魔王になった俺が、勇者を倒す方法を必死に考えた 作:あかはね
「まさか、魔王の息子に生まれるなんてね」
私の名前はハーン。魔王パーンの息子だ。
前世の記憶のような物も朧気ながら残っており、前世の世界では私が今住んでいる世界は、ファンタジーの物語として楽しまれていた物だ。まさかそんな物語の世界に自分が生を受けることになるとは夢にも思っていなかった。
しかも、よりにもよって魔王の息子。魔王とは大半の物語では悪であり、最後には正義を振りかざす者たちに倒される側である。私もいつかそのような者達に狙われたりするのだろうか?
冗談じゃない。私は平和に暮らしたいだけなんだ!
この世界には、人間や動物以外にも魔物と呼ばれる者達も生息している。
この魔物と呼ばれる者達を統率しているのが私の父である魔王、パーンだ。
前世の物語では、魔物が人間を襲い、人間がそれに対抗するという話が殆どであったが、この世界の魔物は人間を襲ったりはせず、穏やかに暮らしていた。
これも父、パーンの統治のおかげである。
父曰く
「人間など襲わなくても生きていける。平和に暮らすのが一番だ」
と、笑いながら話していた。
その考えには私も賛成だ。前世でも争いが好きでは無かった。平和に暮らせるならそれに超したことはない。だが、その後に父が語った話は笑い事には出来なかった。
「それにな、人間というのは個々では我々より力は劣る者が多いが、稀に非常に強大な力を持つ人間が誕生する。人間の間ではその者を勇者と呼ぶらしい」
「勇者!」
まさか、本当にそんな者が居るのか?前世の物語の話の中だけだと思っていたのに!
「ああ。勇者は魔物を倒す度に強くなり、死んでも無限に蘇る蘇生能力を有していると聞く。我も伝え聞いた話ゆえ、目にしたことはないが、この話が事実であるならば恐ろしい力だ」
「無限蘇生。そんな事が可能なのですか!」
「そのようだ。先代の魔王も勇者と戦い幾度となく倒したが、その度に人間の住む城で蘇生し、再び向かってくる間に強くなっていった。終いには先代も勇者に敗れ、その命を落としたそうだ」
「そんなことが・・・」
無限蘇生。これは私が前世でやっていたファンタジーゲームにも似たような者があった。確かにこの世界は前世に出てくるゲームや物語に似ていると思っていたが、ここまで似なくても良いのでは無いか!
「ああ。幸いにも現在、人間の中に勇者は確認されていないが、勇者がいつ現れるとも限らない。そう言う意味でも下手に人間を襲って刺激しない方が良い」
「先代を倒したという勇者は?」
「今から100年以上前の話だからな。勇者と言えど寿命には勝てなかったようだ。人間の寿命は我々より遙かに短いからな」
「そうですか。それは何よりですね」
「そうだな。我らが人間を襲わなければ、人間もわざわざ魔物と戦ったりはしないだろう。平和が一番だな。ハハハ」
そんな話を父としたのが数年前。その間何事も起きず、穏やかな時を過ごしていた。
だが、そんな平和な日々も終わりを告げる出来事が発生した。
人間の中に勇者が現れたのだ。