オアシスを聞けオアシスを!!
というか小説だとシェーマス黄土色の髪なのに映画だと黒髪なんよな。まあそこらへんの表記ゆれは許してな。もし指摘されたらそいつに根性焼するからよろしく。
扉が勢いよく開き、エメラルド色のローブをまとった老魔女が現れた。鋭い眼差しと固く結ばれた口元――誰が見ても「厳格」という言葉が似合う顔だ。
ディーンとシェーマスは、無意識に背筋を伸ばし、この人には決して逆らうまいと心に決める。
ただ一人、デイヴだけは違った。
つまらなそうに一瞥をくれると、ローブのポケットからウォークマンを取り出し、イヤホンを耳に掛ける。首を軽く右へ傾け、老魔女――マクゴナガルと、その隣で山のように大きな男が話す様子を、まるで他人事のように眺めた。
「こちらが一年生のみんなですだ、マクゴナガル先生」
「ご苦労さま、ハグリッド。ここからは私が受け持ちます」
マクゴナガルの視線が列を走り抜け、デイヴのところで一瞬止まった。
デイヴはそれに気づくと、軽く目礼し、顔を上げざまに悪戯っぽくニヤリと笑う。
「知り合い?」とディーンが小声で聞く。
「まあな」デイヴは短く返すと、ズボンのポケットを無意識に撫でた。
指先に思い浮かぶのはタバコの感触。今すぐにでも火をつけたい衝動に駆られ、舌打ちが喉まで上ったが、どうにか飲み込んだ。
マクゴナガルが扉を押し開き、一行は豪邸すら呑み込みそうな巨大な玄関ホールへと足を踏み入れる。
――緊張していないわけがない。
喫煙者の性(まだ十一歳のガキだというのに)、緊張すればするほど、どうしようもなくタバコが恋しくなるのだ。
一年生はマクゴナガルのあとに続き、ぞろぞろと歩き出した。やがて押し入れみたいに窮屈な部屋へ押し込まれ、彼女の“お話”を拝聴する羽目になる。
不安に駆られた子どもたちが、首だけ小鳥みたいにきょろきょろさせながら、小声で隣と囁き合っている。
「ホグワーツ入学おめでとう」
そのタイミングで、デイヴはイヤープラグを耳にねじ込んだ。こういう場の先生は長い。プライマリーの朝会や学年集会から学んだ”勘”が告げている。
ローブの内ポケットにウォークマンを滑り込ませ、指先で再生ボタンを探る。カチ、と小さな手応え。次の瞬間、テープの回転音に続いて「Supersonic」のイントロが鼓膜の内側に跳ねた。
肩に入っていた力が、少しずつほどけていく。
デイヴは顎をわずかに上げ、前だけを見るふりをしながら、意識を音の中へ沈めた。
隣のシェーマスとディーンは顔を青くし、ひそひそ声でやりとりをしている。視線だけで「お前はどう思う?」と問いかけてきたが、大音量で曲を聴いているデイヴには、言葉の一つも届かない。
ただ、その必死な顔を見てしまったせいで、自分まで緊張していたのが馬鹿らしく思えてくる。
不安なんて、埃を吹き飛ばすみたいに消し飛ばせばいい。
鼻で笑ったあと、デイヴはぽつりと呟いた。
「Ah need t’ be meself, me fuckin’ mate?」
(自分は自分でいなきゃだめなんだよ、マジでな、相棒)
二人には意味はわからなかった。けれど「fucking」と「mate」だけは耳に残り、どうやら励ましてくれたのだろう、と勝手に解釈した。
そのとき、マクゴナガルが演説を締めくくり、一年生を見渡した。
ほんの一瞬、デイヴの耳を視線がかすめたが、すぐに落ち着きなく身を揺らすネビルや、後ろで髪をいじりながら赤面している赤毛の少年へと移っていった。
結果として、デイヴの耳に潜む小さな異物は完全に見落とされた。
二言三言、生徒に言葉を残したマクゴナガルは、ローブを翻して部屋を出ていく。
物置のような部屋に、すぐさま小さなざわめきが満ちた。
息を潜めていた一年生たちが、一斉に息を吐く。ローブが擦れる音、靴先が石床をこする音、誰かの喉が鳴る音。空気がわずかに温んで、緊張の匂いが薄まっていく。
右側から、イヤホンのコードが不意に引かれた。
「組み分けだってよ。何するんだと思う?」とシェーマス。声だけは明るいが、指先は汗でしっとりしている。
デイヴは片眉を上げ、コードを奪い返すみたいに指を絡ませた。
「知るかよ。ケセラセラだ」
ぶっきらぼうに言って、右耳へイヤホンを挿し直す。左手の指先はいつもの癖で、無意識に左耳のピアスを転がしていた。冷たい金属が、鼓動の速さをひと目盛り落とす。
シェーマスは「ケセラ…?」と唇だけを動かし、すぐ隣のディーンへ「今のどういう意味だ?」とでも言いたげに顎をしゃくった。ディーンは肩をすくめる――“まあ、そのまんまの意味だろ”。
耳の内側では、曲がちょうど切れ目を迎える。
微かな巻き戻り音。デイヴは親指でスイッチを弾き、オートリバースをリピートに切り替えた。カチ、と手応え。次の瞬間、テープの回転音に続いて「Supersonic」のリフが再び跳ね上がる。
拍に合わせて、足先で石床を一回だけ、コツンと鳴らす。世界の輪郭が、音に合わせて少しだけ滑らかになる。
そのとき、冷たい風が隙間から吹き抜けた。
薄く透けた何かが、壁を抜けて雪崩れ込んでくる。修道士のような大柄な影、首筋に不穏な切れ目のある男、レースのように縁取りの細かな女――半透明の人々だ。
「うわっ」「ヒィッ」と誰かが小さく悲鳴を上げる。ざわめきが波立つ。
デイヴは胸の内側で心臓が一拍、跳ね上がるのを自覚した。
だが、顔は微動だにしない。顎をわずかに上げ、前だけを見るふりを続ける。イヤホンの奥で鳴るビートの上に、幽霊たちのぼんやりした挨拶が薄紙のように重なる。
――へぇ、これが“ホグワーツ”。
心の中でだけ、乾いた感想を転がす。
やがて、扉の向こうでローブの裾が擦れる気配がして、マクゴナガルが戻ってきた。
「さあ、一列になって。組み分けの準備ができました。ついてきなさい」
短く、それだけ。途端に群れの重心が動き、列が生まれる。
デイヴはウォークマンをローブの内ポケットの奥へ押し込み、コードを襟元に沿わせて隠す。右耳のプラグを人差し指で軽く押さえ、耳に馴染ませると、流れに身を任せて歩き出した。
デイヴはゆっくりと歩き、前を行く金髪でおさげの女の子のかかとを踏まないよう、ときどき足元に視線を落とした。さっき来た回廊を引き返し、二重扉を抜ける。――大広間だ。
そこは、おとぎ話そのものだった。
無数の蝋燭が宙に浮かび、UFOみたいにゆらゆらと漂いながら、四本の長卓と、そこにぎっしり座る上級生たちを照らしている。卓上には金色の皿が大小さまざまに並び、まるで貴族の晩餐。前方の高壇には教師陣が思い思いの奇抜なローブで腰掛けていた。
蝋燭の光がやけにまぶしい。デイヴはローブの内ポケットから、赤いレンズの丸サングラスを取り出して掛けた。
「……なんだそれ」ディーンが思わず突っ込む。
「ステージライト、眩しくてな」デイヴは顎を上げてみせる。
「ここ、ステージじゃないけど」
デイヴは肩をすくめ、赤いレンズ越しに広間を流し見た。
マクゴナガルは一年生を壇上の手前に整列させ、何かを手短に告げる。
首をぐるりと回した拍子に、デイヴの目は天井へ。そこには、夜空。
冷たく澄んだ闇に星が撒かれている。デイヴはしばし見入った。
――魔法だろうがなんだろうが、星が見えるってのはいい。
ぼんやりと赤く滲む星を見つけ、視線を元に戻す。
いつの間にか前には丸椅子が置かれ、その上にとんがり帽子が鎮座していた。年季の入りすぎた布地はつぎはぎだらけで、黴の匂いまで想像できる。今にも捨てられそうな風情――魔法使いってのは本当に物持ちがいい。
内心皮肉を転がしていると、帽子がぴくりと震え、縫い目の一部が口のように裂けた。歌いだす。
デイヴは親指でウォークマンの停止ボタンを押し、耳をあずける。
歌が終わると、広間に一斉の拍手。
「……なんだこいつら」
顔をしかめ、両手をポケットにつっこんだまま前方を眺める。黒ずくめの鉤鼻――絵に描いたような「悪い魔法使い」みたいな男と目が合った。嘲りとも嫌悪ともつかぬ視線がこちらをなぞる。
デイヴは視線を刺し返す。
ナメた態度の相手には、年下でも年寄りでも、まずは睨み、そのあとぶっ飛ばす。それがデイヴ流の“歓迎”だ。
しばらく睨みあっていたが、隣の紫色のターバンをした男がその”悪い魔法使い”に声をかけたことで、相手側から視線が切れた。
デイヴは、あっちの負けだと言わんばかりに鼻を鳴らした。ちょうどそのとき、マクゴナガルが丸めた羊皮紙を手に前へ進み出る。
「これからアルファベット順に名前を呼びます。呼ばれた者は帽子を被って椅子に座り、組み分けを受けること」
「アボット・ハンナ!」
デイヴの目の前の金髪の女の子が、小走りで前へ。大きすぎる帽子に目元をすっぽり隠され、思わず誰かが「可愛い」と小声で漏らす。
「おい、僕ら、けっこう早めのほうじゃないか?」
シェーマスが、さっきの不安とは別種のそわそわをまとって早口で言う。
「そうだな。まあ、最後よりはマシだ」
「なんでさ?」
「“知り合いと別の寮かも”って最後まで悩むより、さっさと“別だったわ”って決まるほうが楽だろ?」
デイヴがそう言って、シェーマスの隣に立つディーンへ視線を投げる。
「それ、僕に言ってる?」
図星らしいディーンの声は、不安と焦りが半々だ。
「どうだかな」
肩をすくめ、からかう調子。デイヴは続けて「俺の番が来たら、合図くれ」とだけ言い、ふたたびイヤホンを差し込む。何度目かの「Supersonic」が耳の奥で跳ね始めた。
ディーンはあきらめ顔で肩を落とし、シェーマスは自分の姓の頭文字が近づくにつれ、見る見る血の気が引いていく。
「ブラウン」「ブルストロード」と続き、とうとう「フィンチ――」のあたりで、シェーマスがデイヴのローブの袖口をわしっと掴んだ。
顔はさっきまで極寒の中にいたと言われても納得するくらい青い色で、デイヴはつい吹き出してしまう。
「なんだよ」
デイヴは、おそらくシェーマスの一つ前であろう少年が帽子を被る様子を横目で見ながら、少し腰を折って耳を貸す。
「どうしよう、僕、多分次だよ」
「知らねぇよ」
「そんなこと言わずさ、アドバイスとか……」
「あるかよ。俺だって初めてだ」
「だよねぇ……」
やがてその少年の組み分けが終わり、黄色の卓――ハッフルパフへ歩いていく。
「フィネガン・シェーマス!」
名を呼ばれた瞬間、シェーマスの肩がびくりと跳ねる。恐る恐る踏み出す背中に、デイヴは景気づけにどん、と一発。シェーマスが前につんのめり、周囲からくすくす笑いが漏れた。
恨めしげな視線が返ってくる。デイヴが控えめにサムズアップすると、シェーマスは口だけで「覚えてろ」と返し、さっきよりいくぶん軽い足取りで列をくぐっていった。
丸々一分は座っていただろうか。帽子の縫い目がぱくりと開き、宣告が下る――グリフィンドール。
シェーマスは満面の笑みで赤いテーブルへ駆け、こちらに両手でサムズアップ。ディーンは強張った笑顔で応じ、デイヴは気怠げに手をひらひらさせた。
「やったな、あいつグリフィンドールじゃん」
「行きたいって言ってたしね」
「な。俺らもグリフィンドールだといい」
「本当に、そう思うよ」
話している間に、「グレンジャー・ハーマイオニー!」とマクゴナガルが名前を呼び、後ろからふわふわした栗毛の子がデイヴの隣を駆け抜けていった。
「特急で会ったときの子だ」
ディーンが気づいて、デイヴにそう言った。デイヴはピアスをいじりながら、「そうだな」とだけ伝えた。
待ちきれないと言わんばかりに帽子をぐいと被り、しばらく悩まれた後、彼女もグリフィンドールへと組み分けされた。
その後二人ほどが組み分けされた後、とうとう名前が呼ばれた。
「ジョンソン・デイヴィッド!」
呼ばれた名を背に受け、デイヴは顎を上げた。赤いレンズの奥で目尻だけが笑う。
右肩でディーンを軽く小突き、「Sorry, mate(通るぜ)」とだけ置いていくと、両手をポケットに突っ込んだまま、ゆったりと大股で列を抜けた。
石床に靴音が低く、一定の間隔で落ちていく。
宙に浮かぶ蝋燭の光が赤いレンズに反射して、瞳のあたりが炭火みたいにちらついた。道を開ける一年生たちの間から、小さな囁きが漏れる――「サングラス?」「誰だあれ」「生意気…」。
デイヴは聞こえないふりを貫いた。口元の笑みは消さない。歩幅も変えない。肩だけが音に合わせてわずかに揺れている。
壇上の手前、教師席の影。黒ずくめの鉤鼻がまたこちらを刺す。
デイヴは視線を一拍もらってから、無言で返す――目線の強さだけで、十分。
マクゴナガルの眉が、ほんの少しだけ上がった。だが彼女は咳払い一つで感情を飲み込み、進路を指し示す。デイヴは頷きもしない。顎の角度を保ったまま、道の真ん中を進む。
丸椅子が目の前に現れる。
つぎはぎのとんがり帽子が鎮座し、縫い目の口が微かに痙攣した。近づけば、古い布の匂いがする。
デイヴは足を止め、上体だけをほんのわずか前へ倒して帽子を見下ろした。挑発でも礼でもない、中間の角度。
そこで初めて、手をポケットから抜く。
右手で赤いサングラスを鼻梁の位置へ軽く押し上げ、左手でローブの裾を払う。
顎は上げたまま、椅子の前に半歩寄る。口元の笑みがもう一段だけ深くなる――“さあ、やろうぜ”。
デイヴは静かに踵を返し、椅子に腰を落とした。帽子が降りてくる直前、赤いレンズの奥の視線だけが、まだ笑っていた。
「ほぉぉ、なるほど」
帽子を被った途端、頭とも耳ともつかないようなところで声がした。
「ジョンソン、と言ったかね?」
「ああ、そうだけど」
「なるほどなるほど。実に興味深い……」
デイヴは長い脚を組んで、「あっちの陰気な緑の方はやめてくれよ」とだけ言った。
「ほう、スリザリンは嫌、と」
「俺ぁ気が短けぇからな。あんなナヨナヨしたクズどもと一緒にいたら全員殴り殺しちまう」
帽子はそれを聞いて、「はっはっは!」と愉快そうに笑うと、少し身をよじって黙ってしまった。
(頭は悪くない……が、勉強に興味はほとんどない。忍耐は乏しいが、忠義はある。狡猾さとは無縁。喧嘩になれば真っすぐ行ってぶっ飛ばす類いじゃな。――なんと、この年で喫煙とな? スリザリンなどに入れた日には、一夜ごとに大事が起きよう。それなら……)
「グリフィンドール!!」
デイヴから一番右端の、赤い色が多い長テーブルから拍手が巻き起こった。
彼は帽子を頭から外すと、芝居がかった仕草でその卓に向けて、右手をくるりと回しながら貴族のようにお辞儀をした*1。
そうして振り返り、サングラスを鼻元まで下げてマクゴナガルにウィンクすると、(マクゴナガルは大層疲れたようにため息をついた)再び両手をポケットに突っ込んで歩き始めた。
途中で本当に貴族のような恰好をした男のゴーストとすれ違い、彼が先ほどデイヴがやった物より洗練されたお辞儀をしたため、デイヴはふざけてぎこちなくカーテシーを返した。
ゴーストは楽しそうに笑いながらデイヴの腕を叩いた。瞬間、氷水に腕を突っ込んだような冷たさに襲われたが、それすらも楽しみながら、デイヴはシェーマスの隣の席にどっかりと座った。
「よう、やったな!一緒の寮だぜ、デイヴ!」
シェーマスは満面の笑みで迎える。
「おう、これからよろしく。ディーンとお前は特別に俺のことをスナップスって呼ぶ権利をやるよ」
ふんぞり返って威張ってみせたものの、急に照れくさくなったのか脚を組み直し、「今の忘れてくれ。デイヴでいい」と耳を赤くして言い直す。
シェーマスが「よくわかんないけど、よろしくな!」と、さっきのお返しみたいにデイヴの背中をバシバシ叩いていると、赤毛で同じ顔の上級生がひょいと身を乗り出してきた。
「おう、ピカピカ新入生、ジョンソンで会ってるか?」
「そのサングラス、どこで買ったのか教えてくれよ!」
その双子であろう上級生は、目を悪戯っぽくキラキラさせながら、デイヴにそう聞いてきた。
デイヴは二人を見上げると、これまた彼も悪戯っぽく笑いながら、不敵に二人へ言い放った。
「人にもの聞くときゃ、自分から名乗るのが筋ってもんだぜ。ツインズ先輩?」
双子は顔を見合わせると、まるで同志を見つけたと言わんばかりに笑みを深くしながら自己紹介をし始めた。
「「こいつは失敬」」
「僕はフレッド」
「僕はジョージ」
「僕らは学校を”ちょっとだけ”楽しくするのが趣味でね」
「もう一人紹介したいやついるから、また後で声かける」
デイヴはフレッドとジョージと名乗った双子の顔を見比べ、首を気取ったように少しだけ下げた。
「よろしく、フレッドにジョージ。顔は覚えたぜ」
双子は満足そうに頷くと、元居た席に戻ってしまった。そして彼らの隣にいるドレッドの同級生らしき少年に、話をし始めた。
シェーマスはポカンとした顔でその様子をしばらく見ていたが、二人が去ってから興奮したように話し始めた。
「なんだよ今の!すげーかっこよかった!」
「だろ?イケメンは動作一つ一つにかっこよさがにじみ出るんだ」
デイヴはまた自分の言ったことを恥ずかしがって耳を赤くしつつ、逃げるように組み分けの方を見た。
「ほら、最後の一人がまだ残ってるだろ?応援してやれよ」
「君はしないのかよ」
「バカだな。これは信頼ってやつだよ」
それから二人は静かになり、「トーマス」と呼ばれるまでを待った。
シェーマスは大げさに両手を胸の前で組んで、固唾をのんで見守る一方で、デイヴは足も腕も組んで、少しだけ頭を右に傾けながら、呑気に組み分けを眺めていた。
途中、「ポッター・ハリー」と呼ばれたとき、どの寮にいる生徒もざわめき立った。
後ろのシェーマスですら「ポッターって、あの?」と言っていたが、デイヴは特に興味もなかった。確か杖買うときに、オリなんとかが同じような名前を言っていたような気がする……。どまりだった。
そうして、背の小さい、眼鏡をかけた男の子が帽子を被り、グリフィンドールと帽子が叫んで、デイヴのいるテーブルが沸き立ったときも、デイヴは特に動かなかった。
だが、なんとなくチラチラとこちらを見られているような気が、しているようなしていないような……。そんな気がした。
そうしていくつかの名前が呼ばれ、とうとう「トーマス・ディーン!」と呼ばれると、デイヴの後ろでゴクリと喉を鳴らす音が聞こえて、思わずデイヴは笑ってしまった。
ディーンは帽子を被った数秒後にはグリフィンドールに選ばれ、ちょっと疲れた笑顔でデイヴたちの方へ駆け寄ってきた。
「やっと真打登場か?」
デイヴはディーンに「ハイタッチだ」と言って手を上げ、ディーンは思い切り彼の手を叩いた。
大げさに痛がりながら、座っていた椅子からずれてやり、シェーマスと自分のちょうど真ん中の席に彼を座らせてやった。
「本当にさ、君は性格が悪いな」
ディーンは座って早々、デイヴに向けてそう言った。
「何が?」
「ずっとグリフィンドールじゃなかったらどうしよう?って思わされたよ。マジで」
さっき言ったあれか、とデイヴは思い出し、特に悪びれる様子もなく言った。
「でも今はこうしてここにいるだろ?じゃあいいじゃん」
シェーマスが身を乗り出し、ディーンにも同じように満面の笑みでデイヴの援護射撃をした。
「そうそう!こうやって三人で一緒の寮になれたんだからさ!な!?」
ディーンはデイヴの腕に一発パンチを入れると、「今度からはお前が最後に選ばれてくれ」と冗談を言った。
「もし来年俺らにまた組み分けがあって、ケツから呼ばれるとしても、最後はシェーマスだぞ」とデイヴは真面目そうな顔をして言ったあと、「とにかくよろしくな!」とはにかんでディーンに言った。
最後の一人の組み分けが終わり、本当にガンダルフみたいな髭をしたじいさん(すぐに校長と分かった)が意味の分からない二言三言を言った後、デイヴの前にあった金の皿に、大量の美味しそうな料理が急に現れた。
デイヴは自分が空腹だということをそこで初めて知ったが、それよりも思うことがあった。
(どっかでタバコ吸いてぇな……)
相変わらずゴーイングマイウェイなデイヴであった。
曲の解説いるけ?
-
いる
-
いらん
-
ニョニョニョwwwwwwwww