寄生世界 -PARASITE WORLD- 作:NIGHTMARE⭐︎
東組は予想だにしなかった巨大自己進化体を観測し、ひとまず予定の探索ルートを外れて距離を取っていた。
「逃げ切ったぁ…」
「追われてすらねーだろ!!こいつでぐちゃぐちゃにしてやろうと思ったんだがな…」
気弱そうな長髪の少女にギャクラがショットガンをぶん回しながらキレ散らかす。
少女は驚いたような申し訳なさそうな表情でヨナギの後ろへ隠れた。
「えーと…大丈夫…?」
ヨナギは少女に声をかける。
「ふぇえ…大丈夫…」
「あんなやつの言うことなんか無視していいんだよ!」
ヨナギはギャクラに聞こえないように小声で囁いた。
「それで…これからどうしましょう。想定のルートを大きく外れてしまいましたが…」
マキルがふわふわとドレスを風になびかせながらつぶやいた。銃剣の男性は無言で何かを考えているらしい。
「遠回りにはなっちゃうけど迂回して元のルートに戻れば…?」
ヨナギが囁くような小声で言ったが男性は首を振る。
「最高危険対象もメアノイドとはいえ生物だ…移動してしまう上その行動パターンの予測は不能だ。とりあえず今は西隊にもアレの存在を伝えるとしよう。」
男性は通信機のような機器を取り出してメッセージを打ち始めた。
「なにかアイツの気をひけるような者でもあればね…」
呟くヨナギ。
「お?キミ囮になるか?」
「あんたは黙ってて。花火でも打ち上げられないかな?」
「花火…遊園地だしあってもおかしくないんじゃないかな…」
気弱少女が同意の眼差しでヨナギを見つめる。
「ハァ!?あんなバケモンから隠れながらあるかもわかんない花火を探せだってぇ?そいつは賢明…」
パァン!
耐えかねたヨナギがギャクラの頬を力一杯平手打ちした。
「文句言うならもっといい代案出しなさい!」
「…んだよもおお!」
ギャクラは無言でその場に座り込んだ。少女がヨナギに向けて少し微笑んだ。
「なら目的がはっきりしたな。あの最高警戒対象の気を引くための花火を探して、探索ルートから離れた場所で打ち上げる。そして警戒対象がそっちに向かっている間にさっさと任務を終えるんだ。」
男性が簡潔にまとめた。
「でも…ルートから離れた場所で花火を打ち上げるんですよね…離れた場所まで行く時危険すぎませんか…?下手したら花火に近づいてきたメアノイドに全員やられちゃうんじゃ…それに私たちでも長居すれば侵食が進んじゃいます…タイムロスは痛手…」
少女が消え入るような声で言った。
「じゃああんた1人で行…」
ヨナギが即座に平手を振り上げたので言葉を切るギャクラ。
「確かに花火打ち上げ役は1人で行く方が合理的だ。ただ危険すぎる。」
「とりあえず花火を探しましょうよ。」
マキルが議論を中断させた。
「ああ…そうだな。じゃあ全員散らばって花火を探すとしようか。」
花火作戦、始動。