寄生世界 -PARASITE WORLD- 作:NIGHTMARE⭐︎
極秘戦闘隊「スペクトルレイダー」。メアノイド対策本部の1隊でありながら、ほとんど誰も活動と行動を知らない。そして、そのメンバーであるマドレットの目的は「死地にいるスカベンジャーの壊滅」という偏った正義だった。
道を戻ったマキルたち。黒い装備を身につけた男性が、痺れを切らしたように叫んでいる。
「もう勘弁ならない!なんでこんなことに巻き込まれないといけないんだ!」
灼猛がヘルメットの中からギロリと睨み、男性を黙らせた。
(スカベンジャーを殺して一体何の徳があるのやら…異端審問のつもりでしょうか?)
マキルは考えながらふわふわと走る。その時、前方に複数人の人影が見えた。明らかに本部の者ではない。ガタイのいいリーダーらしき男が、黒いヘルメットで顔を隠した状態崩れた檻の中で何かしている。
「スカベンジャーですね…。」
「そうだな…。彼らの安全のためにも立ち退いてもらいたいが…上手くいくかどうか。」
灼猛がそっと呟く。スカベンジャーたちはこちらに気づいていないらしい。
「…私がどうにかしますね。」
マキルが静かに微笑んでスカベンジャーたちに近づいていく。その間にもガタイのいい男は何かを探しているように檻の中を漁っている。
「ごきげんよう。」
マキルが声をかけると、男はゆっくりと振り返った。近くで見ると一層そのガタイはより一層際立ち、小山のように身長も大きい。
「なんだてめぇ?」
「メアノイド対策本部の者ですが、敵意はありません…少なくとも私は。」
男はマキルを見下ろし、その拳で突き飛ばした。
「うっ…!」
「本部なんかのやからが俺らに何の用だ?どうせ死地から出した後は取締り局に引き渡すんだろ?!」
マキルは地面に倒れ込み、珍しく焦りの表情を見せる。灼猛が思わず間に割って入った。
「この場所にいたら危険だと言っているんだ!お前のために言ってやってるんだぞ。」
「そんな忠告はいらねえよ!いくぞお前ら!」
男は部下を引き連れて死地の奥へと走っていった。
「大丈夫か!?」
灼猛がマキルに駆け寄る。
「ええ…。心配すべきはむしろあの人たちの方ですね。」
マキルは静かに起き上がり土を払う。黒い装備の男性兵士がなんとも言えない悲しそうな表情をしている。少し前まで自分を巻き込んで行動を始めたマキルを少し恨んでいたが、彼女がこんな目に遭うのは望んでいなかった。
「行きましょう。スカベンジャーかマドレットさん、どちらかを止めなければなりませんね。」
マキルは再びふわりと走り出した。他の兵士も後に続いた。
同時刻、死地の奥では巨大な物陰が蠢いていた。