悪魔の孫は時の王者となって世界最強 NEXT TIME   作:MTHR

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 お久しぶりです。
 仕事で忙しい日々が続いており、中々執筆に割ける時間がありませんでした。

 これからも亀更新と思われますが、どうかよろしくお願いします。


EP15「アノマリーは止まらない」

 目を覚まして支度を整えたユエ達をつれて、入間は練兵場とは名ばかりの広い物置場に足を運び、ワルドと数十歩離れて向かい合っていた。

 

「昔…と言っても君には分からんだろうが、かのフィリップ三世の治下では、ここで良く貴族が決闘したものさ。古き良き時代、王がまだ力を持ち、貴族たちがそれに従った時代…貴族が貴族らしかった時代。名誉と、誇りをかけて僕たち貴族は魔法を唱えあった。でも、実際は下らないことで杖を抜きあったものさ。そう、例えば女を取り合ったりね」

 

 それを聞いて、入間は深々とため息を吐いた。ワルドが決闘を挑んだ理由がハッキリと分かったからだ。

 その時、ユエ達のものではない気配が近付いてきて目を向けると、案の定そこにはルイズがやってきていた。

 

「そして立ち合いには、それなりの作法というものがある。介添え人がいなくてはね」

「何をするかと思えば……気を引きたいなら自分一人でやってくれますか?態々僕を巻き込まないでよ……」

 

 そこで、場の雰囲気を察したルイズが声を張り上げた。

 

「ちょっと、ワルドもイルマも何やってんのよ!」

 

 入間は敵対した相手には容赦しない。かつて、ギーシュとの決闘で行ったそれがいい証拠だ。だというのに、彼の力を試そうだなんてとんでもないことだ。最悪、ワルドが死ぬ可能性だってある。

 

「彼の実力を、ちょっと試したくなってね」

「ダメよ!!今は任務の最中なのよ!そんなバカなことやっている時じゃないでしょう!?」

「そうだね。でも貴族というヤツは厄介でね、強いか弱いか、それが気になるとどうにもならなくなるのさ」

 

 それを聞いたルイズは、今度は入間の方を見て言った。

 

「イルマも、こんな馬鹿げたことは止めなさい!!これは命令よ!!」

「だったら先に彼を止めてよ。僕だってこんな事に時間取りたくないっていうのに……」

 

 そう言いながらため息を吐く。

 この世界の魔法に興味がないかと言えば嘘になるが、少なくともワルドの実力は自分とかなりの開きがあることはわかる入間は、ワルドと戦うことに何の意味も見いだせない上に、他人の色恋の出汁に使われるのは不愉快きわまりない。

 すると、宿からキュルケ、タバサ、ギーシュの三人までもがやってきた。

 

「聞いたわよ、立ち合いをするんですって?面白そうだし、応援してあげる」

 

 キュルケがそう言うと、彼女はタバサとギーシュとともに適当な木箱に腰をかける。

 

「ちょっとキュルケ!こんな立ち合い無意味よ!あんたたちも止めて!」

「大丈夫だよ、ちょっとした腕試しさ」

 

 完全にお遊び気分の三人を叱責するように叫ぶルイズをワルドが優しくたしなめる。

 

「もう!本当バカなんだから!どうなっても知らないからね!」

 

 遂にルイズも中止と言う選択肢を放棄し、抵当に並べられていた木箱にズンッと腰を下ろす。

 

「これ以上、観客が来ないうちに、始めるとしようか」

「……まぁ、もう仕方がないか……」

 

 手にしたレイピアのような形をした杖でフェンシングのような構えを取るワルド。その姿勢に無駄な力が殆んど入っていない事に気付いた入間は、確かにギーシュ達とはレベルが違うことを確信すると、宝物庫から“ソニックアロー”を取り出して……

 

「おい、相棒!俺っちを使ってくれよ!こんなに強ぇ相手なら、俺様の出番だろ!?なっ!?なっ!?」

「相棒って呼ばないでよ。もう、仕方ないなぁ……」

 

 構えようとした時、背中のデルフが騒ぎだした為、ソニックアローをしまい、デルフを抜刀する。

 入間が武器を構えたのを見て、ワルドが動き出した。

 

「さぁ、全力で来い!!」

 

 その瞬間、ワルドは疾風と共に入間へと迫り、入間に向けて杖を突きだした。だが、入間は慌てる素振りもなくデルフリンガーを盾にして防ぐ。ワルドは何度も突きを放ってくるが、入間はその全てをデルフリンガーで防ぐ。

 

「……」

「……くっ!!」

 

 しばらくの攻防戦の末に、ワルドは距離を取った。

 

「えっ?なんで離れちゃったの?」

「あぁ、子爵が優勢だったはずなのに……」

 

 キュルケとギーシュが困惑したように呟く。

 だが、入間の恋人達と、ハルケギニア出身者のなかでは恐らくワルドの次に戦闘経験値が高いタバサには、この戦況を正確に理解していた。

 

「彼は一歩も動いていない」

 

 タバサの言葉に、キュルケとギーシュも気がついた。

 確かに、入間は最初にワルドと対峙した場所から一歩たりとも動いていない。ワルドの杖を防いでいる時も、彼は靴底を地面から離してもいないし、直立不動の姿勢を崩すことすらしなかった。

 ワルドはメイジだ。彼の本領は魔法であり、剣ではないのだろう。だが、少なくとも、入間はグリフォン隊の隊長であるワルドの動きを見きり、あしらえるだけの技量を持っているのだ。

 

 驚愕するルイズ、キュルケ、ギーシュを他所に、入間はデルフリンガーの刀身をスッと撫でながら、ワルドに声をかけた。

 

「……それで、そろそろお遊びもここまででいい?」

「ッ!」

 

 その言葉に、ワルドは歯を食い縛る。しかし、軍人として冷静な判断力を持っている彼は沸騰しそうな頭を理性で急速冷却させると、再び入間と切り結ぶ。相変わらず直立不動のままデルフリンガーで防ぎ続ける入間を見て、ワルドは口を動かした。

 

「デル・イル・ソル・ラ・ウィンデ……」

「……」

 

 入間はその呪文を耳にしながらも、何かしようとしない。

 そして、ワルドの詠唱が終わった、その時だった。

 

「ウィンドブレ……ッ!!?」

 

 杖から空気の塊が発射される瞬間、ワルドの眼前に、緑色の何かが突きつけられた。

 詠唱中にも入間が何かしてこないように注意していたのに、デルフリンガーをもつ手とは反対の手に握られた緑色のヒレをもした何かをどこから取り出したのか全く分からないワルドは頭が真っ白になるが、それは大きすぎる隙だった。

 

「ぐぁあああああああっ!!?」

 

 次の瞬間、入間が手にしたものから莫大な水が発射され、ワルドを呑み込んだ。そしてそのまま、ワルドは広場の一角にあった高く積み上げられた木箱に突っ込み、その衝撃で崩れ落ちて来た木箱の下敷きになってしまった。

 

「……まっ、こんなものかね」

 

 入間は“バッシャーマグナム”をしまいながら、為息を吐いた。

 彼がやったのは単純明快、バッシャーマグナムを召喚し、ワルドにゼロ距離の水弾を浴びせて吹き飛ばしただけだ。しかし、人知を越えた入間の速度を、動体視力が人間の範疇をでないワルドは追うことが敵わず、入間が銃を構えるまで気付くことが出来なかったのだ。

 

 そこへ、ユエ達がトコトコと歩み寄ってきた。

 

「……入間、お疲れ様」

「疲れたっていう程じゃないけどね」

「……ん。元を正せばミレディが悪い」

 

 視界の端で「コラーー!」と怒りを露にしているミレディを無視して、入間は腰に抱きついているユエを優しく撫でる。

 不満そうにシア達がジト目を向けているなか、ルイズ達からワルドが救出された。

 

「ワルド!大丈夫!?」

「あぁ…大丈夫だよ、ルイズ……愛する君の前でこんな失態を見せるなんてね……」

「よかった、無事だったのね……イルマ!!二度とこんな事したら許さないから!」

 

 全身を水浸しにしながら苦しそうに呻くワルド。兎に角、大事はないのだと安堵したルイズは、勝手に二人が決闘をした怒りの矛先を入間へ向ける。

 それに対して、入間は呆れたように溜め息を吐いた後、自分には関係ないと言うように踵を返して歩き出す。ユエ達も躊躇いなく追従し、愛子と優花も、気まずそうにルイズ達を見ながらも入間の後を追った。

 

 ワルドはそれを見ながら考える。

 あの男、危険すぎる。先程の決闘、こちらも本気を出していなかったとは言え、スクエアクラスである自分が軽くあしらわれていた。しかも、どう見ても向こうも本気を出しておらず、これから戦うと言う気概すら持っていなかった。

 明らかに自分の、自分達にとって最大の障害になりかねない存在だ。

 それを考え、ワルドは決意を固める。必ずルイズをこちら側に引き込んで見せる。そうすれば、あの男も抑えることが出来る筈だ。

 

(此方には()()もあるんだ。今度は負けはしない……) 

 

 コートの内側にある()()に触れ、ワルドは誰にも気付かれないように笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夜。

 ギーシュやキュルケ達のように酒盛りをする気などない入間達は、入間が宿泊した部屋に集まり、暇潰しにトランプをしていた。

 すると、入間の手札の一枚を引いたユエが、入間に話しかけた。

 

「……あそこまでする必要あった?」

「何の事?」

 

 惚ける入間だが、ユエは真っ直ぐに入間を見ている。その視線に、誤魔化しは無理かと考えを改め、やはりユエには敵わないなぁと苦笑いする。

 

 ユエのいう“あそこまでする必要”とはワルドに対しての対応だ。普段の入間なら、あそこまで時間をかけずに一瞬で気絶させることも出来た筈だし、この世界の魔法を調べるにしてはあまりにも早く終わらせ過ぎている。結局、あの決闘で入間にメリットなどなかったし、逆にあんな真似をする必要もなかった筈だ。

 

「強いて言うなら……少し溝を作りたかったのかもね」

 

 ルイズ達の目的は手紙の変換と言う任務だが、入間達の目的は、導越の羅針盤で特定したミュウと再開するためだ。ハッキリ言えば、アルビオンに到着したら、任務そっちのけでルイズとは別行動をする気でいる。

 その時に、少しでもルイズとの間に溝を作っておきたかった。だからこそ、ルイズの目の前で愛しい婚約者を痛め付け、勝手に去っていっても文句を言わせないようにしていたのだ。

 

「……入間、それはダメ」

「いや……それは……」

「……あのロリコンがどうなろうと知ったことじゃない。でも、ルイズは私達の事をある程度は信用してた。それを裏切るのは良くない」

「……まぁ、確かにね」

 

 ユエに「メッ」と言われると、入間は頭が上がらない。もう少し、ルイズに対する態度を改めねばと入間が素直に反省していると、一同のいる場所に、大きな影が射した。

 

 入間達が後ろを振り返ってみると、そこには見覚えのあるゴーレムが立っていた。その肩には、これまた見覚えのある緑色の髪をした女が立っていた。

 

「確か……土くれのフーケだね」

「久しぶりね、覚えていてくれて嬉しいよ!」

 

 その女──土くれのフーケの姿を見て、入間はつまらなそうに呟いた。

 

「どうやって脱獄したのか……この世界の監獄ってザルなのかな?」

「親切な人がいてね。わたしみたいな美人はもっと世のために役立たなくてはいけないと言って、出してくれたのよ」

「あっそ。それで、何の用?」

「素敵なバカンスをありがとうって、貴方と使い魔にお礼を言いに来たのよ!!」

 

 その言葉と共に、フーケはあるものを取り出した。

 それを見て、入間は目を見開く。

 

「あの指輪は…!」

 

 それは、黄金の指輪だった。腕時計の様な形状で下部には番号が振られている。

 

 フーケがその指輪のアーム部分を回転させると、リングの絵柄に、赤い戦士の顔が現れる。

 そして、フーケは黒いローブから、水色の刃を携えた銀色の右手のような短剣を取り出した。

 

「エンゲージ!」

 

 その言葉と共に、フーケは短剣の手の甲の窪みに、その指輪を嵌め込んだ。

 

 

センタイリング!

 

 

 短剣から軽快なリズムが鳴り、フーケは手拍子をするように短剣を叩くと、その場でクルリと回転する。続けて二回短剣を叩くき、顔の横で短剣を一回叩に、最後に前に出した短剣を二回叩くと、フーケの姿が光と共に変化した。

 

 

バトルフィーバー!!

 

 

 白と赤のスーツに、頭部は火の玉のような仮面に覆われており、胸部には日本の国旗である日章旗が施されており、腰には獣の爪が重ねあったようなバックルが存在する黄金のベルトを巻いている。

 

 その戦士は、入間の専門ではないが、確かに知識の中にあった。

 

「バトルジャパン……!?」

 

 そう、その戦士は、仮面ライダーとは全く別のチームで悪と戦う【スーパー戦隊】の内の一つ、【バトルフィーバーJ】のリーダーである赤い戦士──【バトルジャパン】だったのだ。

 

「あの男からもらったお宝の力…試させてもらおうじゃないか!!」

 

 バトルジャパンは、赤い槍を取り出すと、ゴーレムの肩から飛び出した。

 

「はぁあああああっ!!」

「っ!」

 

 そのまま落下の勢いをのせて槍を降り下ろすバトルジャパンにたいし、入間はデルフを取り出し、刃を擦り合わせるようにしてバトルジャパンの槍をそらした。

 

「ユエ、皆、ルイズ達の援護をお願い。ここは僕がやる」

「……ん。任せて」

 

 

テレポート!プリーズ!!

 

 

 ユエはベルトに指輪をかざすと、上空に巨大な魔法陣を出現させ、その中に自分とアメリ達を呑み込ませ、ルイズ達のもとへと転移した。

 ルイズ達へのフォローを終えたことを確認した入間は、続けて槍を振るうバトルジャパンの攻撃を受け流しつつ、ジクウドライバーを腰に巻き、ライドウォッチを装填した。

 

 

ジオウ!

 

 

「変身」

 

 

ライダータイム!

 

仮面ライダー!ジオウ!!

 

 

 背後に出現した文字が、再度突撃してきたバトルジャパンを押し飛ばし、顔にセットされたことで、入間は仮面ライダージオウへと変身する。

 

「君に興味はないけど、その指輪の所在は興味ある。さっさと倒して、その指輪もらうよ!」

 

 その言葉と共に、ジオウはジカンギレードを手に走り出した。





次回予告

ルイズ「何なのよコイツら!?」

ワルド「アルビオンへ急ごう!」

 現れる襲撃者達

ジオウ「君の指輪、もらうよ!」

仮面の男「貴様には死んでもらおう」

EP16「意外な事態にご用心!」





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