寄生世界 -PARASITE WORLD-   作:NIGHTMARE⭐︎

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38 最も近くにいる人間

アーミア、サキサ、ナルカラ、コルオンは背中合わせに設置された五つの椅子に座ったまま硬直していた。並べられた椅子の中央にはメアノイドの入ったガラスケースがある。目の前には真顔で座っているマヅキがいる。サキサには、この男が真実を知っている気がしてならなかった。それか欲しい答えを言うまで無視する一種の誘導尋問なのか?

 

「私たちは泳ぎに来ただけなんだってば!なんでこんな目に遭わないといけないのさ!」

アーミアが叫ぶ。その声には本心からの焦りが含まれている。

「実はスパイです!って言うまで何もしない気か…!?」

コルオンがこの本部へ入って初めて口を開いた。マヅキは仮面のような真顔のままため息をつく。

「違うよ…スパイだって言ったら別の取り調べをするし、本当に泳ぎに来ただけなら興味ないからほっとく。別に俺から時間を奪った奴らの生死とかどうでもいいし」

サキサは思わず反抗的な表情を一瞬浮かべる。この男は生きるか死ぬかの選択すら与えてくれないのだ。死に方の選択をさせているだけなのだ。しかし、下手に動けば椅子に電流が走って死ぬ。このまま何もしなければメアノイドに殺される。本当のことを打ち明ければもっと辛い死に方をするだろう…。

誰も何も行動を起こせない。それでも誰も潜入捜査に来たと言う事実は言わなかった。

「ちょっと、どれだけ俺の時間を奪えば気が済むわけ?」

ガラスケースが毎分少しだけ開いているらしく、先ほどよりもメアノイドの音が鮮明に聞こえる。マヅキが椅子から立ち上がり、アーミアの前へ歩み寄る。その手には椅子に電流を流すために使うのであろうスイッチのようなものが握られている。

「さっさと終わらせたいんだけど」

マヅキが囁くように言うと、拳でアーミアの頬を力任せに殴りつけた。

「ッ!」

「さっさと話したほうがすぐ死なせてやるって言ってんだよ」

瞬間、アーミアの隣の椅子に座っていたサキサの怒りが頂点に達した。サキサはマヅキが反応できないほどの速度で立ち上がって急接近し、その手に握られたスイッチを叩き飛ばした。スイッチが部屋の端まで吹き飛ばされ、硬い音を響かせた。

「お、お前やる気か」

マヅキは相変わらずの真顔を貼り付けたまま鈍器のようなものを取り出した。

「あっ!?」

アーミアはしばらく唖然としていたが、冷静になってすぐに立ち上がった。スイッチは部屋の隅に落ちている。もはや電流に怯える心配は無くなったのだ。それからすぐにナルカラとコルオンも立ち上がり、サキサの横に立つ。

「そんなすぐ死ににくるんだったらさっきまでの時間なんだったのって話」

マヅキが長いハンマーのような武器を振り上げながら言った。サキサにはこのあとどうするべきかが明確にわかっていた。くるりと背を向けて部屋の出口の方へ走る。だが当然扉はびくともしない。他の3人もすぐにそこへ駆けつけた。

「何してんだよ、無駄だぞ」

マヅキが椅子の横で呆れたように首を振る。

それと同時にタイムリミットを迎えたガラスケースがバタンと開いた。全員の動きが止まる。ガラスケースの中にいたものがカサリと音を立てて外へ出てきた。

 

「メアノイドは最も近くにいる人間を襲うものよ。」

 

サキサたちは部屋の隅の扉の前にいる。部屋の中央にいたのは、マヅキだけだ。サキサたちは逃げようとしたのではなく、メアノイドの近くにいる人間をマヅキだけにしたのだ。

「…やっぱメアノイド対策本部のやつだな」

マヅキがイライラと呟くと同時にメアノイドがマヅキに飛びかかった。そのタイミングで、サキサが部屋の扉を簡単に蹴り破った。

「ひとまず脱出が最優先よ。」

サキサが先導して4人は出口に向かって廊下を走っていった。

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