寄生世界 -PARASITE WORLD- 作:NIGHTMARE⭐︎
世界は寄生された。
のちに地球を脅かすことになる寄生生物は最初は無害な虫と認識されていた。しかしその実態は、あらゆる生物に寄生することで変異させ、凶暴化させた上で増殖する悪夢のような存在だったのだ。それが判明してからの人間の動きはとても早かった。寄生生物はまとめて「メアノイド」と総称され、人類はメアノイド対策本部を設置した。
「ふぅ…全滅。」
荒廃した街の廃墟で、1人の少女が立っていた。彼女こそがメアノイド対策本部の1番隊メンバーのヨナギ。メアノイドを狩りに派遣されてきた。
この場所は「死地」となっていた。侵食耐性を持たない者ならば即座に侵食されて寄生生物へ変異するだろう。加えて自然発生的にメアノイドが湧くため、非戦闘員にはあまりに危険だ。現在では立ち入り禁止令が発令されている。
ヨナギは高い侵食耐性を持っているため、ある程度の活動ができる。しかしそれも延命でしかなく、ずっと取り残されればあっけなく死ぬことになる。文字通り死の領域なのだ。
(にしてもこんな広大な死地が市街地にできるなんて…気づけなかったのか…?)
ヨナギは極力静かに破られた窓からビルへ侵入する。ビルの中もすっかり侵食を受けており、コンクリートが黒く変色している。
(逃げ遅れた人はいなさそう…かな)
その時、ビルの上階から不吉な音が響いた。カサリ。それは紛れもないメアノイドの移動音。
(! 放置していればそのうち進化して増殖を繰り返す…!)
ヨナギは停止したエスカレーターを駆け上る。その手にはオレンジの狙撃銃が握られている。
ヨナギは上の階へ辿り着く。
「!」
そこは一階とは比べ物にならないほど侵食が進んでいた。壁や床はほぼ黒い物質で覆い尽くされ、設備も全く生きていない。ぶち破られたように溶け落ちた棚や食材がそこらじゅうに散らばっている。当然ながらもう食べることはできないだろう。
そしてフロアの端に、メアノイドがいた。
黒く硬化した肉の体から、八本の細い足が突き出ている。目は見当たらないが、大きな顎がギリギリと音を立てている。サイズは1メートルもない。下級メアノイド「Onner」。
メアノイドは壁に張り付いている。見たところまだ何の生物にも寄生していない。寄生生物とは言いながら、必ずしも何かに寄生しなければ生きられないわけではないのだ。むしろ長い期間寄生ができないと、その状況にすら適応してそのままの肉体で進化し、危険な自己進化体になりかねない。
ヨナギは慣れた手つきで銃を構える。この程度の相手は慣れきっていた。メアノイドはヨナギに気づいていないらしい。ヨナギはメアノイドへ照準を合わせて引き金を引く。パァン!強力な弾道に貫かれ、メアノイドは爆散した。
(この程度のやつだけじゃないでしょ…)
ヨナギはさらに奥へ足を踏み入れる。危険な領域であろうと彼女は恐れない。銃を構えた寄生の開拓者は廃墟の奥へ姿を消した。