【完結】俺を好きなやつの魔力を吸い取って奇跡を起こせる件。奴隷少女よ、だからといってそんなに俺にくっつくな   作:羽黒楓

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第13話 焼きとうもろこし

 すやすやと眠っているココ。

 ほんと、美人だよなー。

 おっぱいも大きいしさ。

 見ると、ココのステータスはこうなっていた。

 

●E

▲D

■E

✿ENP

★Ultra

 

 ✿がENP。からっぽってことか。

 やはり、ドラゴンを倒したり、ニッキーを治癒させたのはこの子の魔力をもとにしていたのだろう。

 

 シュリアのステータス。

 

●C

▲A

■A

✿F

★S

 

 シュリアの✿はFになってる。

 可変ということはおそらく、このあとゆっくり休めば回復するのかもしれない。

 今後は✿は魔力、と読み替えておこう。

 残りのマークはまだわからないが……。

 

「へー。トモキお兄ちゃんは、救世主様だったの?」

 

 ミラリスが尋ねる。

 

「まだわからないよ。そういえばミラリス、君は今いくつだ?」

「えへへ、このあいだ9歳になったよ!」

 

 そっか、まだそんなもんか。

 日本で言えば小学四年生。

 これ以上ないほどの子どもだ。

 ミラリスのステータスは。

 

●E

▲D

■E

魔力 D

★SS

 

 ふむ、魔力がDか。

 

「ミラリスは魔法が得意か?」

 

 俺が聞くと、ミラリスは笑顔で頷く。

 

「うん! 同い年の中じゃうまいほうって言われてるよ! まだまだだけど……」

 

 小学4年生のなかで『うまいほう』の子の魔力がDってことか。

 

「なあシュリア、魔力があれば魔法って使えるのか?」

「いいえ。魔力の強さは人それぞれよ。魔法を使うには高度な技術が必要なの。それも、一朝一夕では身につかないわ。魔法の技術は、その才能のあるものが研鑽を重ねてやっと手に入れることができるものなの」

 

「じゃあ、魔力があるからって魔法を使えるわけではないのか」

「そうね。魔法の技術と魔力の量はだいたい比例するものではあるけれど……。技術を持っていなければ魔力があっても魔法は使えないわ」

 

「で、魔力の量とかは他人からは推し量れない?」

「そりゃ、わからないわ……自分では、なんとなくわかるけど……。私も今日は魔法を使いすぎちゃった。すこしだるいわ」

 

「例えば、他人の頭の上にステータス見えるとかは?」

「聞いたことない……。そういう魔法がないとは言い切れないけど」

 

 なるほど、ココにも聞いたが、こうやって他人のステータスが見えるのは俺だけらしいな。

 

 気になるのは★だなあ。

 これも✿と同じ可変みたいだが……。

 なんとなく予想はつくのだが、もう少し検証が必要かもしれない。

 

 で、いろいろ聞きたいことはもっといっぱいある。

 

「なあシュリア……こいつのことなんだけど……?」

「奴隷ちゃんのこと?」

「ああ。ええと、こいつはもともと農家の娘で、戦災孤児になって奴隷として売られた、んだよな?」

「そうね、お父様にそう聞いているわ」

「じゃあ、シュリアの家の奴隷になってから、どのくらいたつんだ?」

「たぶん、十年くらいじゃないかしら。ここに来たときから、ちょっとおかしかったかもね。一応、今は私の所有物だけど、私はあんまり興味がなかったから……ミラリスの方が仲良くしてるわね」

 

 そこにミラリスが不服そうに口を挟んできた。

 

「奴隷ちゃんじゃないよ、ココちゃんだよ! ちゃんと名前があるんだから名前で呼んであげて!」

 

 シュリアは柔らかな笑顔でミラリスの頭を撫でる。

 

「ふふ。ミラリスはいい子ね。大好きよ。でもね、私たち貴族と奴隷とは違う人間なの。遊び相手くらいならいいけど、あまり優しくしすぎないでね」

 

 シュリアは、普通よりも優しい少女だ。

 俺もだてに35年も生きていないからな。そのくらい、話していれば雰囲気でわかるさ。

 だけど、そんな優しい少女をして、奴隷に対してここまでの差別意識を持っている。

 そっかー。

 生まれ育った文化の価値観の中で生まれ育つとそうなるよなー。

 

 この世界の倫理観に、日本の倫理観を持ち込んでもしょうがない。

 所詮、俺は来訪者だからな。

 ま、この先まじで救世主として全世界に崇められれば文化そのものを変えられるかもしれんけど、そんなことにはならないだろうし。

 ただ、できるだけみんなが仲良くできるようになればいいとは思うけどな。

 

     ★

 

 ココは、夢を見ていた。

 ああ、数年ぶりにこの夢を見ているな、とココは思った。

 ぼんやりとした光に包まれた、なにもない空間

 目の前には椅子に座り、足を組んで、焼きトウモロコシをバクバクと食べている女神様の姿があった。

 女神様はココと目が合うと言った。

 

「ああ? ああ、あんたね。ひさしぶりね。やっぱりトウモロコシは焼きに限るわね、焼きに」

「あの……」

「あんたも苦労してるわねー。生まれはいいのに、奴隷なんかにされちゃってさ。魔法の才能なんかなーんにもないのに魔力だけはすごくてさ。でも大丈夫。ちゃんとあんたと世界を救ってくれる救世主を派遣したから、彼についていきなさい」

 

「やはり、あの方が……」

 

 この女神様の夢は、小さい頃から何度も何度も見てきた。

 あまりにも何度も見るものだから、ココはそれを本当の女神様が見せてくださっている夢だと、心の底から信じるようになった。

 

「ココ・ライラネック。あなたは愚かで、なんの力もない小娘だけれど。あの救世主についていきなさい。あなたが味わった苦労に見合った、おもしろい体験ができるから」

 

 そう言ったかと思うと、女神様の姿はすーっと消えていって、そして目が覚めた。

 

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