寄生世界 -PARASITE WORLD- 作:NIGHTMARE⭐︎
寄生された領域、死地。足を踏み入れた者は侵食されて寄生生物となる。侵食耐性がある者でも長期間の活動は不能。死地は今や世界中に点在し、そのすべてが立ち入り禁止となっている。中でも危険なのは、「King」と呼ばれるメアノイドが存在するゼロライン死地だ。
「King」は記録によれば植物のようなメアノイドで、大量の下級メアノイドを生み出したり死地を広げたりするとのことだ。まさしく寄生生物の王となる存在。危険度の振り分けすらままならない、侵食源なのだ。発生報告は過去に一件のみのため、対策法もわからない。
そしてメアノイド対策本部の兵士ヨナギは、そんな死地という名の地獄からたった今任務を終えて帰還した。
「ただいま帰還しました、1番隊のヨナギです」
巨大な白い施設、メアノイド対策本部の強固な扉の前でインターホンに向けて話すヨナギ。警備は徹底していた。メアノイドはもちろん、犯罪者なんかにも有効だろう。本部の壁は最高純度の対侵食素材が使用されている。
「おかえりヨナギ。無事で何より」
インターホンから声が響き、鉄の扉がガガガと音を立てて上に開いた。扉は二重に重なっているため安全性は高いが開くまでが長い。ヨナギは中へ踏み出す。
中は打って変わって白く照らされている長い廊下が続いている。初めてきた時は病院みたいだなと思った。どうやらこの廊下には対侵食効果が期待されている液体が霧のように散布されているらしい。あの液体、なんていう名前だったかな…。
廊下を抜けると、再び扉がある。ここはメアノイド対策本部のキーカードをかざすと開く。そこを抜ければようやく本部へ入ることができる。
ロビーと呼ばれているこの空間はいつものように広く、落ち着くオレンジ色の光で満たされていた。鉢植えに植物が植えてあり、木を基調に作られているためとても温かみがある。昔の地球ではこういう作りが流行りだったらしい。外の世界はほぼ荒廃しきっているため、この場所で感じる癒しは形容できない。そして何より、ここには同じ組織の仲間がいる。
「ヨナギ、おかえりなさい。ゆっくり休むといいわ」
銀髪の少女がヨナギに歩き寄って声をかけた。彼女はサキサ。年齢はヨナギより下だが階級は一つ上の準一級。電磁刀を使ってメアノイドを着実に斬り捌いていく。その電磁刀は自室へ置いてきたらしく、今は装備も外して完全にくつろぎモードに入っていた。
「ただいま、サキサ」
ヨナギは自身の部屋に重く硬い装備と銃を置きに行った。
この本部には個人部屋が完備されている。そこもやはりオレンジ色の照明で安心を与える作りをしている。靴を脱いでベッドに飛び込むとすごく安心する。装備品も雑に投げ出し、ソファやベッドのふかふかの誘惑に負ける時間は1日の疲れをすっかり落としてくれる…。
そうして今日も1日が終わる。