崩壊と混沌の黙示録   作:天崎

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あけましておめでとうございます
今年最初の投稿となります


紅崎 黒白の聞き込み

罰の後片付けをする黒白とディメアだったがこれはある意味ちょうどよかった。

黒白としては元よりディメアに用があったので機会としてはいい。

 

「なぁ、八事 羽生について聞いていいか?」

 

「はぁ?何でよ?」

 

露骨に嫌そうに答えるディメア。

そこらへんは黒白も想定はしている。

 

「いや、委員長に聞いたらお前のが知ってるって言うからさ」

 

「そうじゃなくて…………何であんたがあの子の事を知りたがるわけ?」

 

「廊下で変な気配を感じて気になったのさ」

 

そこは正直に答える。

黒白としてもそこを隠して怪しく思われるのも面倒なのだ。

 

「まぁ簡単な事でいいさ。性格とかな」

 

(…………それが一番面倒なのよ)

 

「ん?」

 

「何でも無いわ」

 

小声なので今の黒白には聞き取れなかったがディメアは気にしない様に言ってくる。

 

「性格ね………一言で言えば“いい子”よ」

 

「………………何か違う意味がありそうな言い方だな」

 

「それゃね。私もそれに振り回されて苦労したわけだし」

 

「どういう事だ?」

 

「……………今のは忘れてくれるかしら?」

 

どうもどうやら失言だったらしい。

明らかに何か隠している態度を不信に思うが黒白としては切り込みにくい。

 

「まぁいいが……何か怪しい物に関わる様な事はしてるか?」

 

「…………私が何処まで把握していると思ってるわけ?あの子とは友人であっても常に一緒なわけじゃないわよ?」

 

「そうかな?さっきから気になるのがその呼び方だ。結構親しくなければそんな呼び方はしないと思うが?」

 

「…………………」

 

互いに無言になる。

互いの胸の内を探り合うように視線を向ける。

その間にも片付けは続けている。

しばらくしてディメアが何か諦めた様に息を吐く。

 

「そうね…………最近は変な占い師と親しくしているようね。その近所で“物騒な事件”も起きてるからやめといた方が言ってるのにね」

 

「へぇ?その占い師ってのは気になるな。具体的な店名とかは知らないのか?」

 

ディメアは再度溜め息を吐くと紙の切れ端の様な物を黒白に投げ付ける。

受け取った時には白紙であったがディメアが何かを呟くと文字が現れる。

 

「ありがとな」

 

「別に聞かれた事に答えただけよ。私としてはこれ以上あんたに羽生と関わって欲しく無いだけよ」

 

そこだけは本心の様に言うディメアであった。

黒白は片付けを終えるとこれ以上用は無いとでも言うかの様に去って行った。

とはいえ、次の授業でどうせ会うのだが。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「隠しても面倒だったからある程度は教えたわよ。口止めされた部分以上の事は言ってないから安心しなさい」

 

「まぁあれ以上隠していたら彼は私達の事を調べるだろうからね。そこはありがとう、ディメアちゃん」

 

ディメアの背後からヌルリと人影が現れる。

ディメアはそちらを向かずにペンダントの様な物を人影へと放り投げる。

 

「これは何?」

 

「保険よ。防御魔術を詰め込んであるから危険があっても大丈夫でしょう」

 

「何で今渡すの?」

 

「どうせそろそろ動くつもりでしょう?念の為よ」

 

少々頬を赤めながらディメアが言う。

すると、人影は微笑みを浮かべてディメアの背に抱き付く。

 

「うふふ♪心配してくれてありがとう♪嬉しいよ、嬉しいよ♪」

 

「ちょちょちょっと!?いきなり抱きつかないでよ………」

 

慌てた様子で文句を言うディメア。

しかし、実際はそこまで嫌がった様子を見せず、口元も綻んでいた。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「楓、この占い師について何か知らねぇか?」

 

「えっと、何ですか?」

 

放課後。

一旦話し合う為に黒白と楓は喫茶店にいた。

楓にディメアから渡された情報について知っている事を聞いていた。

 

「あぁこれなら噂には聞いてますよ」

 

「本当か?」

 

「えぇ、友達から聞いた事なんですがこの占い師は人を選ぶそうです。気に入った人だけを占うが意外にも結構当たるという噂です」

 

「ありがちな“都市伝説”だな。探るだけの価値はあるが本人に会う必要がありそうだな」

 

「別の噂では占い以外の時は人通りが多い所で人を眺めているらしいですよ?」

 

「人間観察か?」

 

「いえ、見定めてると言われてます。ここで彼女に選ばれた人間は彼女が何もしなくても彼女の店に辿り着くとか」

 

「思いっきり魔術の臭いがするな」

 

「ただ、気になる点がありまして」

 

「この噂はどういう経緯で広まったか分からないんですよね。占って貰った人が広めたなら条件も広まりそうな物ですし、それ以外だと知りようも無い事がありますし」

 

「なるほどな。けどまぁ、会ってみりゃ分かるだろ」

 

「どうやって会うつもりですか?」

 

「見定の段階なら見付けれる。どうせ何かの魔術使ってるんだろうし、痕跡追えばどうにかなる」

 

「なら、私も同行しま「いや、お前は待機だ。家帰ってろ」

 

言いながら立ち上がる黒白。

文句を言う為に立ち上がろうとする楓。

しかし、立つ前に止められる。

 

「大丈夫だ。心配すんな、まだ戦いはしねぇよ」

 

「いや、そうでは無くて私も手伝いますって」

 

「手伝いはいらない。一人でやった方が効率がいい」

 

「何の効率ですか?」

 

「俺のさ。一人の方が探知範囲は広いんだよ」

 

適当な事を言って流そうとする黒白。

その態度にイラッとして食い下がる楓。

 

「分かってくれよ。俺だけが動いて被害が出る分はいいんだがお前まで巻き込むつもりはねぇんだよ」

 

「どの道戦闘やるつもりじゃないですか!!」

 

「逃げるにも事情があるんだよ。巻き込んだら姉御に見せる顔がねぇし」

 

「私じゃ力不足ですか?」

 

「そんな事はねぇよ。ただ、心配せずにいてくれればそれでいいんだよ」

 

言いながら楓の頭を撫でる。

すると、楓の力がみるまる抜けていく。

納得は出来ないが何となく止めるのは無理だと確信するのだった。

いきなり襲われる可能性にも考慮しようと思ったが黒白の方が断るのだった。

 

「気をつけてくださいよ、先輩」

 

黒白は軽く手を振り、喫茶店を出るのだった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

キラキラキラキラと………妬ましい。

私は全てが妬ましい。

でも、それももうすぐ終わる。

だから、今は耐える。

あと数人集まれば準備は整うのだから。

だが、妬ましい。

私がここまで堕ちたというのに平和に暮らしている全てが憎い。

憎くて憎くて殺したいくらいに。

でも、今目立つわけにはいかない。

だから耐える。

耐えるのだ。

運命のレールが切り替わる瞬間まで。

“あの男”の言う事が本当ならば私はもうすぐ解放されるのだから。

この忌々しい物と離れられるのだから。

胡散臭い男だったが今すがれるのはあれくらいしか無かった。

妬ましい、本当に妬ましい。

平和な奴らが妬ましい。

頼れる物がある奴らが妬ましくて憎々しい。

呪いたいぐらいに憎々しい。

けれども、今は見定める事が大事だ。

私は私の為に使える人材を見定め無くてはいけないのだから。

眺める眺める人の波を瞳で、魔眼で、全てで。

見定め見定め植え付ける。

暗示の種を植え付ける。

 

「よぉ、あんたが例の占い師って事でいいのかな?」

 

何かが現れた。

視界に入った途端に寒気がした。

闇が見えた。

恐ろしい闇が見えた。

濁った世界よりももっと深い黒が目の前に現れた。

だが、冷静にだ。

冷静にしていればどうにかなるはずだ。

 

「何の用ですか?」

 

「ちょっと話でもしようか。それとも、今は休みか?」

 

見た所は同年代。

だが、外見年齢は信用ならない。

とはいえ、私の目的に気付かれるわけにはいかない。

 

「はて、そもそも私が占い師に見えますか?どう見ても同年代でしょう?」

 

「同年代ね…………まぁこの姿じゃ仕方ねぇよな」

 

何を言っている。

まぁいいが。

本当に何故この男は私に気付いた?

“隠す”為のバンダナに、ノースリーブにジーパンだ。

占い師とはとても思わないだろう。

 

「まぁいいや、話を戻そう。あんた気付いて無いのか?魔術の臭いがただ漏れだぞ?」

 

「…………へぇ」

 

普通は気付かないはずだ。

私はそれなりの腕だし、忌々しい“神格”的に隠せてたはずだ。

この男はそれを見破ったとでも言うのか?

 

「それで私に何か用なのか?」

 

「噂を聞いて興味が出たのさ。それにこの近くでは失踪が多発していてね。関連性を調べてた所さ」

 

「私を疑ってるわけだ」

 

「疑ってるじゃねぇ。確信してるよ、誘拐犯さんよ。今までの現場とあんたから感じた魔力の臭いからな」

 

こいつ、厄介だ。

私の念願を潰しかねない。

ならば、消そう。

何が何でも消そう。

潰される前に潰してしまえばいい。

 

「少し場所を変えよう」

 

「あぁいいぜ。此処は人通りが多いからな。根こそぎ聞くには都合が悪い」

 

首でついてくる様に促し、路地裏へと入っていく。

その間に眷族を一匹放つ。

人払いをさせる。

私本人がやると気付かれる恐れがある。

 

「そういや、名乗って無かったな。俺は紅崎 黒白だ。あんたは?」

 

唐突に聞いてきた。

どうでもいい。

本当にどうでもいい。

何で消す相手に名乗る必要がある。

だが、多少気を引く必要はあるかな。

場所もちょうどいい。

気紛れだが名乗ってやるか。

 

「私の名は目頭 愛木(めとう あき)だ。別に覚えなくてもいい。というか、覚えるな」

 

「何でだよ」

 

その声に合わせて振り向く。

それと同時にバンダナを外す。

隠していた、封じていた、髪を、蛇を解放する。

男の顔がひきつる。

 

 

「死に行くあなたが覚える必要も無いでしょう?」

 

解放された蛇が男へと襲い掛かる。

今更気付いたがこの男枷をしていた。

何やらそれを気にしている様だがどうでもいい。

そのまま死ね。

噛まれ砕かれ千切られ溶かされ毒され貫かれ苦しんで苦しんで無惨に死ねばいい。

私の念願の邪魔をするからだ。

私の邪魔をするな。

私は解放されるのだ。

この運命から!!

憎くて堪らないこの運命から!!





新キャラ登場でした!!
目頭 愛木(めとう あいき)
年齢としては高校二年くらいです。
ただし、占い屋やってるので高校には通ってません。
そこらへんの事情は今後です。

それでは、質問などがあれば聞いてください。
感想待ってます。
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