デレステアイドルと秘密基地   作:narumimarimo

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わかばちゃん、じゃなくて上官ですか!?

 名無湖(なむこ)の近くの補給キャンプ。

 今では数少ないきれいな湖ということで観光地化してはいるが、地球連邦の秘密基地の入り口でもあるという。

 新人兵の一人である俺は、キャンプで基地の隊員と合流するためにやってきた。

 

「必ず往復分の予約を取って観光バスで来ること、か。

それに、この荷物の意味はなんなんだ?キャンプでも買えそうなものだろうに。」

 

 バスから降りて、バスを見送る。

 帰りの分のチケットは使うことは無いだろう。

 

「あとは時間まで出店でも見ながら待つとするか。観光しないのも目立つだろうしな。

 出店は大型テントや大型の車を使ったものがほとんどで、建築物と言えるようなものは展望台を兼ねた見張り台くらいしかないようだ。

 まずはどれを見ていくか。大型テントからがいいかな?」

 

 歩き始めてすぐ、突然大音量のサイレンが鳴り響く。空襲か?

 隠れる場所を探して走り出す。ってどこに走ればいいんだ?

 頑丈そうな建物なんかあったか?基地の入り口は?叫んで聞けばだれか答えてくれるのか??

 住人はきょろきょろ見てるだけだ、くそっ、テントでも何もないよりはマシなのか?

 

「避難所はこっちの道をまっすぐいけばすぐの大きなテントですよー!いそいでくださーい!」

 

 女の子が道を戻って住人たちを案内しようとしている・・・

 中学生くらいかな?かわいい。

 

「いや君も逃げないとまずいだろ!こっちで良いんだな?」

 

 俺は女の子を抱えて走り出す、足元悪いし子供が走るよりは速く走れる!

 

「え、あの、ちがう、私は違うんですよー!だれか説明してくれる人、いませんかー!」

 

「抗議はあとで聞くから逃げてから!

 避難所はこの道をまっすぐだ、みんな走れ!!」

 

 出店に使われていなかったテントが中はシェルターになっていた。

 どの程度の攻撃に耐えるのかはわからないが、とりあえず腰を下ろして息をつく。

 

 さっきの女の子は「子供じゃないのに・・・」って言ってすみっこに行ってしまった、悪いことしたかな?

 

 ところで、基地からの救助が来たりはするんだろうか?

 秘密基地というくらいだから期待はできないかもしれないな、と思い、とりあえずは目を閉じ、体力温存に専念する。

 こんなシェルターがあるだけでもたいしたもんだとは思う。壁にする物もない環境もあると聞くしな。

 

 しばらく経つと、遠くから歌が聞こえてきた。

 空襲警報らしきものが流れて避難した状況で流れる音楽としては場違いなほどに明るい音楽だ。

 

 避難していた人たちがホッとしたような様子を見せ、シェルターから歩いて出ていく。

 空襲が終わったことを知らせる音楽だったんだろうか。出店の店員さんたちが真っ先に動いているから、たぶんあっているとは思うが。

 

 あ、さっきの女の子だ、みんなにめっちゃ頭撫でられてる。

 

 ふらふらしながらこっちに来た。

 

「めーがーまわるー。

 大変な目にあいました。

 あれ、あなたは、さっき避難したときに会ったかたですね。

 あの時は心配して運んでくれたんですよね?ありがとうございました。

 この音楽なら被害はほぼ無いと思いますので、心配はいらないと思いますよ。」

 

「お互い無事でよかった。

 さっきの音楽が空襲が終わったことを知らせるものだったんだね。」

 

「そうですね、ここの拠点周辺だけだと思いますが、被害がほとんど出なかったときは歌、ある程度の被害があれば歌なしの音楽だけ。大規模な被害が出た時には文章の読み上げになります。

 なので、空襲の後に流れたのが歌だったらある程度安心できることになりますね。絶対とは言えませんけど。

 あの曲なら相手は少数の爆撃機、接近すらさせずに撃退したくらいの圧勝でしょうね。」

 

「曲によっても違うんだ?」

 

「そうです、敵の種別や機体数、迎撃の達成率、被害の程度などがわかるようになっています。

 歌が入っていればとりあえず安心、くらいに考えていれば問題は無いと思いますよ。

 わたしも長年の経験でなんとなく覚えているくらいですけど。」

 

「なるほど、ありがとう、覚えておくよ。

 長年って君みたいにかわいい子が言うのも面白いかな。」

 

「かわいいと言ってもらえるのはうれしいですけど、たぶんあなたよりはすこし年上だと思います。

 その服装だと新人隊員さんですよね、わかばおねーさんって呼んでもいいんですよ?」

 

「えっ、マジで?年上なんですか?」

 

「はい、たぶんですけど。これでも結構ベテランなんですから。

 地球連邦極東方面軍76番大隊湖下孤立機械化中隊所属の日下部若葉大尉です。」

 

「失礼いたしました!

 76番大隊湖下孤立機械化中隊所属予定、ジャック・J・ブレット少尉です!」

 

「わかばおねーさんって呼んでくれないんですか?」

 

「えっと、呼ばなくちゃいけませんか?」

 

「普段まったく呼ばれないので呼んでほしいとは思います!今は非番ですし!

 珍獣とか小動物とか毒蛇とかアリ地獄とか呼ばれるのは癒されないんですよ!!」

 

「若葉お姉さん、なんでそんな呼び方されてるんですか。」

 

「必死で戦ってるだけなんですよ!生き残ること優先ですからカッコいい戦い方とは縁が無いですけど、納得いかないのです!

 でも、ジャック君がおねーさんって呼んでくれたので充電ばっちりです。

 さて、基地まで案内しますよ、こっちですー♪」

 

 防空壕を出て走り出す、こっちを振り向きながら走るから見るからに危なっかしい。

 

「足元ちゃんと見ないと転ぶから気を付けてくださいね。」

 

「なんか子供扱いされてるのは変わらない気がしてきました・・・」

 

 急にショボーンしてる、かわいいけどちょっと子供っぽい。

 

「気のせいじゃないかな若葉お姉さん。」

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