座に刻まれる位の悲しみを体験させたマスターと体験させられたサーヴァント達の(非)日常 作:ガジュマルさん
ギシッ
廊下から、木材の軋む音がした。
「キャスター」
……反応はない、それも当然だ彼女はプリテンダーと2人で街に出かけているのだから。
つまり今この屋敷にいるのは俺だけだと言うこと。
なるほど。
「またかぁ」
いやサーヴァントの方じゃなくてね、そんなぽんぽん呼び出されてるとか思いたくないし……いやもう呼び出しちゃったんだけどね二騎くらい!
こほん、今回のはそれとは別件。
お化けが取り憑いていると言う噂が、この屋敷に蔓延っているのだ。
主にキャスターの間で。
……一気に信用が地に落ちたって? いや彼女演劇風に言い回すだけであって根はめちゃくちゃ良い子なんですよ、良い奥さんになるタイプ。
「誰がいるのか?」
と、言っても出てこない。
んー隠れるタイプの幽霊かぁ、手強い奴。
と話を戻すと、今現在この屋敷では作り置きしたお菓子が次の日に消えていたり、さっき聞こえた軋みの様な『誰かがいる、と思わせられる様な音』がちょくちょく聞こえてたりするのだ。
「でも何の反応もないんだよなぁ」
俺やキャスター、ついでにプリテンダーが屋敷内の存在を探ってみたが全然反応してないんだよな。
「んー……あそうだ、お菓子食べるか?」
ついでに、一緒に遊ぼうぜ、と。
……。
なーんてな反応する訳
「 おかあさんっ!」
「えっ嘘だうぐおっ!?」
真正面から白い物体が飛び込んできた、結構なスピードで。
……おいこのパターンちょっと前に受けたことあるぞ。
「あいたた……」
「おかあさん、おかあさん!」
「えっ、誰この子」
白い髪と、頰の傷が特徴的な、女の子。
その子が、俺をお母さんと呼び、縋り付いて
「ごめんなさい、ごめんなさい……!」
「えー……?」
その様はとても痛ましくて、こっちまで悲しくなってくる。
……泣かないでくれよ。
「んーと、俺はおかあさんじゃないぞー?」
「……! おとうさんっ」
嘘でしょもっと泣き出しちゃったんだけど。
ってかおとうさんでもない……性別は合致したけどそうじゃなくってね。
こうなると……うん。
「……よしよし、大丈夫だ。俺はここにいるから」
合わせてあげることくらいしか、俺にはできない。
……目の前の幼子の頭を撫でるくらいしか、ね。
『……絵面が犯罪的ね』
お黙りよアフリカゾウ女。
……この子には聞こえてないのを鑑みるに、こいつ俺にだけチャンネルを合わせてやがる。
器用なことしやがってなぁ!
「ってもう消えてるし……」
毎度毎度の言い逃げである。
はははどっちが毒持ってるんだか、あいつも大概猛毒だろうに。
「と、なあお嬢さん。名前はなんて言うんだ」
「ジャック! ジャック・ザ・リッパーだよ、お父さん!」
「ジャックか、良い名前だ」
んー有名な殺人鬼の名ァーッ。
気配を完全に隠してたってことは多分アサシンクラスなのだろうね。
「大丈夫、俺はしっかり無事だ」
「ほんと?」
「本当だ、ほらここにいるだろ?」
涙目でこちらを見上げるジャックは、とてもじゃないが反英雄には見えない。
……こんな子が、ホワイトチャペルの殺人鬼とはなぁ……。
「お父さん、お父さん、お父さん……!」
「はは、くすぐったいぞ。全く」
そんな子が、今は俺に縋り付いて泣いていると来た。
別世界の俺って奴は、どう言う縁を結んだんだろうなぁ。
ジャックちゃん可愛いよジャックちゃん……
このまま宝具とか他スキルも強化してくれないかな(強欲)