Fate/American Dream   作:おみかんみ

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セイバー-2

「マスター、だって……?」

 

 

 少女が答える前になくなった壁のほう、即ち外から庭に置いてあったスコップを用いた強烈な投擲が放たれる。

 

 俺がそれに対し反応する前に、少女は手に持った剣を振るい飛んできたスコップを正面から砕き破壊する。

 

 一瞬。

 ほんの一瞬の出来事で理解が追いついていないものの、理解できることが一つあった。

 

 それは目の前の少女が、ランサーと名乗った男と同じような存在であるということ。

 

 少なくとも、常軌を逸した存在である、ということだ。

 

 目の前で起きた光景に呆然としていると、

 

 

「……話はあとです。一先ず私のことは『剣士(セイバー)』とお呼びください」

 

 

 そういうと背負っていた盾を手に取ると、空いた壁を飛び出して下にいるランサーの元へと降り立つ。

 

 俺は急ぎ震える足を叩き立ち上がると、下の庭で対峙する二人の姿を見る。

 

 明らかに現代に合わない異様な二人。

 お互い向き合いながら距離を測るように、視線を動かさず身動き一つ取らない。

 

 そんな中、最初に口を開いたのはランサーだった。

 

 

「よぉ、お嬢ちゃん。急に現れて自己紹介もなしか?」

「殺しに来た相手に挨拶の是非を問われたくはないのですが」

「おうおう、冷めてんなぁ」

 

 

 ランサーが言葉を言い終えると同時に、俺の時を明らかに上回る速度で刺突を繰り出す。

 

 事前動作なし。

 明らかに人が反応できる速度ではない。

 しかしセイバーは違った。

 

 セイバーは盾を振るうことで槍を流し弾き、右手に握った剣で即座に袈裟斬りを放つ。

 

 だがそこでランサーは槍を横薙ぎに切り替えたことで、袈裟斬りが届くよりも先に槍の切っ先が首に触れようとした。

 

 が、異常な反応速度で剣の振るう方向を変えると、剣と槍が衝突したことで火花を散らし、二人は弾かれ距離を取る。

 

 二人はそこで止まるわけもなく、着地と同時に飛び出すとまたもや剣と槍が衝突した。

 

 切って、突いて、弾いて、殴って──もはや俺の目で追えるような状況ではない。

 

 

「わけがわからねぇ……」

 

 

 少なくとも、セイバーと名乗った彼女は俺の味方なのだろう。

 命を救ってくれたし、なんなら現在進行系で救われている。

 

 味方であると言うならば俺も何かしらしたいのだが、とてもじゃないがあそこに割って入る勇気はない。

 

 今はただ、見守るしかない。

 

 

「ッ……──!」

 

 

 どちらが弾いたのか。

 盾と槍が正面衝突を引き起こし、二人の姿勢が大きく崩れる。

 

 そこで更に追撃を入れるかと思っていたが、二人は後ろに飛ぶと大きく距離を取る。

 

 セイバーはまるで一息つくように深く息を吐くが、ランサーは呼吸を一つ荒げることなく槍を担いだ。

 

 

「なかなかやるじゃねぇか、お嬢ちゃん」

「貴方も相当高名な英霊なのでは?」

「さて、どうだろうな? しかしまぁ──よくついてこれるもんだな。褒めてやるぜ」

 

 

 突然、ランサーは槍を捨てる。

 槍兵を名乗っておきながら、槍を捨てとは一体どういうことかと思ったが、その理由はすぐに判明する。

 

 

「──だから。ここからは真剣(マジ)にやらせてもらうぜ」

 

 

 ランサーの目つきが鋭くなったと思ったその瞬間、奴の右手が揺らいだ。

 

 正しくは()()()()()()()と言うべきか。

 

 それとほぼ同時に、全身を襲う膨大な熱量。

 二階から一階、それなりに距離があるはずなのに、全身を燃えるような感覚が襲う。

 

 あまりの熱量に目を閉じてしまったが、ゆっくり開いたときそれは見えた。

 

 奴に右手に握られた先端の燃え盛る槍を。

 

 

「燃える、槍、だと……?」

 

 

 言葉を漏らす俺に答えるように、ランサーは笑っていった。

 

 

「これでも抑えてる方でなぁ。悪ぃが、全部燃やし尽くしても、文句言うなよ?」

「──宝具ですか。なるほど、それを使うようならば、私も正面から受け止めましょう」

 

 

 セイバーは腰にぶら下げていた鞘に剣を収めると、盾だけを手に構える。

 

 

「なんだお嬢ちゃん。防御宝具持ちか?」

「どうでしょう。打ち返してしまうかもしれませんよ?」

「そうかい。それなら──しっかり受け止めろよ?」

 

 

 ランサーは後ろに飛んで槍を回し逆手に持つ。

 槍の炎は一段と燃え上がり、熱量は上がっていく。

 

 それこそ周囲の物を溶かしていくほどに。

 

 

「セイバーッ!!」

 

 

 気づけば俺は声を荒げていた。

 逃げるべきだ、いや逃げなくては、死んでしまう。

 

 だがセイバーは俺に向かって微笑みかける。

 そうしてランサーを見据えると同時に、セイバーの体が淡い光に包まれていく。

 

 それはランサーの槍から感じる恐怖感とは真逆の、安心感を感じさせるものだった。

 

 

「行くぞ……セイバァァァアアアッッ!!!」

 

 

 力強く踏み込むと共に槍の熱量は更に上がる。

 

 紛れもなく、致死の一撃。

 

 

「燃え盛れッ!! 灼端にて(アラ)──」

 

 

 そして槍を穿ち放つ──そのタイミングで突然、奴の動きが止まる。

 俺もセイバーも困惑していると、ランサーは急に声を荒げ言った。

 

 

「なっ──そりゃねぇだろ、マスター!! 目撃者は消せって話で……なにぃ!? その必要がなくなっただぁ!? それはコイツがマスターになったからだろ!? ンだったら、今ここで潰しゃあ……わーったわーった! 叫ぶなっ!!」

 

 

 一人で何を……と見ていると、ランサーは槍を下げる。

 

 

「悪ぃな、セイバー。勝負はここで終いだ」

「……」

「そう睨むなよ。これもマスターの命令なんでね」

 

 

 そう言うと燃えている槍を手放し、さっき落とした槍を蹴って拾い上げる。

 ノーモーションで高く飛び上がると、屋根へと登って俺たちを軽く一瞥すると、そのまま飛んで消えてしまった。

 

 俺が呆然としていると、下からセイバーが声をかけてくる。

 

 

「マスター、大丈夫ですか?」

「……あ、ああ。大丈夫だ。そっちは……大丈夫なのか?」

「何とか大丈夫です。死ぬかと思いましたけどね」

 

 

 セイバーは苦笑いしながら盾をしまい、ランサーと同じように飛び上がると俺のいる部屋に入る。

 

 常軌を逸した身体能力。

 やはり人間とはかけ離れた存在であることがわかる。

 

 どう反応したものか、と悩んでいるとセイバーは顔を覗いてきた。

 

 端正で整った顔立ち。

 その迷いの見えない目に一瞬見惚れるも、何か言わねばと声を出す。

 

 

「え、っと。セイバー、さんで、いいのか?」

「呼び捨てで大丈夫ですよ。私はあなたのサーヴァントですので」

「さ、サーヴァント?」

「はい。その令呪がマスターの証ですから」

 

 

 セイバーが指を差した先にあったのは、俺の右手に刻まれた赤い刻印。

 これが俺と彼女を結びつけると感覚で理解していたが、それは間違いではないようだ。

 

 それよりもサーヴァントってことだが。

 サーヴァント──何処かでその言葉をなんとなしに聞いたことがあるが、その詳しいことまで覚えていない。

 

 確かあれは──

 

 

「そうだ、姉貴だ。向こうで勉強してることで、って言ってたな……聞いてみるか。だがその前に──」

 

 

 と俺は立ち上がって周りを見渡す。

 周りの光景は酷いもので、今にも崩れ落ちそうだった。

 

 こうなってしまっては、ここにいると危ないだろう。

 

 

「取り敢えず……部屋、移動しようぜ、セイバー」

 

 

 色々話したいことや、連絡したいことはあるが、一先ずこの崩れそうな部屋から避難すべく、別の部屋へと移動することにしたのだった。




マテリアル1
セイバー(初版)
【真名】■■■■■・■・■■■■
【性別】女性
【身長・体重】157cm・46kg
【属性】秩序・善
【ステータス】
筋力∶C
耐久∶B
敏捷∶C
魔力∶B
幸運∶A
宝具∶EX
【保有スキル】
『対魔力∶B++』
『騎乗∶C』
『■■の旅路∶B』
『■■のカリスマ∶B』
『城壁攻略∶A』
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