寄生世界 -PARASITE WORLD- 作:NIGHTMARE⭐︎
地下がスカスカになっていて空洞がいくつもあるとされる死地。
「この死地の本領は地下よ。」
道路に開いた穴を覗いた2人が目にしたのは他ならぬ悪夢。大量の自己進化体だった。
「うわ“っ!」
少し前に相手したメアノイドと同種のものも、通常の「Onner」、挙げ句の果てには人間に寄生したであろう寄生体すら確認できる。見える場所だけでも30体以上いる。
「この数は…手に負えないわね。」
サキサが珍しく焦りを見せる。穴の中は大洞窟かのように広がっているらしく、今見えている場所ですらごく一部のように思える。
「これって…地下の空間はずっと放置されてたってことだよね…?」
「そうね…そしてそこにいたメアノイドが人知れずどんどん増殖して自己進化してきた…」
「私たちだけじゃ…」
ヨナギはそう言いながらも銃を構える。こんな実態を目にして、援軍を待つだけなどとてもできなかった。
パァン!
ヨナギの送電砲が炸裂し、複数体のメアノイドを吹き飛ばした。
自己進化体の一匹が穴の上から見下ろす2人に気づいたらしい。長い後ろ足がバネのように跳ね上がり、たちまち穴の外へ飛び出した。
「出てきた…!」
サキサが電磁刀を構えて素早く接近する。
「飛び出てきたやつは私が処理する!あなたは穴の中にいる奴らの狙撃をお願い…!」
サキサが激しく戦闘しながら叫ぶ。ヨナギは戦闘中でもわかるよう大きく頷き、地表から穴の中で蠢くメアノイドの群れに次々発砲していく。その横ではサキサが自己進化体の肉体を電磁刀で貫いている。その間も、穴の中のメアノイドは次々に暗闇から姿を現していく。
「どんどん奥から現れる!」
ヨナギは出来るだけ多くの相手を打ち抜ける角度を考えて砲撃していくが、あまりに数が多い。またしても自己進化体が地表へと飛び出してきた。自己進化体がヨナギに向けて大顎を振り上げて飛びかかる。
「っ…!」
ヨナギは軽やかに跳ねて距離を取り、ゼロ距離射撃を繰り出す。
「キリがない…!」
サキサがまた新たに上がってきた自己進化体を焼き斬りながら呟いたのが聞こえる。さらに穴の中から、人間の寄生体が這い上がってくる。寄生体「MarenoidMan」。胴体に大きな口が開き、多くの触手が生えたグロテスクな姿の寄生体だ。
MarenoidManがヨナギによたよたと近寄っていく。サキサが背後からそれの上半身を斬り飛ばす。もはや永遠に湧き続けるのではとすら思える敵の量だ。サキサは息を切らしながらヨナギのそばへ寄る。
「…これ進展ある…?」
「ない!でもやるしかないでしょ始めちゃったんだから!」
ヨナギはそう叫び追い討ちで穴の中を砲撃し続ける。
その時いつの間にか背後に忍び寄っていた自己進化体がサキサに飛びかかる。
「うぐっ…!」
サキサは反射的に回避を図ったが敵の鋭い顎が太ももを切り裂いた。
「サキサ!!」
ヨナギはサキサに駆け寄りながら自己進化体を撃ち飛ばす。
「う…もう引いた方が…」
「ごめんサキサ…作戦長なのに…私、判断を間違いすぎた…」
自分が無茶な戦闘を続けたせいでサキサが負傷してしまった。自己嫌悪がつのる。
同時に大量の自己進化体が穴から飛び出す。あの進化したOnnerだ。
死ぬ。もう助からない。
そう確信したと同時に自己進化体が一斉に飛びかかる。鋭い顎が2人へ向けて一直線に飛んでくる…
それよりも速く、自己進化体が一斉にバラバラに崩壊して吹き飛ばされた。大量の肉片と体液があたりに散らばった。
「…?」
何が起きたか全く理解できなかったヨナギは恐る恐る顔を上げる。
そこには1人の人影が立っている。その手に握られているのは…刀。
黒いジャケットと和服?のようなものを纏った黒髪の少女がその刀身を収めた。サキサが小さく囁いた。
「…黒狩り…」
メアノイド対策本部最高戦力「黒狩り」、到着。