたしは、あまりにも予想通り過ぎる光景に、やっぱりかと溜め息が出る。

 

 ……ただ、それと同時に……胸の奥がチクリと痛んだ。

 

「なわけねーだろ。ことねが初星出身なのは知ってんだろ? だから──」

「ちょっと可愛いだけで調子に乗って、なにもできずに逃げ帰って来ただけでしょ? そんなやつに教わることなんてあるわけないでしょ!」

 

 まただ。今度はズキリと、さっきの傷口が棒で広げられたような痛みが走る。知らない内に唇から血が滲んでいたのか、口の中に鉄の味が広がる。

 

 そりゃ、傍から見たらそうかもしんねーけど。けど、あたしだってあたしなりにがんばってたのに……っ。

 

 愛想振りまいて、限界までバイトして、無理してレッスンして。

 結局夢には届かなくて、お金の問題で転校して。

 失敗はたくさんしたし、後悔してることもある。それでも、最近はその経験を活かして事務所に貢献できたと思ってるし、新しい道も薄っすらと見えて来たのに。

 

 それを、そんな一言で片づけないでよ……っ。

 

 そんな風に考えていたときだった。峰岸さんの声が聞こえたのは。

 

「……あのなあ」

 

 呆れたような、それでいて苛立ちが混じったような声に聞こえた。本気で怒ったときの峰岸さんの怒鳴り声は、今でもはっきりと思い出せる。

 

 ……まずい。これは、あたしと平田の問題なのに。それを事務所にまで持ち込む平田も平田だけど、それが原因で色々と拗れるのはヤバい。だって、『エリカ』の加入は事務所にとって絶対にプラスだから。

 

「……まあ、別にいいんじゃないんですか? あたしとしてもそっちの方が詩歌に集中できて楽ですし」

 

 なるべくどうでもいい感じの、ちょっと買い出しの付き添いを断られたくらいの調子の声で、峰岸さんに近寄りながら語りかける。

 

「いやお前、なに言って……」

 

 峰岸さんがあたしの方を向く。そのときの視線はまだ鋭かった。ただ、あたしの顔を見た瞬間にそれは一変した。

 

 あたしは大丈夫ですから。そういう気持ちを込めて、峰岸さんを見る。もしかしたら苦笑いを浮かべているように見えたかも。

 

 それでも、峰岸さんはちゃんと察してくれたらしい。最後には、あたしにだけ分かるように細い息と共に怒りを吐き出してくれた。

 

「……分かったよ。けどな、事務所としてはことねが専属のトレーナーなんだ。そんなに言うならレッスン代は自腹になるぞ?」

「分かってる。もう目星は付けてるから」

 

 なんとか場は荒れずに済んだようだ。思うところはあるけど、ひとまず胸をなでおろした。

 

 その後は淡々と事務的な話をするだけだったので、何事も起きずに顔合わせは終わりを迎えた。

 

 平田が帰宅後、峰岸さんからは事情を聞かれたりすることはなく、ただ一言「すまん」とだけ言われた。まあ、Vtuberの活動的に顔を合わせることなんてほとんどないし、「気にしなくていいですよぉ」と返した。

 

 ……ただ、このときは気づいてなかった。

 

 この顔合わせの最中、挨拶以外ではほとんどしゃべっていなかった詩歌が、密かに平田に対して不満を持っていたことを。

 

***

 

 顔合わせから数日後。無事に加入の告知も終わり、とうとう『古都かすみ』と『エリカ』のコラボ配信当日になった。

 お風呂上りのあたしは、自室の布団に寝転がりながらスマホで配信が始まるのを待っていた。

 

~【初コラボ】初めましてからの10先対戦会! 先輩の威厳見せます~

 

 配信タイトル的に、2人は対戦ゲームで10本先取をやることにしたらしい。ゲームのタイトルを調べてみると、どうやら最近人気の格ゲーの1つらしい。

 一応、ゲーセンで見たことあるからどんなゲームかくらいは知ってる。キャラ同士で殴り合うってことくらいしか知らんけど。

 

 ……ってか、平田の配信、ほとんどそれじゃねーか。露骨すぎんだろ、アイツ。そう思ってたんだけど……2人のメッセージのやり取りを見た感じ、詩歌の方が提案したっぽい。平田はむしろ、本当にそれでいいのか確認してる側だった。

 

 かなり自信があるらしく、実際にアーカイブをチェックしてみると、確かに言うだけはあるなと感じた。

 『エリカ』のときのアイツは結構キャラを作っているらしく、ちょっとお嬢様っぽい口調だ。そんな彼女だけど、ランク中のゲーム画面にはちゃんと『マスター』と書かれていた。

 詩歌がよくやっているゲームでもマスターは最高ランク一歩手前だし、多分どの対戦ゲームでも高い称号の筈。

 対戦の様子も見てみると、なにやってるかよく分かんねーケド、なんか難しそうなことしてるっぽいし。

 

 詩歌がFPSバカ強いのは知ってっけど……ほんとに大丈夫かぁ、コレ? あんま一方的な展開になるのも、コラボ的にはよくないと思うんだけど。

 

 そんな心配の中、蓋絵が取れて配信が始まった。あたしがゲストで出る配信を経験してたからか、詩歌は初めてのコラボでもスムーズに開始できたっぽい。なんだかんだ役に立ってたのか、アレも。

 

『ごきげんよう。個人勢改め、V-CACAO所属のエリカですわ。古渡さんのリスナーの皆様、これからよろしくお願いするわ』

『古渡かすみでーす。ようこそ、V-CACAOへ。みんな、これからよろしくね』

 

 穏やかな滑り出し。それからも場を温める雑談を交えながら対戦の準備を進めていく。コメント欄も楽しそうだ。

 一方で、詩歌の配信のコメントは少し心配もしてるようだった。それはあたしと同じ理由で、リスナーたちも詩歌の格ゲーの実力が分からないようだ。配信したことないから、当たり前だけど。

 

 ……でも、それはマジでただの杞憂だったっぽい。どうしてかって? いやだって──

 

『……ぇ。ぐ、グラマス……?』

 

 一瞬素に戻った平田の声が配信にはっきりと乗った。同様に、どちらのコメント欄もざわついていた。

 そりゃそうだ。詩歌……つまり『ことカス』のランクは明らかにマスターより上だと分かる、グランドマスターって書かれていたんだから。

 

コメント

  :え……グラマス?

  :マジかw

  :FPSだけじゃねーのかよw

  :配信でやってくれw

  :ことカス、先輩として全力で分からせにいく模様

 

『……どうしたの? 早く座ってよ』

『っ、ええ……分かってるわ』

 

 うーわ。こうなるって分かってて隠してやがったな、詩歌のやつ。声の調子やモデルの表情から、詩歌が意地の悪い笑みを浮かべている姿が見える。

 

 一緒にゲーセンに行ったときのことを思い出した。そういえば詩歌、音ゲーとかもめちゃくちゃ上手かったわ。

 

 ……ちなみに後日、詩歌になんで格ゲーの配信をやらないのかって聞いたら、「負けるとイライラしすぎて配信を破壊しちゃいそうだから」って言われた。

 つまり、裏ではよくキレたりブチギレたりしながらやり込んでたらしい。そんな詩歌、想像がつかないけど……誰も見てないところでは色々あるってことで。

 

 ……え? 10先の結果?

 

『うーん、そこでそれは通んないかな~』

『ぅ、くぅう~~~!!』

 

コメント

  :ぇ、そこのジャスガ取れんの……?

  :えっぐw

  :エリカ嬢も上手いんだが……ランク差がありすぎる……

 

 

『……参りましたわ』

『ふふん、先輩ですから。じゃ、罰ゲームはどうしよっか?』

『え゛っ、そんな話してませんでしたわよね!?』

『今決めたからね~』

 

コメント

  :ことカス、ことカスすぎるw

  :でも、これだけ差があって2本取れたのマジですごいわ

  :罰ゲーム……ボイスか!?

  :これはパワハラですね……

 

 ……とまあ、こんな感じ。10:2で詩歌の余裕の勝利だった。

 途中、あまりにも圧倒的過ぎたもんだからしらけないかが心配だったけど、むしろその逆で、隠れた強プレイヤーの出現にリスナーは大盛り上がりだった。

 翌日確認したら、切り抜きとかも結構上がってて話題になってたし。

 

 平田も平田で結果には衝撃を受けてたっぽいけど、解散直前にはいつかリベンジすると息巻いていた。

 

 そういう意味ではコラボ配信は大成功だったけど……危ないラインだったと思う。一歩間違えてたら逆の結果だった。

 

 一応、詩歌にやりすぎだって言ったけど、「だって、ことちゃんのこと馬鹿にするから……」って言われてしまって、あたしはそれ以上注意ができなかった。

 

 だってさ……嬉しいじゃん、そういうの。

 

 

 

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