寄生世界 -PARASITE WORLD- 作:NIGHTMARE⭐︎
グレイデル死地を進む嘉たち。メアノイドの数自体はそれほど多くはないが、一度に固まって現れることが多いらしい。
嘉がふと足を止め、後ろを歩いていたヨナギは危うく追突しそうになった。
「どうしましたか…?」
「侵食が濃い。自己進化体がいるかもしれない」
嘉が真っ直ぐ前を見ながら静かに言った。商店街だったはずの前方は天井が崩れ落ち、もはや瓦礫の山のようになっている。かろうじて残っている建物も黒く変色している。全体的に灰色な風景だ。ギャクラはショットガンを振り回しているがヨナギはそんなことを気にしている余裕はなかった。
自己進化体、寄生せず自らの肉体を強化した個体。ヨナギは自己進化体に良い思い出がなかった…死地の地下に大発生していたり、最高警戒対象になっていたり…。
「ビビってんのぉ〜?さっさと行こうぜ」
ギャクラが1人先へと歩いていく。
「ちょっと!?あんた死ぬよ?」
ヨナギがギャクラの後ろ姿に叫ぶ。ギャクラはヨナギの方を振り返る。
「心配いらないよ、すぐ片付けてやるよ〜」
ギャクラがニヤリと笑ってショットガンをくるりと回した。嘉は静かに彼の後を追っていく。ヨナギが2人を止めようとあたふたしていると、ギャクラが笑いながら言った。
「ビビってんならそこで待っててもいいけどぉ〜?」
「ビビってない!!!」
ヨナギがナルカラを引きずるようにしてギャクラの後を追い始めた。
そこからの風景は本当に人間が住んでいたのかすら疑えるほど荒廃していた。灰色のビルの外壁が腐り落ちたように崩壊し、骨組みだけが残されている。地面には侵食された瓦礫が散らばっていて、惨憺たる様子だ。まだ昼間なはずなのに、天気が悪いのか侵食の粒子が漂っているのか空が薄暗く霧のようになっている。
「すっげぇな〜」
ギャクラがキョロキョロ見回しながら言った。ヨナギはその様子を後ろから見ている。もう少し軽率な動きをやめてよ…。
刹那、黒光りする棘のようなものがナルカラの足元に突き刺さり、ドカッと鈍い音を立てた。
「ふぁあ?!」
混乱するナルカラと、あたりを見渡すヨナギ。
「メアノイド登場かなぁ〜?」
ギャクラの声など頭に入らないヨナギ。
「今のって…遠距離攻撃…?」
「そう見えるな」
嘉が口を開いた。遠距離攻撃をするメアノイドなど見たことも聞いたこともない…。
「あそこです!上!」
ナルカラが叫んだ。咄嗟に全員が上を向いた。
「あっ…?!」
崩れかけたビルの三階あたりに、自己進化体の姿があった。それはまさしく、兵士の写真に写っていた個体そのものだった。原始的な横開きの顎、焦茶色の装甲のような体、八つの足。蜘蛛のようにも、Onnerの巨大化にも見える。
「…でっけ」
ギャクラが珍しく静かに言った。自己進化体は身の丈2mほどはある。
4人はこの死地の、本当の悪夢に出会ってしまった。