寄生世界 -PARASITE WORLD-   作:NIGHTMARE⭐︎

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40 油断

怒りに溺れたサキサは、感情のままにカミラに向かって走りだしていた。

「ふん…哀れな…」

カミラが鞭をぎゅるりと動かし、そばに散らばっていた瓦礫の一つを引き寄せた。サキサは右足を振り上げて渾身の力で蹴りを繰り出すも、カミラはそれを容易く避ける。

「理性を失った獣など相手にもならんな」

カミラが右腕を巧みに動かし、瓦礫が絡みつけられた鞭をサキサの上から叩きつける。アーミアが反射的に助太刀しようと体が反応し、さらに血が溢れた。

「動いてはダメよ。私1人でどうにかする」

「武器もなしでか」

次の瞬間にはサキサはふわりと飛び上がり、上から叩きつけられる瓦礫を避けた。瓦礫が床にあたり粉々に砕ける。

(…?)

カミラは続けてサキサに近づきその脇腹を膝で突き飛ばす。

「うっ…!」

サキサはそのまま空中に放り出され、カミラはそこにもう片方の手に握られた鞭を叩きつけた。鞭がサキサの体に蛇のように絡みつく。

「お前程度じゃ足止めにもならんだろう」

カミラが息も切らさずに告げ、両手で鞭の紐を強引に引き寄せた。鞭が絡みついたサキサはそのままカミラの元へ引きずり寄せられ、カミラがそこに暴力的な蹴りを叩き込んだ。

「ぐっ…!!」

サキサは吹き飛ばされて床に転がる。

「実力差を考えるべきだったな。感情でどうにかなるのならこの世界の秩序は保てない」

アーミアはまたしても動こうとサキサの元へ這おうと力を込める。失血で意識が消えかかっている。カミラは気にも留めない。先にゆっくりと起き上がったサキサを片付けるつもりだ。

サキサは素早く左手を振りかぶって走る。カミラが呆れたように息を吐く。そしてヨーヨーのような形状の何かを手で掴んで構える。

「何度やっても同じことだ」

カミラが腕を振ると、ヨーヨーが伸びてサキサの右頬をバシリと打った。しかしサキサは止まらずに左手を大きく振りかぶる。カミラはその左手を興味をなくしたような顔で見つめた…狙い通り!

サキサは左手を振りかぶった姿勢のまま右手を突き出した。

「っ…!」

カミラは避けきれずに振り上げた左足に被弾した。

「左手をわざとらしく振りかぶったのは私の意識をそっちに向かせるためか。」

「ええ。気を引いた瞬間にもう片方の手で攻…」

バシリッ。

カミラがサキサをヨーヨーを持った手で殴り倒した。

「いちいち説明しなくていい」

カミラが右手を振り上げると、ヨーヨーに青緑色の電気が溜まる。サキサはその場でくるりと回転してカミラの左足に蹴りを繰り出す。カミラは逆に左足を突き出して蹴ろうとしたサキサの足にダメージを与える。そしてそのままヨーヨーを振り下ろした。

ズギャンッ!

ヨーヨーはサキサの頭をわずかに掠ったが、そのまま床に直撃して大きく破裂した。破裂とともにほとばしった電撃がサキサの肉体を駆け巡り、彼女の全身から力が抜ける。

「油断したな」

カミラが冷酷に告げる。しかしサキサはほんのわずかに勝ち誇ったような笑顔を浮かべた。

「…あなたもね」

「!」

パァン!!

爆発音が響く。カミラの足元にアーミアが後ろから投げた爆弾が炸裂したのだ。サキサは爆風でふわりと吹っ飛ばされた。カミラの姿はすでになかった。アーミアがカミラがいた場所の後ろから疲れ切った表情で倒れ込んだ。

「…サキサちゃん…」

アーミアはサキサの元まで這っていこうとしたが、その意識はどんどん薄れていった…。

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