寄生世界 -PARASITE WORLD-   作:NIGHTMARE⭐︎

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31 潜入捜査官

静かに街の奥へ消えていくカミラを目で追いながら、緊張がほぐれたような表情でぐったりと倒れ込むヨナギ。

「ヨナギ…!」

嘉がとっさにヨナギを支える。

「なんなのあの人…団員って何のこと…?」

「そういうことか。私が死地で斬り刻んだアレはあやつの仲間と言うわけだな。」

嘉は点と点が線になった様子でヨナギを優しく起こした。マキルはいまだに硬直気味で立っていた。

「にしても…すごい威圧感でしたね。」

「あのまま刺されるかと思った…。」

ヨナギは自力で立ち、本部へ向かった。嘉とマキルがその後を追って本部へ入っていった。

 

「…また無理してる。」

ロビーに入るやいなや立っていたサキサが言った。ヨナギが本部にいない間に帰ってきたらしい。

「ごめんサキサ…。」

サキサはヨナギに向けて少し怒ったような表情をしていたが、ヨナギの後に続く嘉を見てあっけに取られた表情に変わった。

「月影さん…?」

嘉は無言で静かに木製の階段を登っていった。ヨナギはその後ろ姿を少し名残惜しそうに見ていた。

 

「スペクトルレイダー?」

ロビーの真ん中あたりのいつものソファに座ったサキサが、マキルの言葉を聞きかえした。

「そうです。今回の任務はその団員のマドレットという少年によって妨害されることになりました…。」

マキルが深刻な顔で静かに言った。ソファの後ろから覗いていたナルカラも驚いた表情を浮かべる。

「あの何してるのかよくわかんない人たちですよね…?そんな直接的に邪魔してくるなんて…。」

「それと、彼はスカベンジャーに対して異常に攻撃的な言動と行動をしていました。恐らく…スペクトルレイダーはもはや本部の仲間として認識する必要はないかと。」

マキルがさらに静かな声で言った。周囲に聞かれてはいけないかのように意図的に声量を落としている。

 

「…なるほど。」

サキサは疑うことなく納得した様子だ。ヨナギも今初めてこの話を聞いたのだが、流石にサキサは理解力が高いと思った。私はちょっと混乱してるのに。

「それとスペクトルレイダーはどこか別の本部があるからそんなに警戒しなくて大丈夫よ。」

「よく知ってるのね。」

マキルが少し疑うようにサキサを見た。サキサは首を少し横に振る。

「フルガ上官がそう言っていたわ。あの人も彼らには警戒している様子だった。」

「フルガさんが…。」

ディッパー死地で行動を共にしたあの、一弾十射のフルガ。さすが黒狩りだなと疲れ切った頭でぼんやりと思った。

「スペクトルレイダーの団長さんが直々に脅しに近い忠告をしにくるなんて…。」

ナルカラがすっかり怯えた声で弱々しく言った。

 

「何か陰謀があるんじゃない?」

突然背後から聞きなれない軽い声が聞こえた。サキサが即座に真剣な表情で振り返る。そこに立っていたのは肩にかかりそうな長さの赤髪の女性だった。少しだるそうに着崩した黒いスーツに全身を包んでいる。かなりの美形。シチュエーションが違えば見入ってしまいそうだ。

「…さっきの話を聞いていたの?」

サキサが問うと、女性はあっさりと頷いた。

「大した情報無さそうだから聞かれても問題ないじゃん〜。」

サキサはムッとするが何も言わない。マキルは彼女に見覚えがあるらしい。

「貴女はたしか…以前の任務でご同行してくださったことがありますよね。」

「そう言えばそうかも。私は潜入の達人、アーミア〜!」

特に悪い人では無さそうだな、と思った。カミラの威圧感で感覚がおかしくなっているだけかも知れないが。

「潜入捜査官か何か?何の用なの。」

サキサが静かに聞くと、アーミアはふふんと笑う。

 

「当然!スペクトルレイダーの本部に潜入するんだよ☆」

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