寄生世界 -PARASITE WORLD- 作:NIGHTMARE⭐︎
マドレットの言葉を聞いて兵士たちは大いに困惑した。
「…どういうことか説明しろマドレット。考えがあるのなら聞くぞ…」
「ボクはマキルちゃんに協力を頼んだんだけど。」
マドレットが感情のない笑みで淡々と言う。マキルは静かに考えた。
「どっちみち何に協力して欲しいのか説明してもらえますか。」
「そうだね!じゃあ簡単に言うと、この死地にいるスカベンジャー全部殺すことかな?」
マドレットはそっけなく答えた。その表情には悪意も殺意も何もない。ただ聞かれたから答えただけだ。マキルは険しい表情で目の前の感情を持たないかのような少年を見つめた。
「協力できません。」
「残念。じゃあ1人で頑張るね〜。」
マドレットは仮面のような笑顔のまま死地の奥へと姿を消した。
灼猛は明らかな動揺を見せている。対照的にマキルは無言で思考中だ。
「彼を止めた方がよさそうですね。」
「あ?あ、ああ…そうだな。」
マキルはいつになく真剣な表情でマドレットが走っていった方向を見つめる。
「あの人が何者か知ってますか?」
「本部の中のスペクトルレイダーとかいう隊に属しているらしいな…。活動も目的も不明の隊としてそこそこ有名だが…。」
「…とんだ危険思想ですね。」
マキルはほとんど迷うことなく言った。
「スカベンジャーといえども人間。死なせるわけにはいきません。」
マキルたちはマドレットを追ってさらに奥へ進んでいく。進むに連れて崩れた建造物が多くなっていく。侵食もさることながら物理的損傷を受けたかのように破壊されているのだ。
「クソっ…完全に見失ったな。」
灼猛が腹立たしげに言った。この間にもマドレットはスカベンジャーを殺しているかもしれない。にも関わらず全く見つからないばかりか、2体の寄生体が現れた。
恐らくはオオカミの寄生体だろう。皮膚の一部は溶け落ち、口は大きく裂けて中から赤黒い触手のようなものが伸びている。
「…やはり寄生された動物がいましたか。」
オオカミが俊敏な動きでマキルに飛びかかる。マキルはタイミングを合わせて足でそれを蹴り上げた。その間にもう一匹が背後から接近するも、灼猛がそれを叩き斬った。マキルが残りの一匹を黒と赤のダガーで突き刺して息の根を止めた。
「…にしても…。キミは随分色々な攻撃方法が使えるんだな…。」
「相手に合わせて変えます。大抵上から攻撃すれば安全ですけどね。」
マキルはいつもの微笑みを浮かべて当たりを見渡した。
「メアノイドがいるってことはあの人はこっちに来ていないのかも知れないですね。」
「確かにな…。あいつが通っていたとしたらメアノイドの死骸が落ちているだろう…。」
「…別の道を行きましょう。」
マキルたちは、少し道を戻り、また別の道へと進んで行った。