「傑が僕のクローンを作ったぁ!?」
五条悟は素っ頓狂な声をあげた。
「クローンって、どういう事だよ」
流石に戸惑う五条に、伊地知はスッと写真を見せる。
「あ“?」
そこには、2人の傑に挟まれて楽しそうな五条悟がいた。
もちろん、五条に覚えはないし、よく見れば悟より線が細い。
よく見れば伊地知、家入のそっくりさんもおり、我が世の春を謳歌している。
五条は無論イラっとした。
「彼らはサイバーシャドウズ&クリエイションと名乗っており、なんらかの調査を行なっているようです。メンバーのほとんどが特許を扱う檻種研究所に重複して所属しています。社長は電影 悟。真ん中の五条さんそっくりの男性ですね。電影家のほとんどの人間は、高専の術師と同じ顔と名前を持っています」
「つまり、クローン集団な訳ね。傑にそんなん出来ないでしょ」
「夏油さんは洗脳されているだけという説もあります。とにかく、クローン集団と夏油さんが一緒に行動していることは確かなようです」
「あいつが洗脳されるたまかぁ? で、まさか術式もおんなじとか言わないよね?」
「それが……とにかく五条さんに見ていただきたいんです」
少なくとも、電影 悟は同じ目隠しをしていた。最悪、六眼の可能性もあるという事だろう。術式が違うなら、伊地知はこの場ではっきり否定したはずだ。
「どこにいんの」
「それなのですが、いきなりクローンの集団を狙うのはリスクが高いという事で、禪院家と共同で禪院直哉のクローンを狙うという話が出てます。禪院直哉だけ、単独行動をしているようなので」
「ふーん。手強そうなわけ?」
「禪院家が念には念を入れて五条さんに後詰を依頼する程度には。禪院家当主が直々に動いたにも関わらず、一回取り逃したのもありますが」
五条家と禪院家は仲が悪い。それを考えると、確かに大ごとと言えた。
禪院家がすでに作戦を開始しているなど、情報が明らかに五条に回ってくるのが遅かったのが伺える。
「それはいいけどさぁ。情報僕に回すの遅いんじゃない?」
「内通者を疑っていて、クローンが作られている人間には情報を回さないようにされていたようです。疑いが晴れたので、私達に情報が回ってきました。直哉さんも丁度今、偽物について話を聞いてると思いますよ」
「やれやれ。で、直哉の偽物はどこにいるわけ?」
「禪院家や京都校近くに出没するようです。どうやら、禪院直哉特別一級術師を装って潜入を狙っているらしく、あえて誘い込むとの事です。五条さんには、京都校に秘密裏に向かっていただきたく」
「了解」
電影 直哉は教師である。
そして、生徒であり親戚である真依が死んだ事も、真希が落ち込んでいた事も気にしていた。また、真希と恵以外の一族を失っていた事もあり、禪院家と京都校についつい足が向いていた。
並行世界とはいえ、真依の写真でも取っていけば真希も喜ぶかもしれない。
そう思い、天才的な頭脳を使い、華麗に京都校に潜入していた。
そして、首尾よく真依を見つけることに成功していた。
「真依ちゃん!」
「直哉さん」
「駄目やで真依ちゃん。先生って呼ばな」
「直哉先生?」
「ん! 真依ちゃん、悪いんやけど、写真一枚撮らせてくれへん?」
「いいけど、いつもみたいにお茶飲んでいかない? 紅茶入れるの私の趣味だし」
「ええの? そんならご馳走になろうかな」
並行世界の真依が紅茶好きだったとは初耳だが、華麗に話題に乗った。
「真依ちゃんは、学校で困り事とかない? お友達と仲良くやれとる?」
「……そうね。よくしてもらっているわ。先輩にも同級生にも」
「せやろな。真依ちゃんの術式、使い勝手ええし、そりゃ大事にするわな。 自分のはちょっと不人気やし、羨ましいわ」
「は?」
「ん?」
一瞬、真依が般若になった気がするが、気のせいだったようだ。真依はニコニコと笑っている。
「さ、飲んで飲んで!」
急かされて、直哉は紅茶を飲む。
「美味しい?」
「美味しいわ。さすが真依ちゃんやな」
「もっと飲んで」
「いや、ええよ。時間ないんや。写真撮ってええ?」
「いいけど、なんに使うの?」
「真希ちゃんに渡すだけや。真希ちゃん寂しがりやからな。真依ちゃんの写真あれば元気出すやろ」
「そう?」
「そうや」
そこで、ドアがバタンと開く。
「なーおーやっ 遊びに来たよー!」
「悟くんは暇さえあれば京都校に来とるな……。いっそ傑くんと同じ学校に勤めぇや」
「ふぅん? 僕も可能ならそうしたいんだけどね。さ、直哉。傑の事聞かせてよ」
ジロジロと悟に見られ、直哉は慌てたが自分を元気づけた。
並行世界の同位体なのだ。見破れるはずがない。
「傑くんはこの前も研究室爆破して……あ」
傑くん、こっちでは指名手配犯やん。
「ちょ、ちょっと用事を思い出したから帰るわ」
立ち上がると、立ちくらみがする。ストン、と椅子に座った。
「五条先生」
「うん。術式含めて、直哉と区別がつかないね。小手がなかったら見分けつかないくらい」
そして、ドアから悠々と直哉と直毘人が現れる。
「悟くんいなくても問題なさそうやったな。やるやん真依ちゃん」
「術式が同じ……ということは、あの時見せた無下限はやはり」
「罠かっ!! とーじくん、起動!!」
『おはよ、直哉』
「とーじくんやて!?」
籠手の上に浮かぶ、かつて憧れた姿に禪院直哉は声を上げる。
一方、直毘人は躊躇なく右腕を籠手ごと奪いに行った。
「無下限システム起動!」
『りょーかい』
弾かれる!
「呪霊操術システム起動! 呪霊ゲート展開!」
『待ち時間一分……三十秒……』
「まってや甚爾くん!」
『りょーかい』
「へ? 再開や甚爾くん!」
『りょーかい』
「待ってや甚爾くん!」
『りょーかい』
「どうやら、音声認識システムのようだね」
一連の出来事を余さず観察していた五条はニヤリと笑った。
そして、同じ術式なら当然、五条の方が使い慣れている。
五条は電影 直哉に張り巡らされた無下限を突破し、電影 直哉を眠らせた。
「うむ。あとはもう帰って良いぞ」
「じょーだん。尋問には僕も参加するよー」
禪院 直哉が籠手に触れると、籠手は禪院 直哉の指紋に反応し、容易く外れるのだった。
戦利品ゲットである。
マシュマロ
https://marshmallow-qa.com/lucaluca
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