魔法薬学を受ける教室は、学校の地下牢にある。
薄暗く、気味の悪いホルマリン漬けが瓶の中でぷかぷかと浮かぶその場所は、まだ暑さの残る秋だというのに、どこかうすら寒かった。
さまざまな薬草や血、臓物の混ざった匂いがデイヴの鼻の奥をつつくように通り抜ける。彼は露骨に顔をしかめ、人さし指の第二関節で鼻先をこすった。先日フレッドとジョージに教わった喫煙スポットで吸ってきたタバコの香りが、嫌なにおいをわずかに上書きしてくれる。
「どこ行ってたんだ?」
肘でつつきながらシェーマスが聞く。
デイヴは一瞬だけ迷い、ネクタイを気にするように首を動かしてから、「しょんべん」とだけつぶやいた。シェーマスは吹き出した。
赤毛の双子とリーの話では、この科目の教師は筋金入りの理不尽で、スリザリンに甘く、グリフィンドールには信じがたいほど厳しいという。彼らもしょっちゅう減点を食らうらしい。理由を尋ねると、「スリザリンの大鍋に爆竹を放り込んだ」とか何とか。――バカじゃね? とデイヴは思った。
しばらくシェーマスと与太を飛ばし、ディーンの真似をして黙って教科書に目を落としていると、地下牢の扉が大きな音を立てて開いた。
デイヴの肩がびくりとこわばり、体が椅子から少し浮く。ここは地元じゃない、と自分を落ち着かせるために、一度デイヴは左耳を触った。そうして椅子に浅く座りなおして、背もたれに体重を預ける。
育ちすぎたコウモリのような黒衣の男が、すべるような足取りで通路を横切る。魔法で開けた扉を、わざとらしく音を立てて閉めると、その男――スネイプはゆっくりと振り返り、教壇に片肘をついて点呼を始めた。
「ジョンソン」と読み上げるや、スネイプはまっすぐデイヴへ鋭い視線を投げた。
デイヴは物おじせず、そのわずかに濁った黒い目を、明るい碧眼で射抜くように見返す。
やがてスネイプが視線を外して次の名を呼び始めると、デイヴは目を落とし、教科書のページの上を視線だけ滑らせた。
やがてスネイプはポッターの名前を呼ぶと、意地悪にたっぷりと口角を上げながら、まるで俳優のように喋り始めた。
「左様……、ハリー・ポッター殿。我らの新しい、スターだ」
スリザリン側の席で、クスクスと底意地の悪そうな笑い声がした。ディーンの頭越しにそちらを見ると、いつぞやに列車の中で出会った金髪のふざけた髪型のやつ(少なくとも、11才でオールバックは彼の中ではふざけた髪型だった)が、取り巻きであろうバカそうなデブ二人の耳元で囁いている。
デイヴは呆れたように鼻を鳴らして、羽ペンをいじり始めた。再びのクソ授業の予感に、彼は辟易とした気分だった。
出席を終えると、スネイプは小声でぶつぶつと授業の概要を語り出した。教室は自然と静まり返るが、デイヴには、自分の言葉に酔った独演会にしか聞こえない。足音も立てずに教室をうろつく様子は、いつぞや見た映画のボンドの悪役みたいだ。
早々に集中を解き、デイヴは教科書へ視線を落とす。書かれているのは、子どもが想像する“魔法の薬”そのものだ。ナメクジやカエル、聞き慣れない薬草名がずらり並び、鍋をかき回す回数までご丁寧に指定がある。今日は何か作るのか、とぼんやり考えた、その時――
「ポッター!」
一番前にいたらしきポッターの肩がびくりと震え、隣の赤髪もそれを見てびくりと飛び上がった。
「アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じたものを加えると何になるか?」
スネイプが言い切るが早いか、隣にいるグレンジャーの手が高々と上がった。ポッターは隣のロンへ顔を向けるが、ロンは諦めたように首を振った。
ポッターは素直に「わかりません」と伝えると、スネイプは「チッチッチ」とゆっくりと舌打ちを打ち、ポッターに意地の悪い言葉を投げつけた。
「ご立派な稲妻の飾りはあるが、答えは飾ってくれませんぞ――覚えておきなさい、ポッター君」
それからも、ポッターはスネイプの詰問に近い質問に曝された。
「隣のハーマイオニーならわかっているそうなので、彼女に聞いてみたらどうですか?」
ポッターは煽るでもなく、あくまで冷静に言った。
デイヴは口笛を吹き、シェーマスは思わず噴き出した。他にも数人のグリフィンドール生が、彼のセリフに笑いをこぼした。
ポッターはこちらを振り向き、デイヴはやるじゃん、と口の形を作り、シェーマスはウィンクを返した。
スネイプは不愉快そうに顔を顰めてグレンジャーの方を見ると、ただ一言冷たく、「座りなさい」とだけ言い捨てた。
「説明してやろう、ポッター。アスフォデルとニガヨモギを混ぜたものは、とても強力な眠り薬となるのだ。これは生ける屍の水薬とも言われている。そしてベゾアール石は――」
ディーンは教科書の余白に、スネイプの説明を大急ぎで書きとり始めた。デイヴは大げさにふむふむと頷きながら、真似してメモを取り始めた。スネイプの説明は先ほどの演説もどきとは違い簡潔で、大事なところだけを述べるものだった。
やがて説明が終わると、彼は「何故今の説明を誰もメモに取らないのだね?」とクラスに向けて言ったあと、「ポッターの無礼な態度で、グリフィンドールは一点減点」と冷酷に宣告した。
その後の実習は、デイヴの神経を盛大に苛立たせた。
スネイプは生徒を二人組にし、おでき治療薬の調合を命じる。ディーンはシェーマスと、デイヴはネビルと組む羽目になった。できるだけ朗らかに聞こえるよう訛りを抑えて挨拶したが、ネビルは蛇に睨まれた蛙のようにびくつき、目も合わせず挨拶すらしない。デイヴは目元がひくつくのを止められなかった。
調合中は散々だった。ネビルはスネイプをデイヴ以上に怖がっているのか、黒い外套が通るたびにナイフを落としそうになり、干しイラクサを盛大にこぼし、蛇の牙を砕けずどこかへ弾き飛ばす。そのたびにデイヴが片付けを手伝っても、ネビルは青い顔をさらに青くするばかりで、ありがとうの一言もない。デイヴは(こいつ、マジで……)と口元までひくつかせた。
一方デイヴは、それなりに器用にこなした。ついでにネビルの分も手を出す。イラクサは少し分量が多いがまあいいや、と鍋に入れ、逆に牙は力を込めすぎて粉薬みたいになり、ネビルがくしゃみをして、デイヴが用意した牙の半分を床にぶちまけた。
スネイプは、どうやらお気に入りらしいマルフォイを除いて、全員に小言を浴びせていく。砕きが甘い、もう少し刻め――それはそれはねちねちと言う。とりわけハリーは、通るたびに難癖をつけられ、デイヴですら気の毒に思うほどだった。
やがてスネイプが、牙だのナメクジだのをマルフォイ相手にあーだこーだ言い始めたところで、事件は起きた。
デイヴが気づいて止めるより早く、ネビルがヤマアラシの針を、手順よりも早く――しかも書いてあるより五倍は多く――大鍋へ放り込んだのだ。次の瞬間、鍋は大きな音を立てて爆発した。
「Oh, fuck you! Arsehole!!」
こぼれた薬液から緑色の煙がシューシューと上がり、飛び散ったそれは生徒の靴に穴を開け、たちまち皆は椅子の上へ避難した。デイヴは鼻を刺す悪臭をシャットアウトするため鼻をつまみ、盛大に悪態をつく。コンバースのつま先に黒い焦げ穴。ついでになぜか離れたはずのシェーマスの大鍋まで、どろどろに溶けていた。シェーマスは悲しみや怒りより先に「なぜ」がおりてきて、口をぱくぱくさせている。
ネビルは失敗作の薬を全身に浴び、体中のあちこちに赤い、見るからに痛そうなおできが噴き出していた。デイヴの留飲は少し下がった。
「バカ者!」
スネイプが怒鳴り、杖を一振り。床一面に広がった悪臭の薬は一瞬で消え、靴もついでにきれいに修復された。
「おそらくだが――大鍋を火から下ろす前に、ヤマアラシの針を、それも大量に入れたな? 大馬鹿者め」
ネビルの顔はおできで膨れ、赤く一回り大きく見える。
スネイプはデイヴへ目を向け、彼に医務室へ連れて行かせようとしたが、隣のシェーマスの大鍋がひしゃげているのに気づき、代わりにシェーマスへ命じた。
それからデイヴへ、「無礼な言葉を教室で使ったことで、グリフィンドール三点減点」と言い渡す。デイヴは仕方ないと肩をすくめ、スネイプがハリーとロンの方へ向いた瞬間、思い切り中指を立てた。ディーンが噴き出し、それに気づいたスネイプが振り返るが、デイヴは素知らぬ顔で、シェーマスとネビルが教室を出ていくのを眺めているふりをした。
やがてスネイプはハリーに、
「彼が間違えれば自分がよく見られると思ったな? グリフィンドールはもう一点減点だ」
と、理不尽そのものの言葉を吐いた。
デイヴは何も言わなかったが、スネイプのことが大嫌いになっていた。――それでも、ノートの余白には小さく線が増えていく。
ベゾアール=解毒の切り札/アスフォデル+ニガヨモギ=“生ける屍”/アコナイト(=ウルフズベーン=モンクスフード)
(殴り合いより前に終わる喧嘩もある。飲み物一口、息一つ。知ってるやつが勝つ)
左耳のフープをひと撫でして、彼は決めた。今日の放課後、図書室に行く。名前の異名、注意点、見分け方。そして必ず、あのでかい蝙蝠のような男の鼻を明かしてやろうと決心した。
授業が終わると、デイヴはディーンと並んで階段を上がった。
ディーンはシェーマスと合流してネビルの様子を見に行くと言い、デイヴも来るかと誘ったが、彼は首を横に振った。
保健室の前で別れると、デイヴはまず一服することに決める。胸ポケットの赤い丸が眩しい箱を指先で一撫でし、西の塔へ早足で向かった。
西の塔には案の定誰もおらず、ときおり空を散歩していたフクロウが数羽、羽を休めているくらいだ。内ポケットから、角の潰れた箱を引き抜こうとしたとき、デイヴの肩をかすめて一羽が柵に舞い降りた。
ジャックだ。笑っているみたいに目を細め、「ホッホッホ」と鳴く。ここへ来るたびに、わざと近くをかすめては“いたずら成功”の顔をするのが常だった。
「こいつめ」
デイヴが頭頂をカリカリ掻いてやると、ジャックは気持ちよさそうに羽をふるわせ、満足したのか彼の指を軽く甘噛みする。それから近くのフクロウをひと鳴きで追い払い、場所を空けた。
ジャックだけになるのを待って、デイヴはようやく一本取り出し、指で〇を作るようにして火をつけた。
乾いた風は心地いいが、西日が背中に刺さってじんわり汗がにじむ。煙がのぼり、甘い匂いが喉をやさしく撫でる。
左耳のフープにそっと触れる。――落ち着け。
一口吸って煙を吐くと、風が止んでいたせいで、前で毛づくろいしていたジャックの顔にまともにかかった。
フクロウは迷惑そうに金色の目を細め、羽をパタパタさせて煙を散らす。
「わりぃわりぃ」
デイヴが笑いながら謝ると、ジャックは「そんなの知らん」とでも言うように体を横に向け、再び毛づくろいを始めた。
やがてタバコを吸い終えると、デイヴは火をしつこいくらいに踏みつぶし、床板の隙間へ押し込んだ。火事を避けるための癖だったが、そもそも吸わなければいい話だ、と自分で思って少しだけ鼻で笑った。
その時、ジャックが大きな羽根を嘴にくわえてデイヴの頭へ舞い降りる。器用に羽根を差し込み、彼の髪に飾りを挿すようにしてから、満足げに低く鳴いた。続けざまに頭をツンツンとつつき、いたずらを終えると、ふわりと飛び立っていった。
デイヴは手で髪を押さえながら空を見上げ、口の端をわずかに上げた。
しばらく匂いを散らすために柵にもたれ、遠くの森をぼんやり眺める。風はなく、西日の熱だけが背中にまとわりつく。
やがて本格的に暑くなってきて、デイヴは肩をすくめた。
(さて、どこ行くか……)
ディーンとシェーマスの居場所はわからないし、談話室に戻ったところで退屈なだけだ。
そのとき、ふと頭に浮かんだ。
――そういえば、まだ図書館に行ってなかった。
ダイアゴン横丁でマクゴナガルに「ホグワーツには面白い本が山ほどある」と聞いたことを思い出す。彼女の真面目そうな顔が、やけに遠い昔のことのように思えた。
(ま、冷房代わりってわけじゃねぇけど……涼みに行くか)
デイヴは左耳のフープを指でひと撫でして、気持ちを切り替えると、塔の階段を降りはじめた。行き先はなんとなく決まった。
デイヴは西の塔を降り、ポケットから取り出したウォークマンを親指でいじった。イヤホンのコードをねじりながら再生ボタンを押すと、ギターのリフがかすかに鳴る。だがテープはすぐに途切れがちになり、巻き戻しかけたみたいに音が揺れる。
「……チッ」
早足で階段を下りながら、何度か本体を叩いてみる。だが症状は変わらず、やがて音がぷつりと消えた。
(ふざけんなよ、まだ電池替えたばっかだろ)
デイヴは苛立ちまぎれに停止ボタンを押し、イヤホンごとウォークマンをポケットに突っ込んだ。舌打ちしながらも、今さら戻る気にはなれない。
(ま、静かな方がマシか。どーせ暇つぶしだしな)
やがて辿り着いた図書館は、外の熱気が嘘のようにひんやりしていた。高い窓から差す光に、無数の本棚が影を落としている。中に足を踏み入れた瞬間、紙とインクの匂いがふわりと漂い、デイヴは思わず鼻をひくつかせた。
ホグワーツの図書館は、信じられないほど静かな場所だった。
ざわめきの代わりに、めくる紙の音と羽ペンのかすれる気配だけが漂う。目につくローブの色はレイブンクローの青がいちばん多く、次いでハッフルパフの黄。緑のラインは時おり見かける程度で、グリフィンドールの赤はさらに少ない。
デイヴは気の向くままに棚の間をぶらつく。
プライマリー時代、学校の図書室に足を運んだ記憶はほぼない。そもそも、あの学校に図書室があったのかも怪しい。授業中は眠り、放課後はゲイリーやライアンとだべるか、向かいのレイナード家の姉弟と外で遊ぶかの二択。体が大きくなるにつれて喧嘩が混ざり、十歳のころは特に荒れていた。本は、兄貴分であるノア・レイナードに勧められたものをたまに拾い読みしたくらいだ。
小さい頃には色々読んでいたなぁ、と思いつつ、やがて学術書や参考書の並びを抜け、純粋な読み物の棚に出る。
手近な背表紙を抜いてみる。最初は調子に乗って、古文書めいた分厚い一冊を選んだが、文字が細か過ぎて即撤退。背表紙に目線を滑らせつつ、小さく鼻歌をこぼしていると、ふと目を引く一角があった。棚の上段が、同じ作者の本でぎっしり埋まっているのだ。
『ヴァンパイアとバッチリ船旅』『トロールのとろい旅』――表題はやかましいが、妙にそそる。貸出欄をのぞけば、びっしりと名前が並んでいる。人気作らしい。借り手に女子の名が多いのが少し気になったが、すぐにどうでもよくなった。
デイヴは人の少ない席の、いちばん端にどさりと腰を下ろす。足を組み、ページを開く。
――案外、面白い。
活字の行間が、さっきまでの熱気をすっと冷ましていく。前で誰かが咳払いをひとつ。デイヴは無意識に左耳のフープへ触れ、視線を文字の海へ沈めた。
デイヴは左耳の裏を親指の腹ではじきながら、本を読んでいる。時々自分語りが長ったらしく挿し込まれたり、芝居がかったところはあれど、かなり面白い内容だった。やがて章がひと段落して集中が解かれたときに、斜め前の席で椅子が引かれる音に顔を上げた。栗色の髪が揺れて、そこに座っていた少女が立ち上がる。その拍子にばっちりと視線が合った。
彼は一瞬だけ相手を観察する。整った顔立ち、少し緊張したように結ばれた唇、真面目そうな仕草。次に表情を確かめるように目を細め――曖昧に口角を上げて、片手だけひょいと挙げてみせた。
だが少女――グレンジャーはツンと顎を上げ、まるで気づかなかったかのようにそのまま通り過ぎていく。デイヴは苦笑して肩をすくめ、再び本棚に視線を戻した。
しばらくして、彼女が戻ってくる。両腕で抱えているのは分厚い本。机に置くとき、思わず強めに叩きつけるようになり、机の端に置いてあったインク瓶が危うく倒れかけた。
「おっと」
デイヴは反射的に手を伸ばし、瓶を支える。インクがこぼれる前に事なきを得ると、彼はそのまま瓶を彼女のほうに押しやった。
「……ありがとう」
グレンジャーは顔を上げず、小さく、しかしはっきりした声でそう言った。
デイヴはニヤリと笑って、「気にすんな」とだけ返し、再び視線を伏せた。
ページをぱらぱらとめくりながら、ちらりと斜め前の少女に視線を送った。声をかけようか――いや、黙ってたほうがいいか。そんなことを迷っていると、彼女がふと目を上げてきた。
「……やっぱり、つけてるのね」
グレンジャーの目は彼の左耳に向いていた。
デイヴは一瞬きょとんとした後、にやりと口角を上げる。そういえば、組み分け後の夕食のときにも誰かさんに言われたばかりだ。
「似合ってない?」
いたずらっぽく首を傾げ、わざとピアスを指で弾いて見せる。
グレンジャーは眉をひそめ、言葉を選ぶように間を置いてから、少しだけ首を横に振った。
「似合ってる似合ってないの問題じゃないの。校則違反だし、真面目に見えないわ」
デイヴは声を出さずに肩を揺らし、笑った。
「真面目そうに見えるのも、悪くないけどな」
グレンジャーはすぐに視線を落とし、分厚い本を読み始める。だが耳までほんのり赤くなっているのを、デイヴはしっかり見逃さなかった。
夕方の光が高い窓から斜めに差し込み、埃の粒が金色に漂っていた。グレンジャーが席を立つと、デイヴもつられて腰を上げる。
「ちょっと待っててよ」
彼は胸に抱えた本を受付に持っていき、一年生向けの貸し出し説明を受けるはめになった。マダム・ピンスが、針で布を留めるみたいに細く鋭い声で規則を読み上げる。装丁の扱い、頁の折り目、インクの乾かし方まで。
やっと判こをもらって戻ってくると、グレンジャーは扉の近くで立ったまま待っていた。足先だけが落ち着きなく床をつついている。
「おっかねーのな、あの人。『本を傷つけたら、どうなるかわかっていますね?』って言われたよ」
デイヴが冗談めかして肩をすくめると、グレンジャーは彼を見ずにツンとした声で言った。
「当たり前よ! 学校の備品は大事ですもの」
彼は歩調を合わせながら、横目でその横顔をうかがう。口数少なめ、視線は真正面。無愛想、ってやつか――ふと胸の奥がちくりとして、彼は軽く咳払いした。
「俺、なんか嫌なことした?」
グレンジャーは半歩だけ遅れて、わずかにうろたえた気配を見せる。すぐ、背筋を正した。
「そんなことないわ。あのね、私、こういう喋り方なの」
「ならよかった」
彼は即答して、肩の力を抜く。廊下の薄明かりの中で立ち止まり、片手で本の背をとんとんと叩いてから、口角を上げた。
「一応、知ってると思うけど――自己紹介。デイヴィッド。デイヴィッド・ジョンソン。よろしくな、グレンジャー」
グレンジャーはほんの少しだけ顎を引き、彼の目を見る。
「……ハーマイオニー。ハーマイオニー・グレンジャーよ。よろしく」
二人の足音が、静かな廊下に並んで伸びる。扉を押せば、図書館の冷たい空気が背中を離れ、石造りの城の夕暮れの匂いが近づいてくる。別れ際、どちらからともなく短く会釈して、違う方向へ歩き出した。ほんの一瞬、同時に振り返ったことには、お互い気づかないふりをしたまま。
デイヴが吸っているタバコはラッキーストライクの14㎜です。私は電子はラキストで、紙はマルメンの12を吸っています。アイコスは最近吸ってないですね~。そも高いし、あんまり美味しくない。なんかゲロみたいなにおいするし。
このデイヴが火をつけるときに手で丸の形にする癖の元ネタは、ケイゾクの真山徹が火をつけるところが印象的だったので、そこから引っ張ってきました。
なんかデイヴの不良っぽさや、彼の性格などを皆さんに分かるように書くのが、どうしてもデイヴ視点の三人称だと書けないっすねー
曲の解説いるけ?
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いる
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いらん
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ニョニョニョwwwwwwwww