そっちは書き直すと思います。
宇宙より広い心を持って許してください。
ミネルバ・マクゴナガルは、本来とても忙しい人物である。
ホグワーツの副校長としての職務、変身術の教授として1年生から7年生までのカリキュラムの作成。そして、5年生と7年生が受ける
だが、今回はその全てを脇に置いて、ある“特別任務”にあたっていた。
理由は単純。
今年の一年生の中に、「ホグワーツからの手紙を読まない」あるいは「読ませてもらえない」子どもがいる、という報告があったからだ。前者については、多少工夫すればなんとかなる。問題は後者である。
そのような家庭環境にある子どもには、ハグリッドを派遣する予定となっている。
(……心配ではありますが、校長が決めたことですもの)
マクゴナガルはそう自分に言い聞かせながら、マンチェスターへと向かっていた。
数十年前に一度だけ訪れたこの街は、今は灰色だった。再開発の進む地域もあるにはあるが、今日彼女が向かうのは、明らかに“それ”の蚊帳の外といった一角。決して悪臭のするスラムではないが、魔法界の者が無警戒に歩ける場所でもなかった。
(できれば、ポッターを預けた時のようなマグルではないことを祈りますが……)
到着してすぐ、彼女はネコに変身し、目立たないよう家の様子を伺った。
すると、しばらくして一人の少年が家から出てきた。
黒髪はウェーブがかっており、年齢の割に背も高い。だらしないTシャツに擦り切れたスニーカー、そしてポストを開けたとたんに響く——舌打ち。
(あらまあ……)
彼は新聞を手に取り、数通の手紙を丸めて家の中に戻っていった。手紙の封筒には、見覚えのある印章が……やはりホグワーツからのものである。
(ふぅ……)
舌打ちはさておき、ホグワーツの手紙をあんな風に扱う子どもを、彼女はこれまでに見たことがなかった。
だが、彼の様子をよく観察すると、不機嫌そうでありながらも、どこか軽口めいた雰囲気が漂っていた。
「また来たよ、ホグワーツ。お次は爆弾でも届くんじゃねぇの?」
ドアを開けて捨てゼリフのように吐き捨てた言葉に、ミネルバは目を細めた。
(思っていたより……柔らかさがある子かもしれません)
威嚇するような怒りも、心を閉ざしたような陰も、彼には見えなかった。皮肉屋ではあるが、明るさがある。
彼の目には、どこか世界を斜めから眺めて笑い飛ばすような光が宿っていた。
しばらくして、彼がふたたび顔を出す。今度は、ある動物を見つけたらしい。
「おお……お前、なんだその毛並み。ペルシャ混じってんのか? それとも不思議な世界から飛び出してきたのか?」
(……何を言っているのかしら)
デイヴィッド・ジョンソンは猫に向かって気さくに声をかけてきた。その笑顔は、少なくともこの一週間、ホグワーツの誰かが見せたかったものだったに違いない。
「入りたきゃ入れよ。こちとら今日は予定もクソもないしな」
ドアが軋んだ音を立てて開き、彼は猫——つまりマクゴナガル——に道を譲った。
彼女は静かに歩を進める。そして、彼の部屋の隅にあるゴミ箱——中には昨日までの手紙が山ほど突っ込まれている。
(こうまでされると、もはや立派な抵抗ですわね)
彼女は変身を解くタイミングを見計らった。
「全部紙だし、あとで燃やして……なんなら地球温暖化にでも貢献してやるか」
「そういうことはおやめなさい、ミスター・デイヴィッド」
「……っ!?!?!?」
彼の体が大きく跳ねた。即座に数歩後ずさり、近くにあったレコードで身を守るポーズをとる。
「おいおいおいおい!なに!?今のネコ!?マジで喋った!?え、俺とうとうヤバいの!?幻覚!?」
「幻覚ではありません。落ち着いてください」
「落ち着けるわけないだろ!!なんなんだ一体!!」
マクゴナガルは咳ばらいを一つして、不思議な音を出しながらネコへと変身し、もう一度人間へと戻った。
デイヴィッドの目がまん丸になる。
「Holy sh…!」
「ミネルバ・マクゴナガルです。ホグワーツ魔法魔術学校の副校長を務めております」
「いや待ってくれ。今いったい何が起こったんだ?ネコが人間になったのか?なんだそれ、どうなってんだ?俺はいつの間にかヤバいクスリでも使っちまったのか?」
「質問が多すぎます。まずは、こちらをお受け取りください」
彼女は懐から封筒を一通取り出す。デイヴィッドの目が、先ほど燃やそうと決めた例の手紙と、ぴたりと一致する。
「それ、もう持ってるし。1000通くらい。嘘、10通くらい」
「今度こそ、読んでいただきたいのです」
「はぁ〜〜〜……まあ、せっかくここまでやられたら、逆に読まない方が失礼か」
彼はやれやれと肩をすくめながら手紙を受け取った。まだ半信半疑ではあるが、興味がないわけでもないようだ。
「おいアンタ、もしこれ詐欺だったら俺、ビートルズの墓の上で踊るからな?」
「それは結構。ですが——あなたの人生は、今日から少し変わるかもしれませんよ」
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デイヴは手紙読み終えたあと、真っ先にフットボールのことが脳裏をよぎった。
「なあ、ここテレビってあんのか?」
「ありません」
「じゃあフットボールはどこで見ればいいんだ?」
「……、見れませんね」
デイヴは激怒した。
デイヴは魔法というものがわからぬ。
だが自分の人生からフットボールを取り上げようとする悪には、人一倍敏感であった。
「だぁれが行くかそんなクソ学校!フットボールは英国人に神が与えたもうた神聖なスポーツだぞ!」
「何をかしこまってバカなことを言ってるのですか!はぁ……、いいですか?ホグワーツでは魔法力が強すぎて、マグルの電化製品は正しく動作しないのです。だからテレビなどは設置されていません」
デイヴはそれを聞いて叫んだ。
「そんなん知らねぇよ!」
デイヴが声を張り上げれば、この家に住む誰かが「何事か」と見に来るのは当然だった。
「うるさい! 早く朝ごはん食べちゃいなさ……って、あら?」
怒鳴りながら部屋に入ってきたデイヴの母親は、ミネルバ・マクゴナガルの姿を目にした瞬間、態度を一変させた。
「あ、お、おほほほ。ご無沙汰しておりますわ、ミス・マクゴナガル。お見苦しいところをお見せしてしまって……」
「お久しぶりですね、ミス・エルサ。たしか……あなたの結婚式以来でしょうか」
それを聞いたデイヴは、母親の見たことのないような猫なで声に驚いたのはもちろん、この胡散臭い魔法使いと母親に過去の面識があったことにも驚かされた。
そして何より——
(ってことは、やっぱ……親父、魔法使いだったってことか?)
母が何も言わずにそれを黙っていたことにも、驚きと少しの苛立ちが込み上げる。
「お騒がせして申し訳ありません、ミス・エルサ。それから、このような形で突然お邪魔してしまったことも、お詫びいたします」
「い、いえいえっ! ええ、びっくりはしましたけど……こうしてまたお会いできて、本当に嬉しいです!」
「それは何よりです」
マクゴナガルは微笑んだが、デイヴの中ではまだ混乱と疑問が渦を巻いていた。
「じゃあ……、とりあえずリビングに移動しましょう?多分、ホグワーツのことで来たんですよね?」
「ええ、もちろんその通りです。ミスター・デイヴィッドは、どうやら手紙を無視し続けていたようでしてね」
「あ、あらそうでいらっしゃいますか…。まさか私も息子が魔法使いだったとは思っておりませんでしたので…」
嘘つけ、とデイヴは心の中でつぶやいた。
マクゴナガルは席に着くと、エルサとデイヴにホグワーツでの生活について多くを語った。
授業や寮のこと、学校ではどのようなことを教えるのか、そして──クィディッチのこと。
さらにクィディッチのこと。
あと、もう一度クィディッチのこと。
とにかく、クィディッチの話になると彼女は妙に熱が入っていた。
「それで、まあそのクディッチ「クィディッチです」あー…、ともかくそれのことはわかったんだけど」
「俺ってホントに魔法使いなん?普通そういう見分け方とかあんじゃん?髪の色が違うーとか、首に星の痣があるとか」
デイヴは未だに自分が魔法使いなのかと疑っていた。
「大抵魔法使いの子どもは、魔法力を適切に使えないことが多いので、よく日常に不可思議なことが起こります」
「例えば、怒った時に窓やお皿が割れる。高いところから落ちた時、ゴム毬のようにはずんだり、などですね」
「母さん、俺って小さい頃そんなことあったっけ」
エルサは少し考えた後、不思議そうな顔をして答えた。
「うーん、確かに小さい頃から瞬きするたびに問題起こしてたけど、おかしなことは無かったな」
エルサの言葉を聞き、今度はマクゴナガルが首をかしげる番だった。
「おかしいですねぇ。魔法族の子は大なり小なりなにか事件を起こすのですが……」
彼女はデイヴがスクイブである可能性を疑ったが、すぐにその線はないだろうと心の中でかぶりを振った。スクイブにホグワーツは入学許可を出さない。となると、やはり彼は魔法使いであるということになる。
そのことを二人に伝えたあと、彼女は立ち上がり、今後の予定を伝えた。
「また来週12時にお邪魔したいと思います。次は学用品などをそろえるために、ダイアゴン横丁に向かいます」
「そんな場所聞いたことねぇな」
「ええ。魔法を使って普通の人々には見えないようにされていますからね。さあ、お二人とも、今日は会うことができて本当に良かったです」
マクゴナガルはデイヴと目を合わせると、優しく微笑みながら語った
「きっと楽しいですよ。あそこは驚きで満ち満ちていますから」
その時だった。デイヴは、ふと気になっていたことを口にした。
「なあ、母さん……。俺の親父って……魔法使いだったのか?」
部屋の空気が、一瞬止まった。
エルサは返事をせず、ほんのわずかだけ視線をそらす。そして静かに、言った。
「……今はその話、しないでちょうだい」
マクゴナガルは、何かを呑み込むように瞼を伏せ、椅子の背に手を添えながら付け加えた。
「その件については、いずれ……本人の口から伝わることでしょう」
バシッ、という音と共に、魔女は消えた。
「消えた!?え!?あれも魔法!?」と驚く母の声を背に、デイヴィッドはただ黙って、彼女がいた場所を見つめていた。期待と疑いが、胸の中で静かにせめぎ合っていた——。
いやー、難しいですね、小説を書くってのは。例えばこれが一時創作なら、適当に書いたってかまいやしないんですけど、二次創作で、ファンも多くて、それに自分も大好きな作品ってなると、どうしても手は抜けないし、消しては書いての繰り返しになって……。
ほんと、毎日投稿とか何年も投稿し続けてる人ってすごいです。今度は一週間以内に書けたらいいなー、なんて思います。
話は変わって、この作品では沢山音楽を出したいなと思っていて、自分もかなり聞くほうなんですけど、やっぱりいろんな人のおすすめを聞いてみたいので、もし気が向いたら、おすすめの音楽教えてください。
追記:友人に父のことについて触れないのは不自然だと言われ、確かになと思いその場面を挿入しました。