寄生世界 -PARASITE WORLD- 作:NIGHTMARE⭐︎
2台のバイクはスペクトルレイダーの本部へ向かって飛んでいく。
(…本当にこの人を信用していいの…?)
サキサはアーミアのあまりに軽い態度に少しの不安を覚えていた。そうとも知らずに自分の目の前ではアーミアがバイクを操縦している。それとあのコルオンという人も、やる気が見えなくて少し信用ができない…。
「よし!もうそろ見えるよ〜。海の中に注目〜」
アーミアの声で我に帰るサキサ。考え事をしている間にいつのまにかバイクは海上を飛んでいた。潮風が肌を通り抜けるように吹き付けている。すずしい…。サキサはそっと下に広がる海面を見る。
本当にそれはあった。全貌は把握できないが、巨大な黒い影が海中に見える。上から見れば明らかに不自然だ。
「あ…。あれがそうね…?」
「そうそう。じゃあそこの岩場の裏に気づかれないように降ろすね。」
アーミアは本部の近くにある岩の塊のような小島を指差した。
「ここからの計画は?」
サキサが痺れを切らして聞いた。いくらなんでも説明がなさすぎる。アーミアはレバーを倒してバイクを空中静止させた。
「岩場に立ってる人がいるの見えるかな?あの人に私が自然な感じで話しかけて本部に入るためにいろいろする。君たちはその間テキトーに変装でもしててもらって、偶然を装ってもらうよ」
「偶然ってどういうことですかぁー!?」
隣の黒いバイクに乗ったナルカラが聞く。
「ただ泳いでたら偶然ここを見つけちゃったんです〜、っていうフリするの〜。そしたら多分あいつらは、ほんとにそうなのか詳しく探るために本部の中に入れてくれる〜。」
アーミアが身を捻ってバイクの横のクーラーボックスのようなものを開けながら素っ気なく言った。ああ…この人はやる気がないんじゃないんだ。やる気を出すまでもないんだ。
「はい、これでも着な〜」
アーミアがいくつかの水着?や潜水服のようなものを差し出した。
「武器は持ってかないからね。泳ぎにくるのに武器なんかいらないし。」
「ここって泳ぎにくる人とか多いんですか〜?」
ナルカラがエンジン音に負けないように声を張る。
「うん。ここの海の砂浜は人がいっぱい来てなんか色々してるよ。まあ結構砂浜からは離れてるけどね、ここ…」
「…疑われるかもしれないわ。」
「多少疑われないと入れてくれないし…。」
「…。」
サキサは何も言わずに上着を脱いで潜水服を羽織った。
アーミアはペラペラ喋っている間に着替えを終わらせていたらしい。海辺で仲間が遊んでるのをアイスを食べながら後ろから見てるお姉さん、というような雰囲気に変わっている。爽やかな桃色の半袖シャツを着て、ふわりとつばの広い日傘みたいな白い帽子を被った。
「わあぁ…素敵ですね…!」
ナルカラがアーミアの服装の変化に気づいて叫んだ。
「ふふ、そうでしょ〜?」
アーミアは嬉しそうな表情で笑った。サキサもようやく着替えを終えた。実際に水に潜るわけではないので、見た目だけの潜水服だ。中はいつも通りの戦闘服を着ている。
「…こういう服は慣れないわ…。」
「かわいいじゃ〜ん」
サキサは無言で顔を背けた。ナルカラがニコニコしながら見ている。
「よし!じゃあそろそろ降りようか。作戦開始だよ〜。l
アーミアがレバーを下ろし、バイクは岩場の近くへ降下していった。