寄生世界 -PARASITE WORLD- 作:NIGHTMARE⭐︎
灼猛を筆頭にした兵士たちはマニオーガ死地のさらに奥へ進んでいく。
「もうすぐ件の動物園が見えるだろう…くれぐれも警戒するように。」
灼猛が用心深く周りを見回しながら言った。マキルはさらに細かく周囲をよく観察していた。ディッパー死地での作戦でも、彼女は周囲をよく見ていた。
「あれが動物園〜!」
少年が動物園のゲートに向かって走り出す。
「待てマドレット!危険だぞ…!」
マドレットと呼ばれた少年は狂気的な笑顔で黒く侵食された動物園へ飛び込んで行った。
「追いましょうか。彼の行動は少し危なっかしいですね。」
マキルが静かに言ってふわふわと後を追ってゲートを潜った。あまりにも異様な風景だった。左右に動物の檻がたくさん設置されているが、そのほとんどが突き破られたように崩壊している。植物も枯れ果て、不気味な黒い物質が大半のものを覆い尽くしている。
「…動物は寄生されたかメアノイドに殺されたか…。まあどっちみち正しい姿でいるはずはないな。」
灼猛が空の檻を見つめながら呟いた。マキルは相変わらず周辺を詳しく観察している。まるで何かを探しているようにも見える。マドレットが動物園の奥から跳ねるようにして戻ってきた。
「マキルちゃん!こっちやばいよ!」
「え…?マキルちゃん…?やばいって…?」
マキルはマドレットに手を引っ張られて奥へと強制的に連れていかれる。すごく久しぶりにちゃん付けで呼ばれた気がする。
「ほらほら〜あれ見て〜?」
マドレットが指差す先には、巨大な数体のメアノイドが檻に張り付いていた。
「な…!?あれは…。」
2メートルもの体長と焦茶色の八本足。外見はまさしく「蜘蛛」だ。自己進化体なのか寄生体なのかの区別はいまいちつかない。
「あんなの見たことある〜!?」
「ないですね…。新種でしょう。最近新種がたくさん見つかりますね…。」
マキルはキョロキョロと周辺を見ながら呟く。他の兵士も後ろから合流してきた。
「あれは…。蜘蛛寄生体か。」
灼猛が手にした円柱形のなにかを構えると、それは変形して斧になる。灼猛は蜘蛛寄生体へ走って近づく。蜘蛛たちは赤く膨らんだ大量の目で灼猛をすぐに認識し、地面へ飛び降りた。灼猛がそこに斧を叩きつける。斧は赤い光を放ったかと思うと、パァンと破裂音のような音を立てて加速した。バリッ!蜘蛛寄生体の一匹を斧が真っ二つに斬り分けた。
「…動物園で蜘蛛と戦うとは思いませんでしたね…。」
マキルが呟きながらまた別の蜘蛛を足に仕込んだ刃で切り裂いた。
あっという間に蜘蛛寄生体は全滅した。
「マキルちゃん強いね〜!」
マドレットがマキルに近寄る。マキルは珍しく困惑を隠しきれない表情をしている。
「…どうして私をここへ案内したんですか?このメアノイドとぶつけたかったんですか?」
「そんな感じ。僕に協力してもらいたかったからそれに相応しい強さがあるか測った!」
「協力…?」
「協力。」
マドレットが闇を孕んだ顔でニヤリと笑った。