【完結】俺を好きなやつの魔力を吸い取って奇跡を起こせる件。奴隷少女よ、だからといってそんなに俺にくっつくな   作:羽黒楓

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第86話 最終決戦②

 目の前で爆発が起こった。

 黒煙と激しい炎が巻き上がる。

 城全体に震動が伝わり、床が揺れる。

 爆発が生じさせた衝撃波が、内臓に響いて痛いほどだ。

 

 俺の作り出した魔法障壁で、そばにいたココやリリアーナたちは無事のようだった。

 

 だけど、メールエは……?

 

 黒煙の中でメールエの姿を探す。

 ――いた。

 壁際の床に、倒れているのが見えた。

 服が燃えさかっている。

 

「くそっ! ココ!」

 

 俺はココの手を握り、もう一方の手でメールエの方向に手を伸ばす。

 

「マジックハンド!」

 

 キュイーン!

 

ココ

魔力 SSS⇒SS

 

 俺の手のひらから、魔法でできた巨大な腕が出現する。

 魔法障壁の内側から俺はその腕を伸ばし、メールエの身体をひっつかむと障壁の中へとひっぱりこんだ。

 

 ブスブスと煙をあげながら全身黒焦げになっているメールエ。

 

メールエ

身体能力 F-

教養 SS

戦闘能力 F-

魔力 S

好感度 S

 

 ほとんど瀕死だが、メールエ自身の魔力がまだ残っている、死んじゃいないし俺の能力で余裕だ!

 

 俺はまだところどころ火を発しているメールエに近づき、その手を握った。

 ジュゥ! と俺の手まで焦げた。

 熱さや痛みなんか感じない、急がないと。

 

「聖なる女神の力よ、この者を癒せ!」

 

キュイーン!

 

メールエ

身体能力 F-

教養 SS

戦闘能力 F-

魔力 S⇒ENP

好感度 S

 

 一瞬だった。

 

 メールエの身体を覆っていた炎が消え、火傷を通り越して炭化しはじめていた皮膚もあっというまに戻っていく。

 俺の治癒魔法だと服までは手が回らなかった。

 っていうか、命が最優先だから、服にまで魔力を使う発想がなかった。

 

 俺の目の前には横たわっている全裸の少女。

 

 赤みがかかった長い金髪も元に戻っている。

 

「はあ、はあ、はあ……」

 

 荒い息遣いをしている。

 もう一度ステータスを見る。

 

メールエ

身体能力 F-⇒C

教養 SS

戦闘能力 E

魔力 ENP

好感度 S

 

 うむ、身体能力がCまで回復してるぞ。

 なんとか一命はとりとめたようだ。

 シュリアが自分の着ていた上着を脱いでメールエの身体にかける。

 

 さて。

 

 シャイアはどこに行った?

 

 爆炎が生み出した黒い煙はまだ部屋の中に立ち込めている。

 くそ、全然見えないぜ。

 メールエを発見できたのは幸運だったな。

 

 と、その時だった。

 テラスの方向から、火炎放射器のような炎が俺たちを襲ってきた。

 

「きゃあ!」

 

 シュリアが悲鳴をあげる。

 幸いにも、俺のつくりだした魔法障壁はまだ健在で、その攻撃を完全に防いでいる。

 

「くそ、テラスの方向からだ。でも、これじゃなにも見えねえぜ……」

 

 ココの魔力はSS。でもまだ温存しておきたい。

 

「女王陛下、シュリア、アリア! それにニッキー! 残りの魔力を俺にくれ!」

 

「うひゃひゃ! もう吸いつくしちゃっていいよ!」

「うん、わかったわ」

「ボクの魔力、全部使って!」

「もちろんです!」

 

 俺を含めて四人、みんなで手をつなぐ。

 

「えーと……なんでもいいや。消火と換気!」

 

キュイーン!

 

リリアーナ

魔力 E⇒ENP

 

シュリア

魔力 E⇒ENP

 

アリア

魔力 E⇒ENP

 

ニッキー

魔力 E⇒ENP

 

 ココ以外のメンバー全員の魔力を吸いつくす。

 

 部屋の中はあちこちが焼けて炎を噴き出していたが。

 あっという間に鎮火し、空気が入れ替わる。

 

 そして。

 

 見えたのは、テラスに立っているシャイアだった。

 おそらく、自分とメールエの攻撃魔法が発動される直前、テレポートでテラスに瞬間移動したのだと思った。

 

シャイア

身体能力 A

教養 SSS

戦闘能力 S

魔力 S

好感度 K

 

 シャイアは、俺たちに向けて杖を振った。

 

「これで終わらせてやる!」

 

「ココ、行くぞ、これが最後だ!」

 

キュキュイーン!

 

ココ

魔力 SS⇒ENP

 

 シャイアが叫ぶ。

 

太陽の咆哮(フレア・バーン)!」

 

 俺も叫び返した。

 

「ミョルニル・ハンマー!」

 

 二つの魔法がぶつかり合う。

 だが、残っている魔力はココの方が上だ。

 

 俺の発したミョルニル弾はシャイアの魔法をぶち抜き、シャイア自身に向かっていく。

 

「ぬおっ!」

 

 魔法で防ごうとするシャイアだが、シャイアにはもう魔力はほとんど残っていない。

 バゴンッ!

 大きな音とともに俺のミョルニル弾がシャイアの顔面を捉える。

 

「ぐううう……」

 

 シャイアはうめき声をあげ、カウンターをくらったボクサーのように身体を硬直させたまま、その場に倒れた。

 

 シャイア

身体能力 A⇒F-

 

 死んじゃいないが、戦闘不能は間違いない。

 

「……勝った!」

 

 勝った!

 

 俺たちの完全勝利だ!

 

 ここにいる全員の魔力がENPになっちまったが、だれも死なせぬまま、シャイアの野郎をぶっとばしてやったぜ!

 

「トモキさん!」

 

 ココが俺に抱き着いてくる。

 俺もココを抱きしめ返す。

 

 これで……これですべてが……。

 

 その瞬間だった。

 

 テラスになにか――いや、誰かが飛び込んできて、シャイアの胸に剣を突き立てた。

 

シャイア

身体能力 N/A

 

「は?」

 

 シャイアを殺したそいつは、俺を見てニヤリと笑った。

 

「ふははははは! 今度は、先日のようにはいかぬぞ、クソガキが!」

「……ガルアド!」

 

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