第0話
【剣術の最奥】
シーン
空気が静まっている。空気中の粒子たちが今にも凍らんと動きを止めてしまったように男は道場の真ん中で刀を下段に刀の身幅を相手に向けるように構えていた。相手は剣を正眼に構え斬り伏せる隙を狙っていた。
「キェェェェェァァイ」
男が大きな声と相手を両断する覚悟を胸に縦に切り込んできた。
その刹那下段の剣がそのまま切っ先を相手に向けた。
男の振り下ろしが刀の反りを流れるようにずれていった。
「!?」
男に衝撃を与えるその時相手の切りつけをいなしたその剣ひるがえり相手の喉を切った。鋭い一閃その一撃で男は倒れた。豪剣と呼ばれた男のその惨めな最期に同情するような目を向けたこの男。この男は幸彦、生まれながらに剣を握り、その最奥を目指す剣客である。
【剣を握り地図を開く】
かの男が生まれたのはとある剣術道場である。
父は剣の師匠であった。今まで一度も勝ったことがない程に強く、隙がなかった。そんな男に剣を教わったのだ幸彦は強く育った。ある日、父より奥義を授けると言われた。二十歳のことであった。今まで、男は父の流派の基本4つの型を徹底的に極めていた。その型どれか一つとっても天下一品の代物であった。自信のついていた男はこう思った。
(奥義だと?奥義なんざ今までの型でねじ伏せてやらァ)
そんな傲慢さを感じ取った父が
「よし、まずは見て学べ。」
その瞬間父の圧が変わった。
地獄の門番を彷彿とさせる覇気を出していた。だが奥義というにはあまりにも隙が多かった。それすらも罠に感じてしまうほどの隙ただの仁王立ち。
「構えろ。お前の構えがこちらの構えの始まりだ。」
男は剣を構えた。一般に霞の構えと呼ばれるものであった。型の名は「燕飛の型」男の流派の4つの方のうちの一つ攻撃的で先を取り後を打つといったものである。男は父に向かっていった。燕飛の型の基本返し燕初撃を避けられてもすぐに翻り相手を斬る妙技その初撃、撃とうとした瞬間、目の前にいた門番が男の小手、袈裟、胴を切ってきたように感じた。
男は負けたのだ。その圧倒的な剣戟に男は地獄を見た。腹には大きなあざができ小手は一ヶ月たってもまるで使えない。それどころか左の鎖骨は完全に力を抜いていた。あの技は地獄の入り口だったのだ。
「これでも力を抑えたのだがな、すまぬ私もまだまだだ。」
父のその言葉に苛立つ余裕すらなかった。感じていた苦しみをさらに強める父の言葉は深く刺さった。
(強くならねばならんこの男を打ち倒す。奥義を見切り剣戟一つ一つを丁寧に返してやる。地獄の門番とやらを地獄に落としてやろうではないか)
男は地図を取ったのだった。
初作品です。
剣の動きを想像できるように表現できるように頑張ります。
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実際の団体、地名などは何一つ関係ありません。