地獄門   作:テルの消石灰

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第3集

【彼の者の後ろに刀塚】

資料によるとこの流派の祖の弟子の道場で最も近い場所は尾張にあるという。一振りの刀と木刀と路銀と握り飯を持ち男は旅に出た。

 旅は順調であった。途中旅のものとも会い、話を交わした。そんな中、日が暮れてきていた。どこか宿を取ろうと宿場町に降りてきておいて正解だった。少しの路銀を使いそこで1日過ごした。次の日の朝のことであった。

「頼もぉー!!!!!!!!」

あまりにも快活でうるさい声が男の目を覚まさせた。

そういえば、この宿の反対側には剣術道場があったな。そうこの男、もし宿が取れなければその道場に押し入り泊めてもらう算段だったのである。

「頼もぉー!!!!!」

そんな声を遮るように道場の男が出てきた。

「うるさぁーい!時間を考えろ馬鹿者!」

至極真っ当な意見。正論。快活な男は言った。

「私は伊賀より来た剣客貞吉と申す!道場破りに来た!」

この男貞吉、よほどの世間知らずである。

「ど、道場破りぃ!?」

道場の男は狼狽えた。それでも剣の道を示す者か?

「戦わぬというなら殺す、そしてこの町でまともに道場など開かせぬ。正しい剣を守るのだ。」

おっと、風向きが変わったな。そこで感じた高揚を胸に木刀を握り刀を差し、道場へと向かった。

「す、少し待たんか、話をしようではないか…」

弱々しく道場主が言う。

「最初の威勢はどうした!それが剣の道を進む者の在り方化か!許さん、斬り殺す!」

刀を抜くその瞬間。

「待たれよ!」

貞吉は怪訝そうに男を見た。

「正しい剣を守るその意気、否定はせぬ。が、その男が戦わないという選択をすることが無駄な争いを生まない活人剣としてのあり方として間違っている道理はない。」

男は木剣を構えた。

「だが、お前の正しい剣とやら興味がある。かかってこい。」

貞吉はキレた!

「その驕り、斬り伏せてくれる!」

男は流水の型を構えた。

貞吉は平正眼構え、突いてきた。

男はその突きに刀を合わせいなした。そしていなした刀翻し、喉を叩いた。

「俺の勝ちだな。」

貞吉は正しいと信じた自分の剣術と自分自身に落胆したように刀を落とした。

勝負あった。気づくと周りには人だかり、道場主がお礼を言ってきた。何かお礼をと言ってきていた。なので、

「貴公の剣見せていただきたく存ずる」

そう答えた。

男がこの旅の中で決めていたことは行ける限り全ての剣術道場を巡り、その剣を見る。そしてこの流派を超える新たな剣を生み出すといったものであった。

だがしかし。参考にならなかった。活人剣の道場は弱くはないが強くはない。精神鍛錬を見させてもらったし師匠を名乗る男とも話した。だがその男自身も強くはないと言っていた。少しでも自信を持てる剣を目指していた。少し、私の剣とは合わないと感じていた。

 

【彼の者の後ろに刀塚②】

あの宿場町を後にした幸彦は1つ目の道場に向かって歩いた。その道中1人の男と出会った。刀を佩いている男であった。

(!?この男、刀を佩いているぞっ!)

幸彦の生きる時代、戦乱が過ぎ落ち着きを持ち始めた時代そんな中佩刀しているのだ。驚くのも無理はない

そんな男と目が合った。狼が獲物を狙わんとするその眼光の鋭さに幸彦は、武者震いした。

(盗賊か?殺れるなら殺ってみたい…!)

読者の皆様申し訳ないこの主人公はバーサーカーなのだった。

「おぉ〜い、そこの剣客さんよ〜。恵んでくるねぇか〜?見ての通りこんななりなんだ。いいだろぉ〜?」

幸彦は答えた。

「断る。お前のような落ち武者にやる金など無い。」

盗賊はキレた!

「てめぇ!誰が落ち武者だ!たたっ斬る!殺す!恵んどきゃぁよかったたのになぁ!後悔させてやんよ〜!」

男がたちを引き抜き切りかかってきた。

幸彦は烈火の型を構えた。

右手で柄を握り、横一文字に向け左手を刀の鎬筋あたりに添える。

盗賊が縦に切りかかってくる!それを受け止める幸彦。どちらの力が強いか…………否

受け止める必要がない。受け止めると見せかけ左に体をずらして太刀を空振らせた!それと同時に引いていた左手からパチンコを弾くように相手の首に刀を打ち込む。

ザシュ!ドサ…バタ。

盗賊から川が流れた。ひどく赤い川が。その血の先に、盗賊の手下どもがいた。

「て、てめぇ!」

一人が切りかかってきた!流水の型でいなし、頸動脈を斬る。

その流れできたもう一人を大木の型で刀を打ち落とし、打ち落としに使った刀をそのまま相手に刺す。

「2人目!」

幸彦は人数を確認していなかった。わき上がってくる闘志がそれを拒んだのだ。

3人目怯えていた。震えて剣が甘くなった。

「甘い!」小手を斬りつけ返し燕で相手の左鎖骨から袈裟に斬った。

「な、なんなんだ。お、おまえはぁ〜!!」

4人目が突っ込んできた。

幸彦の目は水が自ずと凍り出すほどの冷酷さを秘めていた。

「奥義、見せてやる。」

地獄門、この言葉のごとく幸彦の圧は4人目の目に地獄の扉を見せつけた!

ガシュ!ザシュ!ズシャ!

地獄門、決まった。

盗賊を皆殺しにした。だが、満足げではなかった。

(この奥義あまりにも不完全!)

4人目が最後だった。退屈さが少し鼻につく。

本当なら奥義はもっと強いはずなんだ。

少しの絶望を胸に終わりの道場へ向かう幸彦に歪な視線を向ける男がいることに気づかずに…




話数表記から集数表記に変更します。
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