寄生世界 -PARASITE WORLD- 作:NIGHTMARE⭐︎
次の朝、目が覚めたヨナギはロビーへ向かった。メアノイド対策本部の朝は早い。
ロビーにはもうすでに死地の詳細が表示されたマップが投影されていた。危険性が高い死地は10、低い死地は1の数値で表示される。
昨日ヨナギが訪れた死地は危険度が6から5に格下げされていた。夜の間に他の仲間がメアノイドをたくさん倒して危険性が下がったのだろう。当然ヨナギもそれに貢献しているはずだ。
その時、1人の男性がヨナギに一直線に近づいてくる。黒いスーツに身を包み、いかにも厳格そうな目つきでこちらを凝視している。彼こそがこの団体を取り仕切る支配長である。
「ヨナギくんだね。」
「はい。何かようですか。」
支配長は硬い表情を少しも変えないまま胸ポケットから何かを取り出し、ヨナギの目の前に突き出した。
それは一枚の写真だった。写真は明らかに死地の中で撮られたものだ。あの特有の黒く染まった瓦礫が背景に写っている。どうやら道路に大穴が空いているらしい。陥没でも起こったように道の中央がくり抜かれている。そしてその穴の中に写っているのは…間違いなくメアノイドだった。
「これが…昨夜の捜索任務で撮られた。このメアノイドは「Onner」に似て非なる存在と考えられている。」
「要するに…新種ですか」
「そういうことだ。増殖能力や実力も不明のため野放しにするわけにはいかない。」
ヨナギはただ無言で聞いていた。自分はそれと今から戦いに行くのだと分かったからだ。
「私たちがそいつについて探るんですね」
「話が早くて助かる。あくまで詳細を調べるだけだ。人命第一で頼むぞ」
支配長はくるりと向きを変えて立ち去った。ヨナギは考えた。これではまるで私は新種の実力を知るための囮ではないか。
「ヨナギ」
いつのまにか近くに同僚のサキサが立っていた。少し考えに熱中しすぎたらしく全く気が付かなかった。
「さっきの話を聞いていたわ…私も協力する」
ヨナギはその時初めてサキサが戦闘服や装備品、電磁刀を装備した臨戦体制であることに気づいた。
「…ありがとう」
ヨナギは駆け足で自身の部屋へ戻り、対侵食装備を纏い、愛用の銃を持った。人命第一。その言葉がどうも頭から離れない。
ロビーに戻ると、サキサの他にも何人かの兵士が臨戦体制で立っていた。どうやら想像していたよりも大きな任務らしい。全員が各自の武器を装備している姿はとても勇ましく見える。
ヨナギも少し遅れてその群衆へ入った。
「この作戦のリーダーは誰ですか?」
サキサが真顔で振り返った。
「あなたよ」
「…ン?」
ヨナギは知らないうちに作戦長に指名されていた。