地獄門   作:テルの消石灰

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第4集

【天下剣統】

幸彦は尾張の道場に着いた。道場主は父のの名前を聞いた途端に笑顔になり、快く受け入れてくれた。どうやらここの門弟であったそうだ。そしてこの道場主こそが弟弟子の雪三郎であった。なかなか年端もいかない若造に見えるほど流麗であった。

「幸次兄さんの息子に会えるとは、長生きもしてみるものですね。」

そのあまりにも優しい声に少し面食らったが幸彦は尋ねた。

「ぜひご指南賜りたい。」

雪三郎は笑顔で承諾してくれた。

他の門下生たちが見る中での立ち合いで少し緊張したが、すぐにほぐれた。

「では、参ります!」

幸彦は燕飛の型で先手を取りにいった!

初撃あえて外すように避けやすいように振り降ろした!

雪三郎はひどく冷静であった。烈火の型であった。

だがしかし、幸彦の燕飛の型の切り返しは烈火の方をも超える速さだと自負していた。

サクッ…

まるで雪に木刀を打ち付けたようだった。雪三郎のあまりにも上手い剣の受け止めは幸彦の思考に隙を生ませた!

烈火の型で鍔を使って相手の刀を弾き、それを返すようにそのまま刃を幸彦の首元へ添えた。

幸彦は負けた。

「とても良い剣だ。研鑽を重ねれば後数年もしないうちに私が手も足も出なくなってしまうよ」

幸彦は悔しかった。型が通用しなかったことが今での努力をまこわされた気がしたからだ。

そんな様子を見た雪三郎は言った。

「守破離だ。幸彦よ。この流派の方は強いだからこそまだまだ未完成でもあるのだ。自らの剣を見いだせ。」

この言葉に感銘を受けつつ、資料を見せてもらった。

だが、地獄門どころか奥義すらでてこなかった。

雪三郎に聞くも、奥義の存在を知らなかった。

ここで疑問が生まれた。

(いったい、父はどこで奥義を体得したのだ?)

雪三郎は奥義に聞き覚えはなかった。

だがしかし、幸次の言葉を思い返していた。

「こんな剣では勝てん、だが強い、何かが足りんのだ。」

雪三郎は幸次は自ら奥義を編み出したのではなかろうか。そう考えた。そして、

(その剣の道にその奥義があるのだろう形は違えど同じ剣になるはずだ。わたしももっと修業せねばならんな。)

と新たな道を見つけ心を燃やすのだった。

 

その夜、止めてもらった幸彦は奇妙な気配を感じ飛び起きた。

そこには一人の剣客がいた。

「む?気づかれたか。しかも雪三郎の弟子かお前?」

男は刀を抜き、切りかかってきた。

咄嗟に剣を引き抜き流水の型でいなしなんとか回避した。

「ほほう、今のを避けるか。貴様には私の名を聞く権利があるな?では名乗ろう。 私は天下剣統、第16番隊隊長、餓狼派の岩兵衛である。」

天下剣統?餓狼派?何のことを言っているのだ。

「隊長、あの男です!この私に恥をかかせた愚弄者は!」

そこにいたのは貞吉であった。

それに続いてゾロゾロと剣客たちが入ってくる。

雪三郎もさすがに目を覚ましたらしい。サッと刀を抜き、敵に構えた。

それと同時に幸彦は聞いた。

「天下剣統とは一体何なのだ!」

 

 

【天下剣統②】

「天下剣統とは何なのだ!」

幸彦の質問に男は答えた

「天下剣統、それはこの世に蔓延る軟弱な剣術を排斥し、強い剣で民草を強くする組織である!ちなみに、今私が名乗ったのは自分と同等レベルの相手に対しては敬意を払うという天下剣統鉄則によるものであ〜る。」

自慢げに話すその男に答えるように雪三郎は質問した。

「強い剣を残すという鉄則のくせに闇討ちをし、ましてや失敗するほどの男が敬意とは、笑わせてくれるな。もし、本当に敬意があるなら少なくともその刀を納め、話を始めるのが筋だと思うがね?」

その言葉に貞吉はキレた!

「軟弱剣に聞く耳など持っておらんわ!」

刀を鞘から抜き切りかかってくる。

「っ!?よせ!」

天下剣統の男が止めようとするが貞吉は止まらない。

その激しさ猛火のごとしであった。

雪三郎はひどく冷静に構えた。烈火の型の構えであった。

「それは!もう知ってる!」

貞吉の威勢虚しく

サクッ!

そこまで激しかった剣は勢いをなくし完全に止まった。

雪三郎は貞吉の剣を弾き、剣を返しそのまま斬った。

「もし、私が天下剣統ならば貴殿に名は名乗れんな。」

岩兵衛はそれを聞きひどく激昂した。

「なぁにを申すかこのどぐされがぁ〜〜っ!皆の衆、奴らを打ち殺せい!」

岩兵衛に続いていた剣客たちが刀を抜き、切りかかってきた!

剣客の一人が奇声をあげて詰めてくる。

「チェァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙シャァァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙」

その時の幸彦はもうひどく冷静であった。流水の型で相手の剣を受け止めると見せかけて振らせる。

「声だけの木偶の坊め!」

相手の左脇を切り抜く。男から血が飛び散る。

男の死体を踏み越え剣客たちが詰めてくる。

れ幸彦は烈火の型を構えた。

幸彦から見て右側の男が平正眼から素早く突いてきたそれを身体を右に反らし避け、パチンコの要領で相手の喉に刀を弾く。頸動脈が自らの存在を示すように血を上げる。2人目はその死体を押しのけ幸彦の左袈裟に切りかかってきた。大木の型でその剣を弾きその刀をそのまま相手の喉に刺す。2人目の口が新たな血管となり血を流した。

3人目、幸彦の右を攻めてくる。烈火の型で相手の小手に刀を当て受け止める。勢いそのまま相手の両手は宙に舞った。あっけにとられ、そこを幸彦に切られ死んだ。

転じて雪三郎。相手に合わせほとんど己の剣を振らずにいる。相手の縦に体を合わせるように入身し相手を投げ相手の持つ刀がさらなる剣客に刺さるように投げた。間合いを見てくる相手にはさっと詰め手首を取り、刀を取るその流れで相手の左脇を切り結ぶ。

取った刀を次の一手に投げつける。それを弾いたその瞬間刀を抑え体当たり。

強かった。幸彦が3人倒すうちにここまで暴れていたのだ。

その惨劇を見て岩兵衛は叫んだ。

「うぉのれれ〜〜〜いっ!!!!!よくも…よくもやってくれたなぁ!」

岩兵衛刀を引き抜き雪三郎へ向かう。

しかし雪三郎は軽く避けてしまうそして、

「幸彦よ、貴殿の奥義、未完だろうが見せてみよ!」

そういった。

幸彦は深呼吸をした。そして地獄門を構えた。

流水の型の刀をずらす動作に燕飛の型の返し燕、これ示すは地獄への道しるべ。

岩兵衛はその構えに驚いた。

隙が無いのだ。動けなかった。

幸彦が詰めた

小手、袈裟、胴、瞬く間に斬った。

岩兵衛は肉片と化した

天下剣統、その程度か

幸彦は少し失望しながらも死体を処理した。

雪三郎は少し驚いていた。

人を切ることに何のためらいもなかったのだ。

自分が同じ年齢のときはもっと手が震えていたし動悸が止まらなかった。

いったい幸次兄さんはどうな指導をしたってんだ。

この衝撃に加えてもう一つ

あの奥義、あれで未完なのか…

 

 

【天下剣統③】

天下剣統を名乗る盗賊たちを斬り伏せた2人は話していた。

「君の剣見せてもらったよ…。なんだか自分の足りなさを感じたよ。ありがとう。」

雪三郎はそのまま伝えた。

幸彦も

「自分に何が足りないのかをみれた気がします。こちらこそありがとうございます。」

次の目的地を決めた。

次の道場は三河にあるという。

雪三郎は招待状を幸彦に手渡し、言った。

「楽しんでおいで」

 

場所は代わり

−天下剣統・総司令部−

「報告によれば第16番隊が壊滅したという。やはり少数精鋭と入ったものの16番隊ともなれば弱体化は免れなかろう。そこで提案だが17番隊から20番隊までの隊員を1つの攻撃隊とするのはどうだ?」

一人の剣客が言う。

そこに老爺が口を挟む

「悪くない案だが、攻撃隊という名前は分不相応なのではなかろか」

花魁の服を着た者が言う。

「でもいいんじゃなぁ〜い?手数の多さも技よ?」

それに答えるように天を衝くような大男は言う。

「しかし、我らが主はそれを認めなさるだろうか。」

全員の目線がその主へ向く。

「よい、やれ」

""御意に""

剣客たちは後ろの戸を開く。

さあぁぁぁぁぁぁぁぁあん

そこには多くの剣客、槍使い、拳闘士、忍び、まさしく兵が揃っていた。

「皆のものよ!古来より我々は強き剣の伝承を胸に活動してきた。しかし、今世は虚しく、剣の道は衰弱し国そのものも弱っている。勇猛たれ戦士たちよ!今こそ我々の真価を発揮するときである。強さを正しさを天下に知らしめてやるのだぁっ!」

 

うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおお!

勇猛たれ!勇猛たれ!

 

彼らの絶叫は天地を揺るがす事となる。

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