【完結】俺を好きなやつの魔力を吸い取って奇跡を起こせる件。奴隷少女よ、だからといってそんなに俺にくっつくな   作:羽黒楓

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第82話 馬車から飛び出した!

 俺はアルファード――じゃなかった、馬車の窓から顔を出して外を見た。

 大きな城の主塔が見える。

 そこの、テラス状になっている場所に、二人の人物が見えた。

 

「うひゃひゃ! あいつがシャイアのじじいだよ! もう一人は……ジローモとかいうシャイアの腹心だね!」

 

 反対側の窓から顔を出していたリリアーナが言った。

 

「よし、アリア、あそこに向かって一直線に着陸してくれ!」

 

 俺が叫ぶと、アリアも答えて叫んだ。

 

「りょーーかーーいっ! ひゃっほーーーーサイコーだぜーーー!! ハイヨー!!!」

 

「いいけど、攻撃が来るよ!」

 

 リリアーナの言う通り、ジローモがこちらに向けて剣を向けていて――その剣の先から、ものすごい勢いで何かが発射された。

 

「隕石魔法だ! お兄さん、防いで!」

 

 リリアーナに言われるまでもない。

 

 俺はココの手を握り、

 

「イージスアンブレラ!!」

 

キュイーン!

 

ココ

魔力 SSSSS⇒SSSSA

 

 俺たちの馬車を守るように傘の形をした魔法障壁が形成される。

 その障壁はジローモの隕石魔法を軽々と防ぐ。

 ジローモは追撃で何度も魔法攻撃をしかけてくるが、そのすべてを俺の魔法の傘が跳ね返す。

 

「ひゃっほーーー!! 着陸するよーーー!」

 

 アリアの叫びとともに、俺たちのアルファードはテラスに向かって突っ込んだ。

 

「ヒヒーン!」

 

 四頭の馬のいななきとともに、馬車はテラスから室内にガラス戸を割って侵入する。

 中の部屋は案外広く、俺たちのアルファードは無事に室内へと駐車完了。

 さすがプリウスとは違ってミサイルとはならなかったぜ。

 

 俺たちは馬車から飛び出す。

 昔夢中でプレイしたドラクエをふと思い出しちまって一人笑ってしまったぜ。

 

※トモキは馬車から飛び出した!

※リリアーナは馬車から飛び出した!

※ココは馬車から飛び出した!

※シュリアは馬車から飛び出した!

※ニッキーは馬車から飛び出した!

※アリアは馬車から飛び出した!

 

 頭の中でそんなゲーム画面を思い浮かべた。

 

 ここにはドラクエ4のキャラ達、トルネコもマーニャもアリーナもライアンもいないが、だが俺たちの方が最強パーティなはずだ。

 

「ココ、俺の隣へ来い。女王陛下は俺の後ろへ。シュリア、いつでも防御魔法をつかえるようにして陛下を守ってくれ。ニッキーとアリアは陛下とシュリアを守ってくれ」

 

 指示をだして隊列を整えた後、

 

「よお。あんたがシャイアか」

 

 俺の目の前には、一人の老人がいた。

 老人とは言っても、腰の曲がったじいさんではない。

 顔にはしわが刻まれ、髪の毛や長い顎ヒゲは白くなっているが、背が高く、がっちりとした体型で威厳のある表情をしている、イケオジ……じゃない、イケジジイだ。

 さらには、その隣にすらりとした口ひげのおっさん。

 剣を抜いて構えている。

 ジローモとか言ったか。

 さっきの攻撃はこいつのものだったらしい。

 防いだとはいえ、なかなかの攻撃魔法だった。

 ガルニとかとはレベルが違っていたぞ。

 ジローモは剣先を俺たちに向け、鋭い眼光で睨んでいる。

 

「ふっふっふ」

 

 笑い声をあげたのは、シャイアだった。

 シャイアは、顎髭を撫でながら、

 

「これはこれは。女王陛下に、……あなたは救世主殿ですか。こんな夜更けにようこそおいでくださいましたな」

 

 余裕しゃくしゃく、といった感じで笑みを浮かべるシャイア。

 

「しかしながら女王陛下、ここは私の居室。前触れもなくおいでになるのは、少々不作法ではないですかな?」

「うひゃひゃ! いやあすまないねえ、私は王女としては育てられなかったからね!」

「そうでしたな。本来、あなたは王位を継ぐはずがなかった方だ」

「うひゃひゃ! 父王と兄上が同時に病気でなくなっちゃったからねえ! ……あれ、お前、なんかしたか?」

「まさかまさか。偶然ですよ。あれをやったのは別の貴族です。少々、助言はしましたがね」

「ママは?」

 

 低い声でシャイアに聞くリリアーナ。

 シャイアはふっ、と笑って、

 

「あれは……メールエの手落ちですよ」

「どういうこと?」

「あれはあなたと母君、同時に狙ったのですがね。あなたにだけ、毒無効化の魔法がかけてあった。メールエの魔法です。メールエはぬけておるやつですからな。毒無効化の魔法をかけるならば、母君にもかけておくべきだった」

「つまり、お前が犯人ってわけだね……」

「いやいや、毒を入れたのは私の命令ですが、母君だけ死んだのはメールエの手落ちです」

 

 底知れぬ悪意をはらんだ笑みでシャイアはそう言う。

 

「心配せずとも、もうじき母君にお会いできますよ。女神テネス様のおわす天界でな。ふっふっふ……」

 

 リリアーナの目はあまりの怒りで充血し、まるで燃えているように見えた。

 ココが痛いほど強く俺の手を握っている。

 『母君』ってつまりココの母親でもある。

 ココの怒りも伝わってくるように思えた。

 

 俺は、あらためてシャイアとジローモを見る。

 

 そのステータスがはっきり見えた。

 

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