【完結】俺を好きなやつの魔力を吸い取って奇跡を起こせる件。奴隷少女よ、だからといってそんなに俺にくっつくな   作:羽黒楓

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第18話 おっぱいはでかいけど

 それから、ココはいつでもどこでも俺についてくるようになった。

 俺の言うことなら何でも聞く勢いだ。

 

「ええと、ココ、俺のこと救世主様って呼ぶの、そろそろやめない?」

「はい? どうしてですの? あなたは救世主様じゃないですか」

「そうだとしても、俺は小林友樹なんだ」

 

 これ、気になっていたんだよな―。

 だって、救世主、ってさ。

 なんか世界を救うための『役割』の人、って感じするじゃん?

 俺は俺であって、世界や誰かのための『救世主』という『役割』の人間じゃない、って思う。

 俺のアイデンティティの中に、救世主ってのは入っていない気がするのだ。

 

「ココ、お前は人間だろ」

「そうですわ、白金十三貴族家の中の一つ、ライラネック家の娘、ココ・ライラネックですわ」

「貴族である前にまず人間だろ? 食い物食ってなきゃ腹が減るし、徹夜すれば眠くなるだろ? 人間じゃないか」

「まあ、そういう言い方をされたらそうですわね」

「俺も同じなんだ。腹も減るし、夜になったら寝るし、トイレにも行く。救世主としての力はあるのかもしれない。でも、その前に人間だよ」

 

 ココは不思議そうな顔で俺を見る。

 

「だからさ、名前で呼んでほしい。俺が、俺自身を、救世主だなんて特別な存在なんだって思い込んじゃう前に」

 

 だってさ、口に出さないけど、その上俺はスケベなんだ。

 ココの大きい胸をいつもちらちらと見てるし、シュリアのはいているスカートはかがむとおしりの形がよく見える。

 もちろんガン見だ。

 もし、未来において、俺が救世主として権力を得るようなことがあったら、どんな乱暴狼藉するか自分でもわかったもんじゃない。

 日本でもそういう事件あっただろ?

 新興宗教の教祖様が女をはべらしまくって自分の陰毛を信者に飲ませるとかさ。

 そういうふうに俺はなりたくない。

 だから。

 他の誰が俺を救世主だと思っても、俺が自分を見失わないようにしたい。

 

「俺のことはトモキ、と呼んでくれ」

「トモキ様?」

「様はいらないよ」

「じゃあ……トモキさん」

「うーん、まあじゃあそれでいくか」

「わかりました、トモキさん」

 

 うん、そっちのほうがいいな。

 

「ところで、ココ、お前って今いくつ?」

「年齢ですか? 十六歳ですわ、……多分」

 

 おっともっと若いのかと思っていた。

 そりゃ奴隷にしては食わせてもらっているとはいえ、現代日本に比べれば栄養状態は悪いはずで、その分幼く見えたのかな。

 おっぱいはでかいけど。

 いかんいかん、そんなこと考えるのはよくないな。

 ちなみに、ガルニに聞いたんだけど、シュリアは十八歳になったばかりとのことだった。

 

 さて。

 俺たちはそれから数日かけて怪我をした村人たちを治して回った。

 村人たちの中にも魔力をそこそこ持っている人はいたけど、やはりココのSSSSSという魔力量は破格だ。

 魔力Bの人五人合わせたよりも、ココのS一つのほうができることが多かった。

 これでココが魔法を使う技術に長けていたら、すごい大魔法使いになったかもな。

 しかも、腹一杯になるまで食わせて一晩寝てもらえば、だいたい回復するのだ。

 すごいもんだ。人によっては一日じゃ回復しない人もいたのに。

 ココは本当にすごい才能を持ってるなあ。

 

 そして。

 今、俺たちは、焼け落ちた馬小屋の前にいる。

 試してみたいことがあるのだ。

 

 ココのステータスを見る。

 

● E

▲ D

■ E

魔力 SSSSS

信仰心 Ultra

 

 うむ。

 あとわからないのは●と▲と■だけど、これもだいたい分かってきた。

 特に●。

 これって、屈強な男ほど高く出る。

 たとえばガルニはAだ。

 18歳の女性のシュリアはCで、9歳のミラリスはE。

 だいたい見た目の体格とか筋力のとおりの値になっている。

 たぶん、これ、身体能力とか体力とか筋力を示しているんじゃないだろうか。

 今後は●を身体能力と読み替えよう。

 

身体能力 E

▲ D

■ E

魔力 SSSSS

信仰心 Ultra

 

 うん、しっくりくるな。

 

 それで、だ。

 

「人間を治せるくらいだから、この馬小屋直せないかな……」

「きっとできますわ! だって、トモキさんは救世主ですもの!」

 

 キラキラとした笑顔で言うココ。

 

 俺は黙ってココの手を握る。

 ココは俺の顔をちらっと見て顔を赤らめた。

 なんか、嬉しそうにニヤニヤしている。

 なにしろ、俺への信仰心がUltraだからな。

 大切にしてやんないとな。

 

 俺はココの手を握ったまま、しゃがみ込んで、もはや炭となった馬小屋の木材に手を触れる。

 ええと、掛け声はいらないみたいだけど……。

 なんかないとこう、かっこがつかないというか、なんというか。

 ふと、あの女神の姿が目に浮かんだ。

 この能力も女神からもらったんだから、それなりに敬意を払わないといけないかもしれない。

 で、俺は叫んだ。

 

「トウモロコシ!」

 

 キュイーンッ!

 音が鳴る。

 ぱぁっと俺たちを青い光が包み込み――。

 炭となった木材も光に包まれる。

 

「まぶしっ」

 

 思わず目を細めた。

 

 そして。

 まるでそこに巨大3Dプリンターがあって出力されているかのように、馬小屋が基礎からジジジッ……と再生されていく。

 ものの十分で、馬小屋は元通りになった。

 とはいえ、完全に新品にまではならなくて、それなりに年数が経過している質感だ。

 なるほど、燃やされる直前ぐらいの姿に戻してくれるってわけだ。

 ココのステータスが変化する。

 

身体能力 E

▲ D

■ E

魔力 SSSSS⇒SSSSC

信仰心 Ultra

 

 ふむ、このサイズの馬小屋だと、瀕死の人を回復させるよりも魔力を消費しないんだな。

 

「すごいすごいすごい! やっぱり! やっぱり! 救世主様ですわ! トモキさん、さすがですわ!」

 

 ココは大喜びだ。

 しかし、これは本当にすごいことだぞ。

 無機物まで破壊される以前の姿に戻せるとなれば……。

 燃え落ちたシュリアの屋敷や、村の家々も直せるじゃないか!

 

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