寄生世界 -PARASITE WORLD- 作:NIGHTMARE⭐︎
マキルたちは黒狩り、月影嘉の参戦に乗じて撤退を試みていた。
「死地の出口はこっちでしょうか…。」
「確かこっちであってるはず…。」
途中複数の動物の寄生体が現れるが、あの最高警戒対象に比べれば何でもない存在に感じた。そしてその最高警戒対象は嘉によって切り伏せられた。
(通信が届いてよかったですね…。)
マキルは静かに思う。
10分前、最高警戒対象が現れたとき…。
「じゃあ頑張って。ボクここで見てるから。逃げるのは許さないからね〜。」
マドレットが瓦礫の上で地獄絵図を観戦し始めた。マキルは背を向けてマドレットから見えない角度で、信用する仲間へ緊急の応援を頼む信号を送ったのだ。それは、1番上に表示されたヨナギだった。
(ん…?)
ヨナギは自室で通信機が鳴っているのに気づいた。機能的にはほぼスマートフォンと大差ない。ヨナギはソファからできるだけ早く起き上がり、それを覗き込んだ。
「!」
それはもちろんマキルからの救難信号。マキルは付き合いは短いが仲間だ。もはや迷う必要などなかった。
ヨナギは急いで銃を持ち装備を身につけて死地に向かおうとした…が、そこで少し考えた。
(またこの前みたいな最高警戒対象だったら…私じゃ無理だな…。)
ヨナギは誰かに協力を頼もうとロビーを右往左往する。サキサは任務に出かけて、ナルカラは休息中だ…というかマキルさん、休憩なしで次の任務行ってるの…?
(どうしよ…!余裕はないのに!)
焦りを見せ始めるヨナギ。その時、1人の女性が目に入った。黒髪にツノと和服…見覚えのある黒狩り。ヨナギは一応彼女にも協力を頼んでみることにした。
「月影嘉さん…?お願いしたいことがあって…!」
ヨナギが声をかけると、嘉は落ち着いた表情で振り返った。
「緊急か?」
「緊急です!」
「ならば聞き入れよう」
ヨナギは少し不意打ちされた気分だった。黒狩りの隊長なのにそんなあっさり…?
「いいんですか?」
「人命第一、それ以上に理由があるか」
嘉は当たり前と言うふうに静かに言った。ヨナギは圧倒的な協力者を得て思わず微笑んだ。
「ありがとうございます!」
現在。
マキルたちが死地の出口を探していると、見覚えのある影が遠くで大きく手を振っている。自身の存在を見せつけるかのように、はたまた出口の場所を示すように。
「ヨナギさん…」
マキルは思わず呟いた。マキルはヨナギに駆け寄り、信じられないかのような驚きの混じった微笑みで見つめた。ヨナギは得意そうな笑顔でマキルを出迎えた。他の兵士たちもマキルに続いて駆け寄ってきた。
「死地の出口はすぐそこだよ!出よっか!」
「…救助要請をしたのがあなたで本当に良かったです…。」
死地から脱出すると真っ先にマキルが言った。マキルにとっては助かるかどうかはほぼ賭けのようなものだった。
「えへへ。私もまさか嘉さんの協力を得られるとは思わなかった!」
マキル以外の兵士の視線が吸い込まれるようにヨナギに向かった。
「ちょっと待て…君が月影さんを協力させたと言うのか…?!」
「いや。それは私の判断だ」
気がつくと月影嘉が一同のすぐ近くに立っていた。
「だが、この危機を知らせてくれたのは彼女だ。私からも礼を言おう」
嘉が軽く頭を下げる。ヨナギは目に見える動揺で立っていた。
「こちらこそありがとうございます…!まさか協力していただけるなんて…」
「命に関わることなら向かうのは当然だ」
マキルは静かに2人のやりとりを見ていた。抑えきれない感謝と安心を感じていた。
「お二人とも本当にありがとうございます…!」
マキルは微笑む。
「いやいや〜。助かって良かったよ。」
ヨナギが笑い返した。灼猛は声も出ない様子で立っていた。
「それじゃあ…帰ろっか!」
ヨナギの一声で、全員が本部に向かって歩き始めた。