寄生世界 -PARASITE WORLD- 作:NIGHTMARE⭐︎
ヨナギたちは見つけた花火を持って観覧車の丘を降りていった。
「現在の最高警戒対象の位置は…ほとんど移動してないどころかややルートに近づいているな…。」
銃剣の男性が険しい顔で呟く。
「なら尚更作戦が有意義ですね。遊園地の端の方でこれを打ち上げに行きましょう」
マキルがドレスを風になびかせ静かに言った。その言葉に全員(ギャクラ以外という意味だが)が賛同し、遊園地の北ゲートの方へと向かって走り始めた。本来の探索ルートは東ゲートから西ゲートまでの直線のため、あの最高警戒対象を北ゲートに誘き出せば何の問題もなくなる。
ふと、ヨナギの耳にあの音が聞こえてきた。ギシギシという関節音。
複数体の骨のような外骨格を纏った人型のメアノイドが姿を現した。ヨナギは見たことはなかったが珍しいものではなさそうに見える。
「チッ…」
男性が誰よりも早く銃剣を構え、メアノイドへ刃の部分を突き刺した。そしてその状態で引き金を引き、全てのメアノイドを同時に貫いた。
「!?」
ヨナギとナルカラは思わず驚きの声をあげる。マキルが不思議な微笑みを浮かべた。
「《一弾十射のフルガ》。一つの弾丸で10体の敵を屠る…彼は黒狩りの1人です。」
「黒狩り…!?だったんですか…!」
フルガは表情をほとんど変えずに銃剣を下ろした。
「今は私の紹介などいい。北ゲート付近へ行って花火を打ち上げなければ。」
フルガは再び駆け出した。
(黒狩りってことは…あの月影嘉さんと同レベルの実力…!)
ヨナギは尊敬の眼差しのまま後を追いかけた。ギャクラは相変わらずなにか嫌味なことを呟いているがそれすらもはや耳に入らない。自分の命の恩人と同じ実力と知ってしまった以上、彼に尊敬をしない方が無理な話だった。
「ふぇぇ…すごいですね、黒狩り…。私初めて会いましたよ…。」
ナルカラがヨナギを追いかけながら行っているのが聞こえる。彼女もやはり一弾十射のフルガという実力者に尊敬と憧れを感じたらしい。
しばらく走ると、目標地点の北ゲートが見えてきた。城壁のようなゲートは黒く侵食されていて今にも崩れそうだ。フルガが静かにそのそばに立っていた。
「やはりここなら探索ルートからも距離があるし、最適だろう…。」
ヨナギはそっとロケット花火を持つ。初めて上手くいくかの緊張感が出てくる。失敗すれば誰かは死ぬだろう。そしてヨナギは生き残る自信はとてもなかった。
(お願い…上手く行ってね…)
ナルカラがファイヤスタッフで花火に着火しようとした途端、フルガが素早く後ろを振り返った。
「まずい…!アイツが…最高警戒対象がこっちに向かってきている…!」