座に刻まれる位の悲しみを体験させたマスターと体験させられたサーヴァント達の(非)日常   作:ガジュマルさん

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あったかい朝食を作ってくれる女の子(とカラクリ)

「マスター様、本日はいかがお過ごしでしょうか?」

 

「見てわかる通り元気だよ」

 

「それは重畳、何事も元気が1番と申しますから」

 

 

 背景、どこかの誰か様へ。

 俺は今、にこりと笑う少女とともに、俺の家で暮らしています。

 幸せは歩いてこないと言うけれどあれは嘘です、めちゃくちゃ向こうから歩いて来られましたよ。

 

 

「ザンッ」

 

「斬ザブローも、いつもありがとうな」

 

「……ザンッ!」

 

 

 なんかよくわからないロボットも一緒に、一つ屋根の下で。

 ……素直に、喜んで良いのでしょうか?

 

 

「いざ、いざっ、ぱぱっぱっぱ〜♪」

 

 

 という現実逃避はさておき。

 キャスター……出雲阿国と名乗った彼女は、出会ったその日から俺の家で暮らしている、なんなら家事とかもしてくれてる。

 なんでもマスター様(俺)を守るにはこれが1番であるとかで。

 

 俺のことをマスターと呼ぶ、それはつまり逆説的に彼女らはサーヴァントであると言うことになるのだが、一つ声を大にして言いたい。

 

 

「……いや聖杯戦争はッ!?」

 

「今のところ、存在すらしておりませんね」

 

「じゃあ君たちは?」

 

「故なく呼ばれた逸れ者ということになります」

 

Why(なぜ)?」

 

I don’t know(知りません)

 

「えぇ……」

 

 

 召喚主がいないということ。

 いやマスターは俺らしいんだけどそうじゃない。

 聖杯という呼び水がなければ、下手すればサーヴァントという国すら滅ぼせる使い魔なんて、現代の魔術師には不可能だから。

 

 一部の規格外級は除くが。

 

 そもそも俺とて召喚術を試した覚えはないし……。

 

 

「まあまあマスター様、そのようなことは隅の方にさて置きまして、朝餉の時間と致しましょう。今日はフランスパンと阿国特製のコーンスープをご賞味ください!」

 

 

 普通に魅力的な朝食やめてね。

 日本のサーヴァントなのに洋食のバリエーションに富んでいるのは、彼女の性質故であろうか。

 

 

「新しきものが大好きなんだっけ?」

 

「そうですとも! 和食も良きことではありますが、やはり新しきこと、新しき風は皆さまに笑顔を届けるものですからね」

 

 

 そう言って朗らかに笑うキャスター、そう言うものなのか?

 それはさて置き、冷める前に朝食を頂かなきゃならない。

 輪切りにされたフランスパンを、コーンスープにつける、いわゆるつけパンという奴だ。

 

 

「……うん、美味しい」

 

「お口に合いましたか?」

 

「ばっちりだよ」

 

 

 そう答えると、キャスターはまた嬉しそうにはにかむ。

 ……俺の一挙手一投足で一喜一憂するところ、むず痒いからやめて欲しいんだがなぁ。

 なんか言いにくくって、そのままにしてるんだけど。

 

 

「それにしても、随分お広いお屋敷ですねぇ」

 

「まあ、父さんの所有する屋敷の一つだから、広いさ」

 

「マスター様の、お父上と申しますと……」

 

「そ、魔術師の一家の当主様、だ」

 

 

 俺の家系はそれなりに大きい一門、でもって俺の兄弟は上に2人の俺が末っ子。

 つまり要らないんだよな俺ってば。

 

 

「なまじ俺ともう1人が双子で生まれたからなー、俺の処遇に父さんたちもそれはそれは困りに困って」

 

「……」

 

「で、本家とは遠過ぎず近過ぎないこの地のこの家に放任したって訳さ、お優しいだろ?」

 

 

 自立できるようになった年からお引越し、そして今に至る。

 まあ特別疎まれてるわけではないのさ、俺に対しては超が付くほどの放任主義なだけで。

 

 

「ええ、お上は相変わらずと言ったところでしょうか」

 

「相変わらずって、そりゃまた知った風だねぇ」

 

「……いえいえ! いつの時代もお上のやることなすことはとんと変わらないつまらぬことであるというだけですよ、マスター様」

 

「つまらぬって言わないであげてくれ、これでも魔術師の家としちゃ優しい待遇なんだぜ」

 

 

 もう1人と比べたって才能は微妙な子供を冷遇するでもなく、生活費と場所を与えて超放任、一般と比べたって優しい方とも言える。

 

 

「……マスター様がお優し過ぎるのです」

 

「?」

 

「私とて、笑顔は好きですが。マスター様がこの手の話題でお浮かべになる笑みは……いえ、なんでもありません!」

 

「……悪いね」

 

 

 まあ他人からすると気持ちのいい話ではないのかもしれないが。

 というかやっぱり、キャスターあんた俺のこと知り過ぎてない?

 

 

「気のせいですよマスター様」

 

「ほんとに気のせいかねぇ……」

 

 

 まあキャスターがそう言う以上はこれ以上詮索はしないが。

 

 

「んふふ、困り顔のマスター様も味わい深いものですねぇ」

 

「そんなものに味を占めないでくれ」

 

 

 そう言って、キャスターは俺が朝食を食べ終わるまでの間、じぃっと俺の顔を見つめてにこにこしていた。

 ……そんなに俺の顔が面白いですかね!




阿国さんみたいな子にご飯作って貰いたい人生だった……。
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