寄生世界 -PARASITE WORLD-   作:NIGHTMARE⭐︎

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28 命の危険

ファングテールが牙を剥き出して攻撃を続ける。このままでは間違いなく全滅するだろう。

「どうしますかこれ…。」

マキルが必死に尾の薙ぎ払いを避けながら声を捻り出す。灼猛は斧を何度も相手の前足に叩きつけている。黒い装備の男性兵士は遠くから銃で援護をしていた。そして他の兵士はもはや戦闘意欲を無くして端の方に集まっている。

(まともに近接でやり合ってるのは私と灼猛さんだけですか…。)

マドレットは瓦礫の上で暇そうにバタバタしている。

「飽きた。もういいよ」

マドレットが跳ねるように地面に飛び降り、拳を構えてゆっくりと灼猛に歩み寄っていく。自身を退屈させた存在を自ら殺すつもりらしい。それと同時にファングテールも灼猛にトドメを刺そうと腕を振り上げた。マキルが駆け寄るがもはや間に合わない。

「…!」

ドシャン!メアノイドの爪と笑顔の悪魔の拳が同時に繰り出され、土埃がたった。

「灼猛さん…!」

 

「あれ?」

マドレットは自身の突き出した腕の先を見る。確実に殴れたはずの灼猛の姿は忽然と消えていた。

同時に、戦場の端に二つの人影が姿を現した。1人は混乱している灼猛、そしてもう1人は…。

黒狩り現隊長、月影嘉。

「げ…月影さん…!?」

気が動転した灼猛が叫ぶ。嘉以外は全員が硬直している。マドレットは、自身が灼猛を殺す寸前で月影嘉が彼を移動させたのだと理解した。

「嘉ちゃんだ〜。何でここにいるの〜?」

「この場に命の危険があったからだ」

嘉は迷わずにその刀を抜いた。白く薄い刀身がスラリと現れる。うっすらと冷気を放っているらしい。

「お前だな。」

 

次の瞬間には、百もの斬撃の雨がマドレットに降り注いだ。嘉は認識が追いつくよりも速くマドレットへ接近していた。

「ゔっ…!まっじか!」

マドレットは全力でかわそうと素早く動くも、半数近くの斬撃がその体を切り裂いた。マドレットはボロボロでその場に倒れ込んだ。マキルたちは何が起きたのか分からず、ただ見ていることしかできなかった。嘉はすでに刀を収めた後だった。

「ははっ…キミの実力を予測しなかったわけじゃないよ…。でもそんなの何の意味も果たさないほどにキミは強かった…。」

マドレットが地べたに突っ伏しながら言う。楽しんでいるようにすら見える。

「だろうな。」

嘉は痺れを切らして飛びかかってきたファングテールを切り裂きながら静かに告げる。ファングテールは流石に硬く、斬撃を受けても立ち上がった。

「もういい。全員撤退だ。」

嘉が刀を構えながら言った。灼猛はまだ混乱しているらしいが、無言で頷いた。

「行きましょう…!」

マキルが灼猛に肩を貸して道を引き返し始めた。他の兵士たちもそれに続いていく。

嘉は静かに刀をその場で振ると、ファングテールの口に向かって直進する。ファングテールは牙の生えた口を大きく開けて相手を飲み込もうとしている。口の中に幾つかの触手が見える。嘉は口の中にまっすぐ腕を伸ばし、ファングテールの喉に刀を突き刺した。ファングテールの動きが一瞬止まる。嘉はその瞬間に刀を振り抜き、巨大メアノイドの下顎を真っ二つに切り裂いた。

そうしてファングテールは咆哮を上げながらグシャリと倒れた。

 

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