寄生世界 -PARASITE WORLD-   作:NIGHTMARE⭐︎

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7 黒を狩るもの

和服に黒いジャケットを羽織った黒髪の少女が、刀身を収める。スラリと美しい立ち姿と、額にはツノのような何かが見える。

サキサは小声で「黒狩り」と呟く。

彼女こそ、メアノイド対策本部の最高戦力である集団、「黒狩り」のメンバーである月影嘉(ゲツエイヨミル)。本部内でもあまりお目にかかれない憧れの的だ。当然ながらその戦闘力は桁外れであり、「寄生生物100体につき黒狩り1人」とすら言われるほどだ。

嘉はその赤く鋭い目で地面に倒れ込んでいるヨナギとサキサを見下ろす。

「動けるか」

「なんとか死地から出るくらいの体力なら…」

「ならばすぐに退戦しろ。この場は私で十分だ」

嘉は静かに告げると、刀を鞘に収めたまま道路の穴に迷わず飛び込んだ。

「っ…!」

ヨナギは彼女の身を案じて穴を覗き込んだが、その心配など全く無駄だとすぐにわかった。穴の中にいたメアノイドは、すでに半分近くが切り刻まれた後だった。自己進化体も初期形態も寄生体も無情なまでにバラバラに解体されてとてつもない量の肉片が散らばっている。穴の奥の暗闇では何か白い光がパチパチと点滅しているが、何が起きているのか全くわからない。

「早く死地から出ましょう…」

サキサがヨナギの袖を引っ張った。

「あ…!ごめん!歩ける?」

「どうにか。」

ヨナギはサキサに肩を貸し、死地の出口へ向かって歩いて行った。

 

同刻、嘉はすでに自身の刀で穴の中のメアノイドを一掃した後だった。

 

ヨナギはサキサを支えながら歩く。自身の判断には後悔しかない。作戦長にも関わらず、他の兵士のことを気にする余裕などなく、自身の危険を顧みない衝動的な行動で壊滅しかけた。

「本当に…ごめん…」

ヨナギは涙を浮かべてサキサに謝罪する。信頼を失っても仕方がないと思う。それなのに、サキサはほんの少し微笑んだ。

「私はいいわ…溜まり場の存在は想定外の事態。冷静な判断ができるはずない。」

「サキサ…」

我慢しようとしていた涙が次々と溢れる。

同時に、必ずこの子を守る、と心に誓った。

 

死地の果てが見えた。乗ってきた車があるのが見える。

「あ…出口…」

「あとちょっとぉ!」

ヨナギは気合を入れるように叫び、そのままサキサを抱き上げた。

「あっ…?」

「足痛いでしょ…無理しちゃダメだよ!」

サキサは困惑した表情だが、抵抗はしなかった。ヨナギは残った力全てを使って死地の出口へ走っていく。あと20メートル…あと10メートル…あと少し…

 

2人は死地を抜けた。

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